見出し画像

CLASSICAL新譜レビュー 前編【2020.2 144】

2020年2月20日発刊のintoxicate 144、お茶の間レビュー掲載の
CLASSICALの新譜7枚をご紹介!

※CLASSICAL新譜レビュー後編【2020.2 144】はこちら

画像8

intoxicate 144


画像1

①【CLASSICAL】
相棒

ジャン= ギアン・ケラス(vc)アレクサンドル・タロー(p)
ラファエル・アンベール(t-sax)
ラ・ディアーヌ・フランセーズ 
ステファニー・マリー・ドゥガン(指揮)
[Harmonia Mundi HMM902274] 〈輸入盤〉

チェリストのジャン=ギアン・ケラスと、ピアニストのアレクサンドル・タローという気心知れた2人ならではの絶妙・絶品のアンコール・ピース集が登場。肩ひじ張らない感じというか、自由な雰囲気の中、阿吽の呼吸で演奏。チェロのオリジナル曲から編曲もの、そして有名曲から知られざる楽曲まで、魅力あふれる作品が詰め込まれています。ハンガリーの作曲家ヴェチェイの《悲しきワルツ》の締め付けられるようなこぶしの効いた悲哀のメロディは新しい発見でした。活き活きとしたクライスラーの《愛の喜び》に、歌うように奏でるプーランクの《愛の小径》などさすがの演奏ばかり! 2人が紡ぐ名曲《白鳥》は感動的! (上村友美絵)

画像2

②【CLASSICAL】
ショパン: ピアノ協奏曲第1番& 第2番

ユンディ・リ(p&指揮)
ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団
[Warner Classics 9029532018] 〈輸入盤〉

ユンディ・リ久々の新アルバムは、ワルシャワ・フィルを弾き振りしたショパンの2つのピアノ協奏曲。ショパンのコンチェルトというと耳にする機会の多さゆえ、演奏によっては食傷気味になることもある作品だが、この盤にそのような心配は無用。ほかのどの作曲家よりもまず先にショパンの名を想起させるピアニストとオーケストラだけに、その演奏は正統かつ、非の打ち所がないものとなっている。あらゆるパッセージが音の粒すら感じさせないほどに滑らかに、自然に紡がれてゆき、それがショパンの淡いロマンティシズムと相まって、聴き手の没入感を高めてくれる。緩徐楽章での心を揺さぶる表現力も見事。 (桐島友)

画像3

③【CLASSICAL】
サン= サーンス: ピアノ協奏曲全集Vol.2

ルイ・ロルティ(p)エドワード・ガードナー( 指揮)
BBCフィルハーモニック
[Chandos CHAN20038] 〈輸入盤〉

2018年に発売したルイ・ロルティとエドワード・ガードナー&BBCによるサン= サーンスのピアノ協奏曲全集第1弾(CHAN20031)は、その完成度の高い演奏が話題を呼んだ。2年の月日を経てついに第2 弾をリリース。2人の類まれな音楽の才能が見事に融合し生まれた演奏。アップテンポでエネルギッシュな第3番と5番。聴き手を一気に虜にする。目をつぶるとまるでコンサート会場で聴いているかのような錯覚さえ覚えてしまう。カップリング《オーヴェルニュ狂詩曲》、《アレグロ・アパッショナート》も申し分ない。第3番と第5番の収録で全集完結。ぜひ第1弾と併せて聴いて欲しい。( 新宿店 飛田晴海)

浄夜HMM 902341

④【CLASSICAL】
シェーンベルク: ヴァイオリン協奏曲、浄夜

イザベル・ファウスト(vn)
スウェーデン放送交響楽団
ダニエル・ハーディング(指揮)他
[Harmonia Mundi/King International  KKC6147]

