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「私と就職・転職・インタビュー」公募インタビュー#40

さわさん(仮名) 2022年6月下旬〉

キャリアにコンプレックスを抱きつつ働いてきた澤さん。その中でやりたいこと、得意なことを見出し、今、社会人になって10年ほどになります。

2022年の3月、二度目の転職をすると、入社当初から人間関係のトラブルと直面。滅入っていたさなか、気分転換になるかなといった気持ちで、以前から知っていたインタビュアー田中に応募してくださったそうです。

話すことは特に決めていなかったとのこと。まず、これまでのキャリアについて話し始めてくださいました。

就職せずに大学卒業

澤さん 私は、小さい頃からあんまり夢とかなかったんです。ただ、父が仕事をしていて楽しそうじゃなかったことと、母が専業主婦でちょっとつらそうだったのを見て、漠然と働く女性ではいたいなと思ってたんですよ。

 ちゃんと仕事を持って働ける人になりたいと思いつつ、資格業にはなぜかいかず、一般企業でバリバリ働ける人になりたいなとずっと考えていました。
 でも、具体的に何がしたいというのはずっと思い描けずにいて、大学の就職活動まできたんです。地元を離れて一人暮らしをしながら、都内の大学に通っていました。

 就職活動、うまくいかなくて。書類も通らなかったし、まともに面接も行けなかったんですよ。すごく悩んで、大学の就職課に相談したりもしたんですけど、アドバイスが腑に落ちるものじゃなかったりで、どんどん相談できなくなって。で、無駄に卒論に力を入れ始めたりして、卒業間際になっちゃったんです。

 それで、就職を決めずに卒業したんですね。就職活動前にちょっと興味があった公務員の職種があって、公務員試験か就職活動か迷った経緯もあったので、もう既卒で公務員を目指そうと思って。

 一回地元に戻って、地元の役所で臨時職員として働きながら、公務員の試験勉強をしていました。
 でも、なんかやっぱり違うなってだんだん思えてきて。孤独に勉強してるのもつらくなってきちゃったっていうのもあるんですけど。

 就職活動を振り返ると、興味があったのは出版や広告系の会社が多かったかなと。公務員は違うかもしれないと思った時に、やっぱり何か作りたいって思いました。

 それで、デザインやウェブ関連の知識を学ぶスクールに行きました。そして卒業後にそこで就職先を紹介してもらって、地元の小さな広告代理店に入ったんです。

地元での就職 制作ディレクター

澤さん そこでは求人広告の制作関連のことをやっていました。イラストレーターとかフォトショップで求人誌の誌面を作ったり、それに関連する紙の制作物や、ちょっとだけウェブサイトを作るみたいなことも。

 小さな会社だったので、作るだけじゃなくて、入稿先とのやりとりとか、外注先もあったのでそちらに指示を出したり、入稿までの進行管理も含め、いろいろやっていました。そこで6年半ぐらい働きました。

 就職できずに実家に帰ってから、就職したあともずっと、都内に戻りたいなと思っていました。

 仕事自体も同じことの繰り返しだし、会社の人数も少なくて、自分がこれからどういうふうにキャリアを積んでいけばいいか、どういうふうになっていけるのかイメージがわかなくて

 親元を離れたいというのもあり、東京に出たかった

 その頃、30歳手前くらいです。

友達の姿に背中を押され

澤さん 地元に二人、同じような気持ちを持った友達がいたんですね。
 ひとりは私と同じように大学で地元から出て、就職を機に地元に戻ってきた人。
 もうひとりは、大学時代も就職してからもずっと地元にいたんですけど、いつか都内に出たいと思ってた人。
 で、この二人が都内での就職を成功させたんですね。

 私はどこか、ずっと自分は無理だろうと思ってたんです。県をまたぐ就職って採用するほうもリスクがあるし、自分には大した知識も経験もないし、難しいだろうって思ってたんですけど、その二人に感化されて、東京での就職活動をがんばってみたんですよ。

