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第7回:思い出し笑い「ワンコインのお楽しみ」(&ツルコ)

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第7回:ワンコインのお楽しみ

執筆者:&ツルコ
*intoxicate vol.60(2006年2月発行)掲載

昨年は空前の(大袈裟?)落語ブーム、おかげさまで寄席や落語会のお客さまが増えました。どうぞ飽きずに続いてくれますように! なにより驚いたのが、若手噺家が勉強会としてやっている〝深夜寄席〟にまで、すごい数のお客さまが来てくれるようになってたこと。夜九時過ぎの新宿三丁目の繁華街に長蛇の列で、これはいったい何事!?な光景。こんなタイミングで勉強できる噺家さんはラッキーですねー。

〝 深夜寄席〟というのは、真夜中にやってるあやしげな落語会、ではなく、真打になる前の、二ツ目という序列にいる若手噺家の勉強会なんです。入門してから真打になるまでの、前座、二ツ目という身分の間は、上の師匠たちから、噺の稽古をつけてもらい、レパートリーを増やしていく日々。でも、寄席の出番はほんの十分か十五分ほどなので、長い噺を覚えても人前でできる機会がなかなかないのが現状。で、興行が始まる前や、終わった後の寄席で、二ツ目たちの噺をたっぷり聞いていただこうというのが、〝早朝寄席〟や〝深夜寄席〟なんです。上野の鈴本演芸場では、毎日曜日の朝十時から十一時半まで、落語協会に所属する二ツ目が四人ずつ出演する〝早朝寄席〟が、新宿の末広亭では、るあやしげな落語会、ではなく、真打になる前の、二ツ目という序列にいる若手噺家の勉強会なんです。入門してから真打になるまでの、前座、二ツ目という身分の間は、上の師匠たちから、噺の稽古をつけてもらい、レパートリーを増やしていく日々。でも、寄席の出番はほんの十分か十五分ほどなので、長い噺を覚えても人前でできる機会がなかなかないのが現状。で、興行が始まる前や、終わった後の寄席で、二ツ目たちの噺をたっぷり聞いていただこうというのが、〝早朝寄席〟や〝深夜寄席〟なんです。上野の鈴本演芸場では、毎日曜日の朝十時から十一時半まで、落語協会に所属する二ツ目が四人ずつ出演する〝早朝寄席が、新宿の末広亭では、毎土曜日の夜九時半から十一時まで、落語協会、落語芸術協会が週変わりで、二ツ目四人が出演する〝 深夜寄席〟が行われています。

どちらも、入場料がたったの五百円という安さ! おためしにいいこともあってか、特に末広亭の深夜寄席は、落語初めてさんが毎週大勢ご来場。ここが、あの『タイガー&ドラゴン』の寄席の中のモデルになったところなね、とその風情も楽しめますし。会のほうは、まだ発展途上の人たちの勉強会ですから、正直聞いていてツライこともあったりします。が、これ、と思う人を聞き続けていると、どんどんうまくなっていったり、成長していく姿を見る楽しみにもつながったりするので、これから伸びていくご贔屓さんを見つけるなんてことも。いずれ名人と呼ばれるようになる頃には、〝深夜寄席〟の頃から贔屓にしてんだよ、って自慢もできますよ(いつだ!?)。どちらの会も、すべて自分たちで仕切ってますから、洋服姿で呼び込みやチケット売りをしていたお兄ちゃんが、きりっとした着物姿で高座に上がる姿は別人のようで、そのギャップも面白い。身近に噺家さんと接することができ、定席の寄席とはひとあじ違う、アットホームな会なんです。末広亭の深夜時間には、月に一回、落語協会、落語芸術協会、立川流、円楽党の四派の若手が一緒に会をしてたり、中川家がシークレット・ライヴをやったりと、知る人ぞ知るお楽しみも。また、池袋演芸場では、祝日のみ朝十時から十二時まで〝旗日限定・福袋演芸場〟と称し、毎回テーマに沿って噺のネタを事前に決めて行う、二ツ目の勉強会もあります。こちらは、ツーコイン、千円で。こうして研鑽の日々を十年前後過ごすと、めでたく真打に昇進です。真打になると〝師匠〟と呼ばれ、寄席の最後に高座にあがる〝トリ〟をつとめることができるようになるんですね(その実力次第、ではありますが)。この真打になるときに寄席で行われるのが、真打披露興行です。自分の師匠や、ほかの大看板師匠たちが、新真打とともに、高座に並び、どうぞよろしく、とお披露目するのですが、ずっと応援してきた噺家さんの晴舞台を目にするというのは、なんともうれしく、泣けちゃうものです。今年は、落語協会で五人の新真打が誕生します。鈴々舎馬風門下の柳家獅堂(二ツ目名・風太郎)、林家木久蔵門下の林家久蔵、柳家小三治門下の柳家三三、柳家さん喬門下の柳家左龍(小太郎)、柳家権太楼門下の柳家甚語楼(さん光)の五人が、三月下旬から四月末まで、都内四軒の寄席で十日間ずつ披露興行を行います。皆さんもご存じの、それぞれの師匠たちによる口上も楽しめ、高座も普段とちがう華やかさ。まだ間に合いますので、この五人の真打以前を深夜、早朝、福袋などの勉強会で聞いて、ぜひ寄席のお披露目に行ってみてください。これからも応援していこう、ってきっと思いますから。


CD『五街道喜助 改メ 桃月庵白酒』
桃月庵白酒[三代目]
[ワザオギレーベル WZCR-99001]
収録内容:「臆病源兵衛」「富久」

思い出し笑いライン


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