同じ協奏曲でアルバン・ベルクの素晴らしい名演を持つイザベル・ファウストがこのシェーンベルクで到達させた高次の表現は、12音技法という書法の向こう側を照らし出さんばかりに完成されている。緊密な響き、イディオムの深い把握、練度の高い技が作品を絶妙に解きほぐす。さらに驚かされるのは《浄夜》で、6人の最高の名手たちが、互いに差し出す響きの空間に表現の一切を開陳し交わらせ、最高度に昇華された音楽として創り上げている。抑制と開放のもとに駆使される多様なビブラートが美しいコントラストをもたらす。聴き手はいやがうえにも感覚を研ぎ、耳をすます。まさしく、極上の悦ばしき聴体験だ。 (新宿店 森山慶方)

画像5

⑤【CLASSICAL】
シチェドリン: カルメン組曲/ レスピーギ: ローマの松

マリス・ヤンソンス(指揮)
バイエルン放送交響楽団
[BR Klassik 900183] 〈輸入盤〉

分厚い弦楽合奏が名オペラ・アリア《花の歌》を奏でるアダージョが心に残る名演。シチェドリンがバレエ上演のためにビゼー『カルメン』をもとに編曲したこの曲は、弦楽と打楽器を効果的に使用して滅法面白い。鐘による《ハバネラ》や茶化したような《衛兵の交代》など、一味違うカルメンの音楽を堪能できる。バイエルン放送交響楽団とマリス・ヤンソンスの組み合わせで聴くそれは、バレエ伴奏の域を超えた純音楽的な超絶した名演となっている。一緒に収録されたレスピーギは速く弾き流されてしまうフレーズが耳に届き新鮮。通俗名曲でも真摯に楽譜に対峙した亡きヤンソンスの晩年の至芸を堪能できる。 (渋谷店 雨海秀和)

画像6

⑥【CLASSICAL】
ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.80
~デュポン&ブノワ:ピアノ協奏曲

ハワード・シェリー(p&指揮)
ザンクト・ガレン交響楽団
[Hyperion CDA68264] 〈輸入盤〉

これまで数多くの知られざる秘曲を届けてくれているHyperionレーベルの“ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ”。今回第80弾という記念すべき節目のアルバムをリリース。その楽曲を飾るのはデュポンとブノワの作品。演奏は本シリーズでは不可欠なハワード・シェリー。彼が紡ぎだす音楽は格別だ。デュポンの壮大な楽曲を時には激しく、そして時には情感豊かに奏でている。1楽章の出だしからそのメロディに魅了されてしまう。ブノワの楽曲もまた奥深い。弾き振りという観点からも独特な解釈が光りより一層深みのある音楽をつくりだしている。次回はどのような演奏を奏でてくれるのか。期待して待ちたい。 (新宿店 飛田晴海)

画像7

⑦【CLASSICAL】
クラシック

ハウザー(vc)ロバート・ジーグラー(指揮)
ロンドン交響楽団
[Sony Classical SICC-30550] Blu-spec CD2 〈輸入盤〉

洋楽カヴァーで一躍世界的人気を博したチェロ・デュオ〈2CELLOS〉。メンバーのルカ・スーリッチのソロに続き、ステファン・ハウザーがソロ名義〈ハウザー〉として初のクラシック・アルバムをリリース。ロンドン響との共演で、チェロのオリジナル曲から、《誰も寝てはならぬ》、《G線上のアリア》、《カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲》といったどこかで聴いたことのある名曲を収録。《カルーソー》では今までの洋楽カヴァーで培ったメロディラインの際立たせ方、歌わせ方が堪能できる仕上がり。濃厚な哀愁が染みわたる。全編に渡ってロマンティックな歌心に満ちている。(上村友美絵)

▶続きはこちら!
CLASSICAL新譜レビュー後編【2020.2 144】



▲Twitter
https://twitter.com/intoxicate3
▲Facebook
https://www.facebook.com/tower.intoxicate/
▲Instagram
https://www.instagram.com/tower_intoxicate/
▲タワーオンライン(本誌オンライン販売)
https://tower.jp/article/campaign/2013/12/25/03/01


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?