東京で就職/インタビューをする仕事に出会う

澤さん 何ヶ月か経て、なんとか、東京にある健康食品の通販の会社に転職できました。

 健康食品を売るための会報誌とかチラシとか、そういった制作物周りの仕事です。編集や校正、取材だったり、諸々。そこで3年ぐらい勤めたんですね。
 その会社が東京での1社目で、次が今の会社です。

 実は私も、その健康食品の会社でインタビューの仕事をしていたんです。

 実際に(自社が販売している)商品を使っているお客さんのところに取材に行って、感想などをインタビューして、それを記事にまとめて広告化するということをやってたんですよ。健康食品をPRするのが目的なので、取材して、この食品があるから元気にがんばれてるよ、みたいな話が聞けるように持っていくんですけど。

 (その会社の)健康食品のターゲットは60代以上なので、割と(仕事を)引退している方が多いんですね。その人たちのお話を聞くのも単純に面白かったんですけど、一回たまたま、現役で働いてる、50代の女性の方を取材したことがあったんです。
 大手企業の役職経験者の女性でした。
 
 私は、就職できなかったコンプレックスみたいなものがずっとあって。同級生には、割とみんなが知ってるような大手に就職した人も何人かいるんです。その中で自分は就職できず、スクール行って、就職先は小さな会社で、お給料も安くて、っていうところから始めて、なんか自分はすごい就職弱者、キャリア弱者だみたいな意識でずーっと20代の頃から過ごしてきたんですね。

 だから、大手で働いてる、しかも役職経験者の方にインタビューした時、ばりばり働く人に憧れてた自分からすると、その人の言ってることってすごくまぶしく見えたというか。
 もちろんその方も対外的に上手に言ってる部分もあると思うんですけど、ああ、大企業の社員さんもこういう熱い思いを持って仕事されてるんだなって思った時、なんかいいなってすごく思ったんですよね。

 きれいごとに聞こえる人もいるかもしれないけど、そういう思いを持って働くのってすてきだなって思ったし、そういう人の声ってもっといろんな人に届いてもいいんじゃないかなって思いました。

 その時、インタビューを続けたいな、もっと働く人の声とか聞いてみたいなと思ったんです。
 企業の中の一社員ががんばってる思いを伝えることによって、企業のPRとかにつながったら、ビジネスとしてもちゃんと成立するし、自分がやりたいと思ってること、ちょっと人より得意かもなって思ってることを生かしながら働けるのかなって思ったりとかして。

話を聞くのは得意かも

──人より得意なことというのは?

澤さん 話を聞くことと、聞いた話をきれいに(記事に)まとめることかなあ?

 就職活動がうまくいかなかった時に、ああ自分って話すの苦手だなってすごく思ったんですね。自分の思いとか、やりたいことを伝えるのがすごく苦手だなーと思って、20代の頃とか、話し方教室みたいなところに行ったりして、すごく悩んでたんですけど。

 そこで気づいたのは、やっぱり話すのはすごく苦手だけど、聞くことだったらできるかもしれないっていうことと、決められた台本や役割みたいなものがあると、それに基づいて話すことができるかもしれないな、ってことでした。

 なんかすいません、インタビューしてもらってて、それをちょっと得意かもしれないって言うのは(笑)恐縮なんですけども。

 その健康食品の会社で取材やインタビューに行くことになったのは、どちらかというと偶然でした。(前職の)求人広告の制作経験を生かして、制作物進行管理とか、原稿チェックや編集の経験を買われて採用されたんですけど、人手が足りないっていうことで取材に行くことになって、(話を聞くことや記事にまとめることが)ちょっと得意かもしれないってことに気づいたんです。

転職せざるを得ない

澤さん で、その会社で、取材とかは楽しんでやっていたものの、(インタビューの時に)会社都合すぎるような聞き方をせざるを得なかったりとか、コロナで取材に行くのが難しくなったりして。しまいには……しまいにはっていうかもともと、会社の経営者があんまりまともじゃないというか(詳細略)。そういう環境で長年働くのは難しいなと思ったんですね。

 仕事としてはこれをこの先伸ばしてけばいいのかもしれないとか、こういうことをやっていけばいいのかもしれないということはなんとなく見えてきたんですけど、その場所でっていうのは考えられなくって、転職して場所は変えなきゃなっていうのはずっと思ってたんです。

