とうきようのボーイ

最近緑色の猫の形をしたぬいぐるみと一緒に寝ます。だいたいトタンの屋根に冬やら生活やらが降り積もって、この家はもう朽ちかけているから、緑色もくすんで見えるような気もする。

なんで書いてるんですかと聞いてきた東京のボーイ、髪の毛くるくるだったね、私もだけど。東京生まれ東京育ちを地でいく人にはじめて会ったんだ、カクテルを飲むんだね私なんかビール、ビール美味しいよ。

緑色の猫は毎晩布団の中でセックスをしてね、泡だらけの放尿をビールに流し込んで、そうだよぬいぐるみだよ、でもそれは現実なんだ東京のボーイ。宇宙でも蟻でもぬいぐるみでもなんでもいいけど、緑色の猫はセックスする。性器なんてどこから取り出したんだろうと思ったりするけど、緑色の猫の性器は小さい。

その緑色の猫は見知らぬ年上の人にいただいたんです、私は彼を知りません。コンクリートのひび割れから、コンビニの灯りで光合成をして出てきたんです。ちょうど体重が七キロ落ちてきた頃だったから、多分こいつと一緒に寝て体重を埋め合わせろと、そういうことだったんだと思います。でも、この家はもう朽ちかけている、早く引越しをしなければならない、光合成の男性が居ついてしまわぬ前に。

できれば青猫がよかったんだよ東京のボーイ、私もうすぐここからいなくなる。傷むことなく街灯を灯す緑が、たくさんあるような場所へ行く。でもしっかり逃げられるような、私はずるいから、そういうような土地に住む。去年から一昨年、過去にする今日まで、急にたどりつけるように。


#詩              

もうちょっと頑張れよ、とか しょうがねえ応援してやる、とか どれもこれも励みになります、がんばるぞー。