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CLASSICAL新譜レビュー 前編【2020.4 145】

2020年4月20日発刊のintoxicate 145、お茶の間レビュー掲載の
CLASSICALの新譜7枚をご紹介!

※CLASSICAL新譜レビュー後編【2020.4 145】はこちら

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intoxicate 145


TBRCD0091大

①【CLASSICAL】
ブルックナー: 交響曲第2番( ハース版)/ 第9番
ジェイムズ・デプリースト(指揮)

東京都交響楽団
[Tobu Recordings TBRCD0091] 2CD

都響アーカイヴシリーズ、デプリースト指揮の第2弾。前回のベートーヴェンの交響曲選集は本誌の俵孝太郎さんのコラム「クラシックな人々」で取り上げられるなど好評を博しました。今回はブルックナーの交響曲第2番(2006年4月12日サントリーホール)と第9番(2006年4月17日東京文化会館)。ベートーヴェン同様、オーケストラをふくよかに鳴らした温かいタッチの響きが基調です。第2 番は要所で管打を厳しく打ち込み、強靭な内容。第9番は速めのテンポで晴朗に歌うところが心に残ります。都響のきめ細かいアンサンブル、音色の美麗さも特筆ものです。(渋谷店 中川直)

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【CLASSICAL】
知られざるドビュッシー 稀少ピアノ作品集
ニコラス・ホルヴァート(p)
[Grand Piano GP822] 〈輸入盤〉

甘美な旋律で聴き手を恋に落としてしまうドビュッシーのピアノ作品。その名演も楽曲同様数知れずだが、このアルバムを聴くと1人の偉大な作曲家の才能を更に知らしめられる。ドビュッシーの研究家、ロバート・オーリッジによる補筆、編曲をGrand Pianoレーベルにフィリップ・グラスのピアノ・シリーズ等を録音しているニコラス・ホルヴァートが演奏。23分25秒に及ぶ《忘れられた前奏曲》はどこかしら印象画家の作風を感じさせられる。一方でナレーション付きの歌劇『鐘楼の悪魔』は斬新で驚嘆させられる1曲。収録楽曲中ほとんどが世界初録音。ドビュッシー好きなら、この1枚はじっくりと聴いておきたい。 (新宿店 飛田晴海)

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【CLASSICAL】
トヌ・クルヴィッツ(コルヴィッツ):北欧の光への讃歌
リスト・ユースト(指揮)
エストニア国立交響楽団
[Ondine ODE1349] 〈輸入盤〉

おすすめはエストニアの民謡を題材にした「最北のエレジー」の最終曲《丘を見上げて》。氷の結晶が舞うような、絶美の音世界。耳にしたら忘れることができない感動を生んでいる。今はエストニアの作曲家が注目。アルヴォ・ペルトに続く才能も豊富で、その代表株がトヌ・コルヴィッツである。ECMレーベルでの『ミラー』で名を上げた。このオーケストラ作品を集めたアルバムでも暗い、ひんやりした感触、弦楽器のピチカートなど独自の浮遊感とリズム感が光っている。《青》《カプリを離れて》では濃密な弦の歌が、《沈黙の歌》はバス・クラリネットがチェロを彷彿とさせる音色を奏でて、東洋的な雰囲気が魅力。 (渋谷店 雨海秀和)

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【CLASSICAL】
ショスタコーヴィチ: ヴァイオリン協奏曲集
アリーナ・イブラギモヴァ(vn)
ウラディーミル・ユロフスキ( 指揮)
スヴェトラーノフ記念ロシア国立交響楽団
[Hyperion PCDA68313]  〈輸入盤〉

鶴首して待ったイブラギモヴァのショスタコーヴィチは、故国の歴史を切り抜けた傑作についに正面から対峙した力作。不滅の「故事」というべき初演者オイストラフの事績を相対化する現在的演奏の有力盤として強力な一枚だ。2曲ともに一貫する分かちがたい彼女の流儀を共有することができる。オケにも強く深い内的表現が求められるが、ユロフスキ率いるロシア国立響の一体感も素晴らしい。ショスタコーヴィチ音楽の要諦が内蔵された偉大なる第1番、特に第3楽章パッサカリアでの濃密な沈潜と緊迫の際限への表現に全霊を投じる演奏家の追究の姿は圧倒的であり、カデンツァで聴く彼女の発語の一切を逃さず傾聴したい。( 新宿店 森山慶方)

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【CLASSICAL】
ルイーズ・ファランク: 交響曲 第1番/ 序曲集 他
ジャン・ミュラー(p)
クリストフ・ケーニヒ(指揮)
ルクセンブルク・ソリスツ・ヨーロッパ
[Naxos 8574094] 〈輸入盤〉

中世のビンゲンを除けば女性作曲家の先駆けはクララ・シューマンだと思っていたがその少し前にファランクという作曲家がいたことは寡聞にして知らなかった。女性作曲家としては珍しく交響曲を作曲したファランクの管弦楽作品集はナクソスらしい知られざる作曲家に光を当てた好アルバムで2年前にリリースされた交響曲2、3番の続編。劇的な調と言われるハ短調ながら交響曲1番はいかにも初期ロマン派風といった爽やかな作品。同世代のベルリオーズも称賛したという序曲2曲と世界初録音となるピアノ協奏曲風の変奏曲も収録。ピアノも華麗な変奏曲が最も彼女の個性が現れている気がする。(梅田大阪マルビル店 西川智之)

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【CLASSICAL】
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第1 番
アンナ・フェドロヴァ(p)
モデスタス・ピトレナス(指揮)
ザンクト・ガレン交響楽団
[Channel Classics PCCS42620] 〈輸入盤〉

ウクライナ出身のピアニストでアルゲリッチも称賛するアンナ・フェドロヴァは6年前に公開したラフマニノフのピアノ協奏曲2番のYouTube動画が2500万回再生というクラシックでは破格の再生回数を誇る若手注目株。昨年は立て続けに『4つの幻想曲』と『ストリーテラー』という2枚のコンセプトアルバムをリリースした彼女が特別な存在と語るラフマニノフのアルバムをリリース。ラフマニノフの記念すべき作品番号1番の作品ながら単独でのアルバムがあまりない協奏曲1番はそれだけにこの曲の魅力を伝えようとする彼女の意気込みが伝わってくる熱演。名曲パガニーニ狂詩曲に前奏曲も収録。(梅田大阪マルビル店 西川智之)

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【CLASSICAL】
J.S. バッハ: フーガの技法
タチアナ・ニコラーエワ(p)
[First Hand Records FHR95] 〈輸入盤〉

偉大なる名女流ピアニスト、タチアナ・ニコラーエワ。亡くなられてから11月で27年になるが、本アルバムは彼女の音楽人生を語るうえでも非常に重要な価値ある1枚。亡くなられる約半年前のライヴ録音。楽曲は彼女が得意としていたバッハ:《 フーガの技法》。1音、1音の響きとその音色は私たちの心奥底に深く浸透する。静かに流れ、時には激しさを増す川の流れのような演奏。最晩年でのまさに完成させられた音楽。時代はかわれどタチアナ・ニコラーエワの演奏は未来永劫多くの人々の記憶に残され続けていくことであろう。 (新宿店 飛田晴海)

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CLASSICAL新譜レビュー後編【2020.4 145】


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