 そんな中、そういう経営者なのでいろいろあり、人が一気にどばっと辞めた時があって、会報誌を新しく作ること自体が実質的になくなっちゃったんです。私が担当していたインタビュー記事を載せる媒体そのものがなくなってしまったということです。
 そんな事態も想像できずに、半ば会社側から辞めさせたような人もいました。そんな職場だったんです(苦笑)。

 私はそれ以前から転職の準備をちょこちょこ始めてはいたものの、都内に出ることも臆病でなかなかできなかった自分なので、このスキルで採ってくれる会社なんかあるのかなみたいな不安がずっとあったんですけど、ここにいても取材も行けないし、辞めた人の穴埋めでいろんなことをやるようになっちゃって

 求人広告の制作から始まって、会報誌の編集で、っていう、それまでなんとなく対外的にアピールするものとしてつながっていたキャリアが途切れるし、専門性が全然なくなっちゃう、ってなった時に、ああやっぱりこれはもう動かなきゃなってことで動いて、なんとか今の職場についたっていう感じなんですけど。

 今はそれから3〜4ヶ月経ったという状況ですね。

現在 東京での2社目

──今の職場ではどういったお仕事を?

澤さん システムの会社で、マーケティングチームのライターとして雇われました。今までは紙が中心だったんですけれども、今はウェブのオウンドメディアの編集とか、外部のライターさんの管理
 あと、会社のサイトに、その会社で働く人のインタビューがよく載ってるじゃないですか。あれの編集とか。

 それから、今後、システムの導入事例を書く仕事もあるよ、と言われている状態ですね。導入事例というのは、その製品を使ったことによって、導入した企業様の課題がどういうふうに解決したかを紹介するもので、お客様のインタビュー記事を載せたりするんですね。
 そういうのもやりたくて入社したっていうのもあるんですけど、まだ立ち上げ期で、導入事例をやるまでには至っていないんですが、今後そういうことができるかもしれません。

転職活動 インタビューする仕事をどう得たか

──転職活動の際、インタビューの腕が生かせるような職場を探して見つけたんですか?

澤さん いや、全然。そこはアピールできるように職歴書には記しつつ、求人票を見て、制作ディレクターみたいな名前がついてる職種とかで探して見つけた会社をいくつか受けて話を聞いていくと、インタビュー関連の仕事も含んでいることがわかった、っていうところですかね。

 内定をもらったところが他にもあったんですけど、そこは学校法人で、職種が広報担当っていう名前だったんですけど、仕事の内容は制作ディレクターでした。入学応募者数を増やすために定期的に発行するDMのコンテンツのひとつとして、在学中の学生さんにインタビューしたり、座談会組んだりして、その内容をまとめる。そういうふうに仕事内容の中に「話を聞く」ということが入っていました

 「インタビュー担当」という職種があるわけではなくて、今の仕事もそうなんですけど、見込み客をとることがチームとしての目標なんですよね。そのためにDMやオウンドメディアのコンテンツを届ける。その中身を作ることが私の仕事で、その中には、実際に自社製品を使ってる人にヒアリングして、コンテンツにして、それをクチコミのように届けて、それによって問い合わせや応募者を増やす、という仕事があるということですね。

──転職活動の時には、インタビューしたいことを面接でアピールして入った?

澤さん 前職で何人にインタビューしましたとか、企業が伝えたいことを個人にうまく伝えられるような文章を書きますよ、とか。それによって反響率はどれくらい上がりましたよという数字を出して、アピールして採ってもらいました。

 ただ、今までは紙の経験が多かったので、ウェブだと書き方も違うし、効果検証もはっきりわかるので厳しい世界だなと思うし、Googleアナリティクスとか、そういったことの勉強をいっぱいしてかなきゃなと。今、やることいっぱい、インプットしなきゃいけないこといっぱい、っていう感じです。

インタビューのこと

──澤さんにとってインタビューの魅力とは?うまくまとめて広告化することも楽しい?

