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INTERNATIONAL新譜レビュー【2020.4 145】

2020年4月20日発刊のintoxicate 145、お茶の間レビュー掲載のINTERNATIONALの新譜7枚をご紹介!

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intoxicate 145


カニサレス

①【CLASSICAL/SPAIN】
カニサレスによるロドリーゴ
カニサレス(g)
[PLANKTON VITO-479]

フラメンコの世界ではかつてパコ・デ・ルシアのグループで活躍、クラシックの世界ではラトル&ベルリン・フィルの2011年の公演でロドリーゴの名曲『アランフェス協奏曲』を演奏し名声を得た1966年生まれのギタリスト、フアン・マヌエル・カニサレス。これまでファリャの作品集などをリリースし、フラメンコとクラシックを行き来する音楽活動を続けているが、この最新作はロドリーゴの作品を取り上げたもの。《アランフェス協奏曲》第2楽章のギター独奏編曲版、そして未発表曲《夕暮れのプレリュード》、それに加えて4つのピアノ組曲のギター編曲版を収録。深く情熱的なギターの響きに我を忘れる。 (馬場雅之)

ナポリ想い溢れてRES-325

②【ITALIA】
ナポリ、想いあふれて

サンテ・トゥルジ(g)
[RESPECT RECORD RES-325]

マンドリン奏者のマウロ・スクイッランテと制作した〈イタリアの四季シリーズ〉四部作の最終章『Primavera 〜イタリアの春〜』が記憶に新しいサンテ・トゥルジの個人として4作目のアルバム。言わずと知れた《オー・ソレ・ミオ》《サンタ・ルチア》や、様々なCMでお馴染みの《フニクリ・フニクラ》など全21曲のうち19曲がナポレターナ。ノスタルジックなナポリの名曲と繊細な彼のギターの音色は、そっと寄り添ってくれるような懐の深さがあります。悲観的になることもなく、無理に前を向くこともなく、エスプレッソとバタークッキーでもいただきながらとりあえずのんびりするか、という気持ちにさせる今一番必要な音楽だと感じます。(佐古麻美)

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③【BRAZIL】【CD/LP/カセット】
幸福な枕

Ricardo Richaid
[ディスクユニオンUNCD030] 
[Far Out Recordings FARO216LP]
[Far Out Recordings FARO216CASS]

リオのトップ・スタジオ、チア・ドス・テクニコス(元RCAスタジオ)でミュージシャン/エンジニア/プロデューサーとして活躍し、自身のキャリアを築き上げてきたヒカルド・ヒシャイヂのデビュー作。ブラジル音楽の伝統への深い理解を思わせるスケールの大きさと、アルトゥーロ・ヴェロカイ、エルメート・パスコアル、ミルトン・ナシメントなど、偉大なミュージシャンたちからの影響を随所で感じるサウンド。70年代のサイケデリックな雰囲気も内包した、現代のトロピカリアという表現も相応しく思える一枚。ジャケもサウンドのイメージにマッチしていて素晴らしい。 (新宿店 栗原隆行)

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④【BRAZIL】
Agora

Bebel Gilberto
[Pias America PIAA50152]

水面に浮かび揺れるような心地さを届ける歌声と、ボサ・ノヴァをベースにしたラウンジ・スタイルで本国はもちろんここ日本でも圧倒的な人気を誇るベベウ・ジルベルトが6年という長い間沈黙を経て遂に帰ってきた。一昨年、昨年と立て続けに父母を失い、計り知れない困難な時期に本作は制作されたようだが驚くほどに力強く、これまでにない成熟を感じさせる。今回、彼なしでは完成しえなかったとベベウが語るほどプロデューサーのトーマス・バートレットが重要な役割を担ったそうで、彼が鍵盤を務めるアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズなどにも通じる創作の深さを示した内容となっている。( 梅田NU茶屋町店 小畑雄巨)

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⑤【CANADA/FRANCE】
Notre-Dame-des-Sept-Douleurs(悲しみの聖母)

Klo Pelgag
[Secret City Records AMIP-0210]

新作を出さない限り日本にはほぼ情報が入ってこないが、母国カナダやフランス(彼女はフランス語圏ケベックの出身)ではデビュー時からばんばん色んな賞を獲ったりと破格の存在なクロ・ペルガグ。インスタ見る限り昨年妊娠されたようでお目出度た続きの4年ぶり3作目が本作だ。異形のシャンソンも今やクロ節。ザッパやクラシカルな要素でお腹いっぱいだった初期と比べかなりシェイプ・アップした分、各要素が格段に際立ち洗練されており一体感を増したリズム隊と今作で多用される重奏的なヴォーカル・ハーモニーがクロの独特な歌を躍動させ神秘的に盛りたてる。3作中最もポップながら聴く程に魅力増す最高傑作。 ( 梅田NU茶屋町店 小畑雄巨)

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⑥【FRANCE】【CD/LP】
ルディ

Chassol
[unimusic UNCD031]
[Tricatel TRILPFR056(LP)]

全身から醸し出す雰囲気は彼の拠点が芸術の都であることを強烈に感じさせ、屈託のない笑顔の奥には作品同様の好奇心が満ち溢れている。そしてなにげない所作でさえも不思議と天才めいて見せてしまうそんな男、現代で最もユニークな音楽作品を創造するシャソールの5年ぶり新作がこれだ。雑踏の騒音やお喋り等をサンプリング、またはそこに音階をつけ、自身の鍵盤と相方のドラムを核にバンド演奏する、普段音楽として認識しないであろう音を音楽として聴かせる彼らしい童心蘇らせるものとなっている。個人的にはドイツの文豪ヘルマン・ヘッセの『ガラス玉演戯』に触発されたという点が嬉しい驚き。 ( 梅田NU茶屋町店 小畑雄巨)

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⑦【AFRICA】【CD/LP】
Rejoice

Tony Allen(ds)Hugh Masekela(tp)
[ADA/World Circuit/BMG
5053855750(CD)5053855749(LP)]〈輸入盤〉

2017年にはジャズの名門ブルーノートからアルバムをリリースしたり、2018 年にはテクノのパイオニア、ジェフ・ミルズとコラボしたシングルをアナログでリリースしたり、ジャンルを超えた精力的な活動を続けてきたトニー・アレン。本作は2018年1月にこの世を去った、南アフリカを代表するトランペッター、ヒュー・マセケラとのコラボ・アルバム。2010年にレコーディングされていた音源を発掘し、およそ10年の時を経て陽の目を見ることになったというのは、なんとも感慨深い。軽快なグルーヴとクールなトランペットの相性は抜群。極上のアフロ・ジャズを堪能出来る一枚。(新宿店 栗原隆行)

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