見出し画像

2021.8.30 人の豊かさに興味がある

男性 20代 大学院生

「鹿児島から来ています。院生で、今は近くの事務所でインターンをしています。

昨日、芸大の美術館でSDGsの展示を見に行って。ああ、すごいなあと。僕は建築やグラフィックデザインをやっていて、地元では環境問題について考えたり、たまにゴミ拾いをしていたんです。SDGs=環境問題だと勝手に思っていたけど、そうじゃないんだ、社会問題なんだと。アプローチの仕方がいろいろあって、皆がそれぞれの解釈をしている。面白いし、可能性として今後いろんなやり方があるんだなと。僕、言葉や文章が好きなんです。(展示空間の中に)いろいろあった中で一番惹かれたのは、(壁に貼ってあった)言葉です。言葉の表現に惹かれました。

展示会に行ったり映画を見たりするのも好きです。『さよならくちびる』という映画を知っていますか。小松菜奈さんと門脇麦さんと成田凌さんが出ていて。3人が音楽のユニットを組んでいて、その解散ツアーの旅に3人で出ているというのが話のメイン。3人は三角関係なんです。劇中で何度かキスシーンが出てきて、そのキスで触れた唇が離れてさよならする時にどういう意味があるのだろうか、という示唆に散りばめられていて。あ、面白い、と。その唇に意味を込めるのか、と。素晴らしい映画でした。

僕、人の話を聞くのが好きなんです。以前は人の名刺を作っていました。友達が、就活のあり方は正しいのか?と社会問題的に考えていて。就活の形を変えようということで、企業側もそれに対応しようと変わっていく中、学生側はあまり変わらないんです。企業側が学生に「私服で来てください」と伝えると学生は何も持たずに私服で行くんです。企業側からしたら良い人材をとりたいのに、普通に私服で来た学生を見て何が分かるんだろうという。話して分かることはコミュニケーション能力や人としてどうか、とか。それも大事なことだけど、それで仕事ができるかどうかは分からない。企業側が変わっていく中で、学生側も今後変わらないといけないと思ったところから名刺作りを始めたんです。

人それぞれ何かしらの武器があって、それは個人のらしさからの表出であって。個人らしさや個性を表出させるような名刺をデザインできたらな、と思って。元々それは抽象的なものなんですけどね。それを引き出すのに「どんなデザインや色が好きですか?どういう方向性が良いですか?きれいめが好きですか?」と聞くと思うんですけど、それはあまりやりたくなくて。その人のお名前から聞いて、出身、家族構成、どういう子供時代を過ごしたかとか、出生を辿って。辿ってきた中でどんなイベントがあって、自分の考え方がどう変わって、今どう生きているか。その人がどういう人かをたくさん話してもらった上で、僕は簡単な整理をして「こういう人なんですね」「こうかもしれないですね」と返すんです。それは相手にとっての整理になって、学生にとっては自己分析にもなるんです。僕はそれをデザインに落とし込んで名刺にするんです。それを2、3年やっていました。今は自分の興味が建築なのかどうかも分からないですね。人の豊かさに興味があるので、今はいろんなものに手をつけています。

豊かさって何だと思いますか?僕もそんなに答えがあるわけじゃなくて。その答えを見つけたいと思ったのが2、3年前です。長崎にもう亡くなられたデザイナーの方がいて、その方は幸せとは何かについて考える方で。その人のところに押しかけて、豊かさとは何ですかね、という話をして帰ってきました。その人は、豊かさとは個々人の美意識だ、と言っていました。個々人の中での美しい生き方だったり、美しいあり方だったり。その時に、豊かさっていろいろあるんだなと思ったんです。

僕はそれについて建築設計やデザイン、写真もやりながら考えています。自分の中では、よく悩みよく考えることは豊かなことだなと思います。自分がすごく悩むし、よく考えるので。それで苦しむことがすごく多いけど、考えないよりは豊かかなと。」


この記事はBE AT TOKYOのプロジェクト、【BE AT TOKYO DIARY】で制作しました。

※感染症等の対策を十分行った上で取材しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?