澤さん まずお話を聞いていて面白いし、自分にない面白い考え方にもいっぱい出会えること。
 あと、この人のこういう考え方は、幼少期のこういう経験が関係しているのかもしれないなーということがわかったりするのもなんか楽しいし。
 インタビューしたことによって嘘がない状態で広告化できて、誰かに届いて、それに反響があったらやっぱりうれしいというのもありますねえ。

──プライベートでも人や友達の話を聞いたりすると思いますが、それとインタビューはまったく別?

澤さん 初めて会う人に聞ける話がいちばん自分の中で発見が大きくて、仕事上でインタビューする機会って初対面が多いから(特に発見がある)。
 友達みたいに既知の仲で最近どーお?って聞くお話とはまたやっぱり違うかなと思うんですけど。

──今まで、繰り返し同じ方にインタビューさせてもらうことはなかった?

澤さん ないですね。

──1回で満足していましたか?

澤さん そうですね、もう聞けないから聞き逃さないようにやりますので、満足いくようにしてますね。

 あ、ただ、最近会社に入ってきた上司がいるんですけど、なんかその上司がすごく面白くってですねー。(話していると)幼少期の面白いエピソードとか、いっぱい出てくるんですよ。その人の人生記録を本にまとめたいぐらい。話を聞くたびに「そんなことあったんですか!?」みたいな話が次々出てくる。でも仕事中なので毎回「また話すよ」って途中で終わっちゃうんですよね(笑)。
 話すたびに新しい情報が出てきて、聞き入っちゃって、もっと聞きたい聞きたいと思うので、(1回で満足するかどうかは)人によるんですかね(笑)。

話すのが苦手

──話すのが苦手だったとおっしゃっていましたが、今もそう思っていますか?

澤さん 今も、はい、感じます。

──でも今日、いっぱいお話ししてくださいましたけど、つらいとか難しい感じします?

澤さん 難しいですね。質問に対して結論からぱっと答えるのはやっぱり苦手だし。

──結論から答えたいと思ってるということですか?

澤さん ああ、思ってます、思ってます。

 就職活動とかって、主に自分がどうしたいかを問われるじゃないですか。その辺りが(自分は)まだやっぱり弱いですよね。すらすら言葉が出てくる人って、なんか自分を持ってるというか。

 今後についても、(今までは人間関係のトラブルで)仕事に集中できなかったっていうこともあるんですけど、まだちょっとふわっとしてますよね。これからこういうことをやれたらいいなあとか、今はこの勉強に注力して、もっとわかることを増やしてもっと貢献できたらいいなあとか、話せる内容がすごく少ないなあと思うし、うまくまとめてわかりやすいようにしゃべるのはまだちょっと難しいなあって思いますね。

──その状態をもっと改善していきたいと感じてらっしゃると。

澤さん そうですね、もちろん。はい。
 定例会議とかでも、話を振られた時に、とっさにまごつかないで結論からぱって要件を伝えられるようにならなきゃだめだなと(思っている)。

 あと、(自分は)いろんな人に気を使いすぎて、枕詞が多くなりがちっていうか。「既に確認済みだったら申し訳ないんですけど」とか日本人ぽい前置きがあったのちの質問とか(笑)。周りくどいな自分、って思ったりします。

 仕事におけるコミュニケーションをもっとスムーズにするためには、話し方をもっと改善しなきゃだめだなと思ってます。

 20代の頃の求人広告の(仕事に就いていた)時って、周りと話す機会がすごく少なかったんですよね。黙々と作業することが多くって、それもあって、たぶん同じくらいの年代の、例えば営業やってた人とかよりは全然あれだな(改善の余地がある)って思うし。

──気心知れたお友達とか、ご家族とか、そういう間柄で話す際は問題なくスムーズにしゃべれる?

