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R5年度活動報告| SIACプログラム3期の歩み

R3年度からスタートした仙台市主催の大学生向けアントレプレナーシップ醸成プログラム「Social Innovation Accelerator College(通称:SIACプログラム)」。

3期目となるR5年度プログラム(実施期間:2023年9月〜2024年2月の6ヶ月間)が終了しました。

今年度の活動を振り返りながら、SIACプログラムの趣旨や内容をお伝えできればと思います。次年度もよりプログラム内容に磨きをかけプログラムを実施していければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。


1. SIACプログラムとは

SIACプログラムは、“東北”“ココロイキルヒト(=社会起業家)”というロールモデルに触れ、東北という地域・東北が抱える社会課題への理解を深め、自分ごととして考え(自分自身のありたい姿-Beingを内省し)、次の一歩を踏み出していくことを目指す、6ヶ月間の大学生向け『東北版・アントレプレナーシップ醸成プログラム』です。
※本プログラムは、仙台市「令和5年度ソーシャル・インパクト加速化事業」として実施しました。
▷SIAC HP:https://siac-sendai.mystrikingly.com

【用語解説🖋】

■ココロイキルヒト
⼼意気(チャレンジ)、⼼⽣きる(感動する)など複数の意味を持つ造語です。INTILAQでは、起業家のみならず、⼩中⾼⽣、⼤学⽣、主婦の⽅も含め新しいことにチャレンジする方たちのことを「ココロイキルヒト」と呼んでいます。
*本プログラムは、INTILAQ東北イノベーションセンター(運営:一般社団法人IMPACT Foundation Japan)が運営しています。

■社会起業家
社会課題をビジネスによって解決を目指す起業家のこと。

■東北版アントレプレナーシップ
東北は、東日本大震災の影響で日本の他の地域と比べても社会課題が先鋭化した“課題先進地”となりました。
弊社では、2013年以降、『東北で起業家が生まれ育つエコシステムの創造』をミッションに掲げ、多様化・複雑化する社会課題解決に挑戦する起業家が生まれ、育ち、そして後輩たちのロールモデルになっていく、そんなエコシステムを創っていくことこそが真の復興と地域の持続可能性に繋がる、そう信じて活動をしております。仙台市をはじめ多くの行政・企業・団体の皆様と協力・連携をしながらこれまでに100名以上の社会起業家の立ち上げ・成長支援を実施してまいりました。
このように、「東北」には、様々な社会課題が顕在化しており、課題解決に向けチャレンジをする多くの社会起業家が存在するという地域性があると考え、この「東北」の地域特性である“ソーシャル”を軸としプログラムを設計いたしました。
また、弊社は、起業支援を行う中間支援団体ではありますが、アントレプレナーシップの本質を、 「自らが地域・社会をより良く変えていける社会変革の主体であるという自己効力感を持つこと」 「自分自身の人生に対してオーナーシップ(自分軸)を持つこと」と捉えています。その結果(手段・選択肢)として、起業・社内起業・事業承継・ライフワークとしての団体運営などが出てくるのだと。
本プログラムでは、東北の社会起業家というロールモデルと共に考え・行動する実践体験を通じ、“社会変革の主体としての自己効力感”と“自身の人生にオーナーシップ(自分軸)”を持つ学生の輩出を目指します。


2. 活動の内容

(1)参加者について

宮城県内4大学11名の大学生が参加しました。

(2)活動の概要

R5年度SIACプログラムでは、東北において地域・社会のためにと活動する産官学金と多様なプレイヤーのもとを巡るフィールドトリップ。東北で活躍する社会起業家の元に訪問し、想い・事業・活動フィールドに直に触れる視察取材活動。創業初期の社会起業家とともに事業課題や新規事業に係る実践を行うチーム活動。などといった活動を行なっていきました。

活動の軌跡は、活動レポート&視察取材記事をご覧ください!


