≪ウクライナ紛争の兵器シリーズー2 T-64中戦車≫
≪ウクライナ紛争の兵器シリーズー2 T-64中戦車≫
旧ソ連という国は、第二次世界大戦時から世界に技術的に先駆けた優秀な兵器=戦車を大量に生産し、軍に装備したことで「戦車王国」の名をほしいままにした。いまでも、旧ソ連諸国の人で知らぬ人のないT-34中戦車とか、KV重戦車などは、そこそこの優れた火力と防御力を持ち、対戦相手だったドイツ軍には手ごわい相手だった。
戦後もそうした伝統を引き継ぎ、大きな口径の火砲と優れた防御力、機動力を持った戦車を、それこそ万単位で生産し、ソ連軍だけでなく友好国家となった東欧やアジア、アフリカなどの諸国軍にも大量に供与した。4次にわたった中東戦争でイスラエルを攻め立てたアラブ諸国軍は大量のソ連製戦車を投入したし、1975年に北ベトナム軍がサイゴンを陥落させた際も、南ベトナムの大統領官邸に突入して制圧したのはソ連製戦車だった。
現在でも、統計上、世界各国に存在する戦車総数(たぶん10万台程度)のうち、旧ソ連製が7割以上を占めていると言われる。実はこれが迷惑な話で、頑丈で簡単な訓練で動かすことの出来る旧ソ連製戦車は、それを持つものを政治紛争において常に武力行使へと誘う原因となっている。世界に1億4000万挺がバラまかれたカラシニコフAK自動小銃と共に、旧ソ連製戦車は世界中で武力紛争を惹起させる大きな物質的要因の1つとなっているのだ。人類に残されたありがたくない「社会主義大国の遺産」である。
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