澤さん や、まあ、仕事上で困っちゃうほどではないんですけど。問題ないと言えば問題ないと思うんです。ただ、自分が話すの苦手だなって思った時から、自分の話し方とか聞き方に対する振り返りみたいなものが激しくなりました。 

 だから友達と会ったあと、「この時こういうふうに言えばよかったんじゃないかな」「こういうふうに説明すればよかったんじゃないかな」ってすごい反省しちゃう。自分がうまくまとめられなくて相手に補ってもらった時も、相手は別に気にしてなくてその場は問題ないと言えば問題ないのかもしれないけど、私が気にしちゃってるので、私の中では問題が若干ある、みたいな感じですかね。ははは(笑)。

──インタビューの時に質問を投げかける際は、スッと思うように出るんですか?

澤さん そう、目的がはっきりしてるからかもしれないんですけど、自分が聞いてて、ストーリーを組み立てる上で「あ、この情報ほしいな」って思ったら、割と自然と質問が出てくる
 自分のことを話さなきゃいけないわけじゃないし、自分の中で腑に落ちないことを質問していくだけなので。

 やっぱり、コミュニケーションのジャンルが違うんですよね、自分の中で。

 逆に、取材の時に急に向こうから「なんでこの仕事就いたの?」みたいな感じで問われたりしたほうが困っちゃいますね。
 
──質問するほうがやってて気持ちいいというか、心地いいですか?

澤さん そうですね。そのほうが楽、って言うのもなんかおこがましい気もするんですけど、スッと出てくる感じがしますね。

 質問し尽くしちゃった時とか、そっちのほうが困っちゃうかな。もう雑談でいいかなっていう時。

 あと、私、自分で掲載用に(取材対象者の)写真を撮ってたんですけど、雑談してもらったほうが笑顔の写真が撮れるので、その時の会話とかのほうが困るかな。意識はカメラに集中しなくちゃいけないけど、盛り上げるために話を振らなきゃいけない時のほうが、聞き手でも困るかなあ、どっちかっていうと。

東京と自立

──地元に戻られてからもまた東京に出たかったというお話がありました。大学時代に過ごされて、東京は好きだった?

澤さん 東京という土地が好き、というよりかは……うーん。
 昔から両親との関係があまりうまくいってなくて。就職が決まらなくて、金銭的な理由で地元にいたので。

 求人広告の代理店で働いてた6年半ぐらいの間に、地元でひとり暮らしをしようと思ったことはあったんですよ。けど……親に相談したら、ひとり暮らしするんだったらお金貯めなさいと言われ反対されまして。
 
 まあそういうこともあって、(親と)物理的に離れなきゃだめだなと思ったことと、物理的に離れるに当たって、どこの場所がいい?ってなったらやっぱり、働く選択肢もいっぱいあって、大学時代の知り合いも多少いて(という東京がいいと思った)。

 あと、両親と離れていた大学の4年間って、割といい思い出が多くて。就職が決まらなかったこととか、つらいことももちろんあったんですけど。そういう、いい思い出がある場所にもう一回身を置きたい、みたいな。

 そういう4つぐらいの理由と思いがあったので、東京っていう場所を選んだ、っていうことですね。

──東京に戻られて、どうでした?

澤さん 「楽しい」とか「解放感」みたいな言葉がセオリー通りなのかもしれないですけど(笑)、私の中では「ああやっと自立できた」っていう感じですね。

 (私は)前の会社で取材とる人として割と重宝されてたんです。すごい悩みながらだけど、こつこつやって、合ってるのかもわからないけど自分のできることでちゃんと周りに貢献できるようになってそれで得たお金で家賃払って……
 なんか大袈裟かもしれないんですけど、「ああちゃんと生きてる」っていうか(笑)。

 だから別に東京じゃなくてもよかったっちゃよかったのかもしれないけど、自分の力で……もちろん周りの人の協力もあって生きてるんですけど、「自立できた」「生きてる」みたいな気持ちですかね。

貢献してお給料をもらっている

──「周りに貢献」という言葉を数回使われていますが、これは澤さんにとって何かポイントなんですかね?

