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INTERNATIONAL新譜レビュー【2020.6 146】

2020年6月20日発刊のintoxicate 146、お茶の間レビュー掲載のINTERNATIONALの新譜7枚をご紹介!

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intoxicate 146


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①【MOROCCO】
BAB L'BLUZ

NAYDA
[Real World Records CDRW229J] 〈輸入盤〉

ゲンブリが、ベースと三味線の中間のような独特の乾いた音色でワンコード、ワンフレーズを無限ループ。聴く者の意識は朦朧となり、鉄のカスタネットと呼ばれるカルカバの打ち鳴らされる金属音で意識は白濁。さらに手拍子で身体と精神は分離されチャントにより昇天。このシンプルかつ強烈なトランス感に魅せられたアーティストは数知れず。ジミヘンやロバート・プラントはじめファラオ・サンダースからフローティング・ポインツまで枚挙にいとまがない。それが北アフリカを代表する音楽グナワ。本作はそのグナワをサイケ・ロック的にアップデートした新星バブ・ルブルーズの初作だ。女性ヴォーカルというのも珍しい。( 梅田NU茶屋町店 小畑雄巨)

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②【AFRICA/UGANDA】
KALOLI

NIHILOXICA
[Crammed Discs/サンビーニャ・インポート PPSI23274]

アフリカ東部に位置する国ウガンダの首都であり、欧米の最新とクドゥロやスークースなどアフリカ各地のダンス・ミュージックが同等に人気を得ている都市カンパラ。本作はそのカンパラを拠点とする“いま最もフロアを燃えたぎらせる太鼓集団”NIHILOXICAの最新作だ。ここ10年で目まぐるしい発展を遂げたウガンダ・エレクトロ界の中核を担うアート・コレクティヴ〈NYEGE NYEGE〉からもリリースしている彼らの音楽はドラムセットのストレートなグルーヴにより洗練されながらも、複数のパーカッションが繰り広げる伝統リズムからはしっかりと野性味が感じられエレクトロでは再現できない生の打音が強烈。(梅田NU茶屋町店 小畑雄巨)

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③【AFRICA】
ギターズ・フロム・アガデス Vol.2

Group Bombino
[Sublime Frequencies/ サンビーニャ・インポート AKSI-6035]

砂漠のブルースの最前線、ボンビーノ。ダン・オーバックやデイヴ・ロングストレスがプロデュースを手掛けた諸作や、イダン・ライヒェルの最新作への参加など幅広く、今後の活動も期待大だ。彼がソロとして羽ばたく前、2009年にサブライム・フリークエンシーズに残した作品が国内初登場。ニジェールはアガデスの音楽を紹介する第二弾として制作され、第一弾のグループ・イネラネのメンバーも参加。アコースティックとエレクトリックの両サイドを収録し、砂漠のブルースの醍醐味、滋味と狂暴性を純度高く同時に楽しめる。この時既に類稀なる才能を発揮しているその原点を今こそ堪能して欲しい。(渋谷店 片切真吾)

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④【CHANSON】
Tout Finit par des Chansons

Diana van der Bent(vo)Paul den Bakker(g)
[TRPTK TTK0026] 

ジャズシンガーであるDiana van der BentとギタリストPaul den Bakkerによるシャンソンの名曲のカヴァー・アルバム。レオ・フェレ、ジャック・ブレル、ジョルジュ・ブラッサンス、バルバラ、ムスタキ、ボリス・ヴィアン、セルジュ・ゲンズブール、アン・シルヴェストルらの名曲をアコースティックギターの美しい響きをバックにシンプルに歌い上げられていて心地よいサウンドだ。シャンソン入門としても素晴らしい選曲となっているので普段はシャンソンを聴かない人にもおすすめだ。「すべては曲(シャンソン)で終わる」というタイトルは素晴らしい。 (荻原慎介)

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⑤【BRAZIL】
FLY CRUZEIRO

マルコス・ヴァーリ& アジムス
[ TIDAL WAVES MUSIC/unimusic  UNCD034]

浮遊感のあるクロスオーヴァー・サウンドが独自の存在感を放つアジムスと、時代に沿ってスタイルを変化させつつ、数々の名盤を残してきたポップ職人、マルコス・ヴァーリ。2019年、この組み合わせでブルーノートでの来日公演も記憶に新しい彼らの、1972年のプロモ用L Pが初CD化。航空会社クルゼイロの為に制作された作品ということで、ラウンジ・ミュージック風のアレンジが施されているが、スペーシーでサイケデリックなシンセや、サンバをベースにしたグルーヴ、そしてマルコスのポップ・センスが絶妙なバランスで融合した、ブラジリアン・フュージョンの傑作だ。 ( 新宿店 栗原隆行)

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⑥【BRAZIL】
ジ・インクレディブル・ナナ・ウィズ・アグスティン・ペレイラ・ルセナ

ナナ・ヴァスコンセロス & アグスティン・ペレイラ・ルセナ
[TONODISC /unimusic UNCD033]

アルゼンチン出身、孤高のボッサ・ギタリスト、アグスティン・ペレイラ・ルセナ。デビュー時からヴィニシウス・ヂ・モライスに賞賛されたギターテクニックとその奥ゆかしいサウンドで、彼のソロ作には非常に素晴らしい作品が多い。そして、ECMレーベルでのソロ諸作や、エグベルト・ジスモンチ、パット・メセニーらとの共演盤で知られる世界的パーカッショニスト、ナナ・ヴァスコンセロス。そんな2 人の天才の、キャリア最初期の共演盤が復刻。事前のアレンジなしでほぼ即興という全4曲。物静かだが生々しいエネルギーが伝わる演奏の、張り詰めた緊張感が心地よい。(新宿店 栗原隆行)

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⑦【COLUMBIA】【CD/LP】
Miss Colombia

Lido Pimienta
[Anti ATI876382(CD)ATI876381(LP)]  〈輸入盤〉

コロンビア出身、カナダ在住のシンガー。出世作となるであろう本作のリリースはアンタイから。カラフルな衣装がアイコニックでヴォルタの頃のビョークを髣髴させる彼女はチャンチャ・ヴィア・シルクイートの作品でその歌声を披露してきた、というとピンと来るだろうか。エレクトロとフォルクローレの融合したユニークな音楽はそのヴィヴィドなヴィジュアルを裏切らず、ディック・エル・デマシアドや新旧ZZK勢までデジタル・クンビア~電化フォルクローレに痺れたグローカルなリスナーは当然マスト、でもポップセンスは抜群なのでラテン・グラミーをチェックしている御仁も感電すること間違いなし。(渋谷店 片切真吾)


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