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第6回:思い出し笑い「こなさん、みんばんわ」(&ツルコ)

落語#59 バナナマンジャケ写

第6回:こなさん、みんばんわ

執筆者:&ツルコ
*intoxicate vol.59(2005年12月発行)掲載

咲坂守と畠山桃内って名前をきいて、あの頃がよみがえる人、同志。一世(の一部分)を風靡しましたよねー。YMOには「スネークマンショー」で出会いました。スネークマンショーは、70年代終わりから80年代の初めにオンエアされた、プロデューサーの桑原茂一、DJの小林克也、声優の伊武雅刀(デスラー総統ですね)の3人によるカルトなラジオ番組。ブラックでシュールでエッチなコントと、桑原茂一のセンスで選ばれた音楽との融合で人気でした。YMOの『増殖』がスネークマンショーとのコラボ作品として評判になったため、彼らもレコード・デビュー、『急いで口で吸え』『死ぬのは嫌だ、恐い。戦争反対!』の2作をリリースし、さらにカセットテープのみの『スネークマンショー海賊盤』もありました。ヤバイパッケージの。当時、
ウォークマンが出始めの頃だったのですが、ヘッドフォンで聴くスネークマンショーったら、たまらないものがありました。小林克也の咲坂守と伊武雅刀の畠山桃内に耳もとで「はんたまきれた」なーんてささやかれちゃうんですから。「ホテルニュー越谷」とか「たんつぼ小僧」とか、大好きだったあの頃。よかったんだか、だめだったんだか。


なぜ思い出しちゃったかというと、バナナマンの新作DVD『シャブリなコメ
ディ』のせい。スネークマンショーの匂いがするんですねー。バナナマンの2人も笑いの原点にスネークマンショーをもっているんでした。好感。桑原茂一氏は、スネークマンショー後、日本初のクラブ「ピテカントロプス」をオープンしたり、フリーペーパー『dictionary』を創刊したり、時代の先端をいくプロデューサーとして活躍していましたが、21世紀に入って、またコメディを手がけており、そんな桑原さんとバナナマンが一緒になって、DV
Dを制作。バナナマンをモチーフに映像クリエーターが自在に繰り広げる、いやーな夢のような世界は、見終わった後に、いつまでも残像と音楽が残っちゃう感じ。残ってほしくないのに。《テポドン音頭》とか、延々と頭の中で鳴ってて困るんですけど。


同じく桑原さんが制作しているのが、今年からスタートした携帯サイトでのComedy News Show。ムービー配信のためにつくられた笑えるショート・ムービーです。映像クリエーター(ヴィジュアリストっていうんですかね?)たちがこれでもかと繰り広げる様々な映像技を見るのも楽しいし、短い中に凝縮されたセンスと笑いは、見事です。まさにスネークマンショーの映像版。一見バカバカしいようなものですが、そういうのを真剣につくるって素晴らしい。競い合って、いいものができていくようで、どんどん新しいComedy News Showが生み出され、なんだかすごいことになってます。ショートでシュールな映像のコラージュは、一見の価値あり、です。バナナマンも声で参加してますよ。


そんなわけで、もうすぐ終わってしまう2005年ですが、ここへきてはまってしまったのが、ペーソス” 五十路の新人“、ギターとヴォーカル(なめだるま親方)のオヤヂ・デュオにスマイリー井原という専属司会が一緒になって哀感溢れるオリジナル曲を披露する3人組で、「血糖値が高いから、とにかく歩けといわれてる」と唄う《霧雨の北沢緑道》や、《あぁ連帯保証人》、《揺れる二の腕よ》とか、なんだか身につまされつつ笑ってしまい、くせになる。新人なのにすでにくたびれてるところもいとおしい。こんないいものを教えてくれてありがとう、川崎さん。待望の3rdアルバム『おやぢいらんかえ〜』(ジャケットの写真はアラーキー撮影)もリリースしたばかりで絶好調! これが今年のライヴ納めになるのはいやだなと思いつつ、浅草木馬亭(煮込みとホッピーつき。うーん)に行ってきまーす。


DVD『バナナマンのシャブリなコメディ』
バナナマン
[東北新社 TBD-1119]
DVD『COMEDY NEWS SHOW Vol.1/COMEDY NEWS SHOW Vol.2』
空気モーショングラフィックス
[ユニバーサル UMBK-1082/UMBK-1084(廃盤)]
CD『おやぢいらんかぇ~』
ペーソス
[P-VINE PCD-4093]

思い出し笑いライン


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