澤さん あーー……言われてそうなのかもとは思いました。

 まず、どうしたいか問われるとちょっと困るみたいなところが(自分には)あるってさっきも言ったと思うんですけど、自分がどうしたいかは置いといて、逆に周りがどうなったらいいかみたいなことを考えて動くといいかな?と(思っている)。うまく言えないですけど。
 
 あとは、回り回って、結局周りに貢献してお給料もらってるという価値観ではあるので、そこは確かにポイントなのかもしれない。

──インタビューをやっていきたいというのも、得意を生かして組織に貢献できるからという意味での選択でもあるんですかねえ?

澤さん まあ……私だけじゃなくて、得意って言うとなんか大袈裟な気がしちゃうんですけど、やっててそこまで苦じゃないことをみんなそれぞれやって、ひとり一人がそんなに負を背負ってない状態で力が集まってチームになって、社会が回ってけばいいなーみたいなことは思いますよね。
 答えになってますかね(笑)。

カウンセリングよりインタビュー

──今まで何人にインタビューされてきたんですか?

澤さん たぶん300人とかいったんじゃないかな。電話のみも多いので、直で会ったのは50人ちょっとですね。

──すごい。
 澤さんなりに蓄積してきた、インタビューに対しての心得やコツとかがあれば。

澤さん 話したいことを話してもらうのがいちばんいいかなと思います。会社の人間として仕事としてやってるので、聞かなきゃいけないこともあるんですけど、向こう方は話したいこともあるので、できるだけ話したいことを話してもらって、その合間合間に聞かなきゃいけないことをはさめればいいかな、って思って聞いてます。

──話したいことを、気持ちよく話していただくにはどうしてますか?

澤さん できるだけ遮らないこと、相手のテンションに合った相槌を打つこと。相手が悲しいエピソードを話してる時には悲しいトーンの相槌になるし、本人にとって楽しいこととかうれしいことを話してくださってる時はやっぱり声のトーンも上がるから、それに合わせて。こっちも聞くことにのめり込んでると、自然とそうなってくんですけど、相手のトーンに合わせた相槌を打つってことは意識してます。

──傾聴とかインタビューのしかたとか、特別な勉強はされた?

澤さん いや、話すことより聞くほうを伸ばしていったほうがいいかもって思ってから、(先ほど言ったことは)意識的にやるようにしたってことですね。

 あ、私、産業カウンセラーの講座を受けて、資格に合格しているんですけど、その時カウンセリングの実践としてかなり聞く練習はしました。
 講座を受けたのは、健康食品の会社に勤めてから1年ぐらい経ってからなので、2〜3年前くらいですかね。

──産業カウンセラーの資格や知識は、仕事で使おうと思ったんですか?

澤さん もっと傾聴をうまくなりたいなと思ったのもありますし、もともと心理学とか、働く人のメンタルヘルスみたいなことに興味がありました。
 仕事に使えたらいいなっていうのもあるし、自分の興味の範囲で学習したい思いと両方あっての受講でしたね。

──産業カウンセラーになるお気持ちは、今のところは?

澤さん あんまり考えてなくて、ですね……そこが、自分が今後どうしていくべきかとつながってないところで、うまく言葉で表せない部分でもあるんですけど。

 働く人のメンタルヘルスに興味はありつつも、自分がどう関わっていくかは明確でなく、カウンセリングをやりたいよりかはやっぱりインタビューだなとか。

 あと、カウンセリング領域に貢献するんだったら、もっとカウンセリングが気軽に受けられる社会になればいいなと思ってるので、カウンセリングをちょっとでも試したほうがいいんじゃないかなっていう人たちとカウンセリングをつなぐ役割のほうが興味あるかなとか思ったりします。
 だからカウンセラーになるのは……うーん違うんだよなーっていうところです。

 カウンセリングっぽく聞く時間を、インタビューの中でちょこちょこはさみ込むのは、相手に信頼してもらうために必要なのかなと思うんですけど。

──今の会社では、インタビューをするお仕事はこれからでしたよね。

澤さん はい。これからの予定という形で、今は全然なんですね。

──仕事でインタビューしたいですか? しようと思ったら、私のようなやり方も含め、いろいろやり方もあると思うんですけど、会社のお仕事でやりたいなと思う?

澤さん うーん……そうですねー……まあ、できたらいいかなーっていうところですかね。

(終わり)


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