3. 参加者の声

ずっと狭い世界・狭い価値観しか知らなかった私がSIAC活動に参加したことによって様々な人と出会い自分の世界を広げたことによって偏った考え方から抜け出せた感覚があります。SIACでは多様なキャリアを歩む多様な大人や学生に出会うことができました。今まで見ていた自分の世界がいかに一部分だけであったかをまざまざと実感させられる半年間でした。

自分の中では社会起業家に限らず、何か新しいことにチャレンジをする人に対して、意識が高いと感じていました。しかし、実際に社会起業家さんの事業や起業するまでの背景を知るにつれて、強い気持ちと地道な活動が起業につながっていることを実感したことが大きな学びでした。

主に社会起業家の事業を通した価値観や考えに触れ、人生を通して軸としたい部分に変化が生まれたと思っています。課題定義を行うプロセスは実は自分に向き合うプロセスに生かすこともできると感じています。その自身に向き合い続けることは人生そのものでもあるので、内省を通した人生への向き合い方に大きな影響を与えたなと思います。

今までの私は、なにかしようとする時、解決策や何をするかに重きを置き、時間をかけ考えていました。しかし、それらを考える前に前提となることの明確化や仮説にしっかり時間をかけて考えるということを意識するようになりました。

多くの気づきや変化があった半年間でした。まず、起業家という存在の解像度が上がりました。起業のきっかけや思いを直接聞いたことで起業に至るまでのイメージができるようになりました。また、やりたいことを口に出すという自分のハードルが下がりました。やりたいという気持ちを実現させている社会起業家の方々や、思っていることを口に出しやすい環境を作るメンバーに出会ったことで価値観に変化がありました。むしろ口に出したいと思うようになりました。

プログラムへ参加する前は、起業家へ漠然としたのあこがれがありましたが、起業家視察などプログラム活動を通じてたくさんの起業家さんの思いを聞いたり、PBL活動でさまざまな役割を務めていくうちに、自分がやりたいことは起業家じゃないな、と気づきあこがれるのをやめることができました。起業家さんの自分のパッションに忠実な生き方を見て、あくまでも起業は手段、自分が本当にやりたいことはなにか、なににワクワクするのか、といったより自分に寄り添った価値判断ができるようになりました。

参加する前は「社会課題について考えてみたいし、将来も社会課題を解決するようなことをできたら楽しそうだな。」と漠然とした思いをもっていましたが、SIACの活動を通して、私にとってその手段は起業ではないと気が付くことができました。
また、PBLで様々な現場の見学や参加を通して、まとめるような立場から広く影響を与えるよりも、現場に立って個人を向き合う方が好きなのかもしれないと感じ、自分の新たな方向性が見えたような気がしました。

私はもともと人見知りということもあり、人の意見をはっきりと理解するのがとても苦手でした。しかし、SIACの活動を通して社会起業家の方たちや、SIAC生、運営の方たちなど、たくさんの人と関わっていくなかで、自分にはない他人のいいところをたくさん吸収することができたと思っています。そして、自分とは別視点の意見を受け取り、それを参考にして活動を進めていくと新たな発見をすることができるようになりました。

考え方や価値観として社会課題という新たな価値に気がつくことができた点が大きかったです。SIAC参加前は、企業のあり方として社会が求める価値を提供するものと考えており、その為の流通チャネルや原価/大量生産大量消費の様などれだけ安く良いものを作るかなどといった点を大学では学習していた事から、社会課題は視野に入っていませんでした。しかし、現在もので溢れている中で競争力を持つためには社会課題から新たな価値を見出すことの重要性や目に見える顧客のみではなく、視点を社会全体に当てるという考え方へと変化するきっかけとなりました。

元々の自分は何事に対してもいい結果を得ようと思ったり、失敗が怖いという考えがありました。そのせいで無駄な心配から余計なことまで深く考えて初動が遅くなる。または、そもそも挑戦しないこともありました。しかし、この活動、特に後半の実践プランを通して、失敗することが次の成功確率を上げる唯一の方法であり、失敗することでよりいいアイデアが生まれることを知ることができました。最初からいい結果を得ることや失敗を恐れる必要はなく、とにかく早く、たくさん失敗することこそがのちに大きな価値を生むアイデアを生み出すために重要なことだと学ぶことができました。

SIACに参加する前は、自分の中で自分のやりたいことを手っ取り早くやるには起業が必要なのかなと感じていました。
しかし、丸森のフィールドトリップや取材、チーム活動を通していかに自分のその考えが狭いものであるかが理解出来たことは大きな学びであったと感じています。実際に行政に入ること、地域おこし協力隊になること、町おこし関連に関する企業に就職すること。いくらでも手段はあることを気づきました。
そして、地域と社会と向き合っていくことの難しさも理解できました。自身の地元であれば何か新しいことを行うに際して、批判を受けることなんてないと考えていました。しかし、社会起業家さんとのお話などプログラムでの活動を通し、関係者との合意形成やコミュニケーションの重要性を学びました。


3期生のNext Stepを楽しみにしつつ、4期目に向けたプログラムの企画も進めていますのでお楽しみに〜!