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[栄養学]ヨーグルトの2倍強い!最強乳酸菌で集中力から美肌まで手に入るスーパーフード・ぬか漬けの圧倒的健康効果!!

今回は日本が誇るスーパーフード「ぬか漬け」です!
ぬか漬け自体は平安時代から存在しており、現代でも普通に食卓に並ぶほど身近な食品ですが、その健康効果は予想を超えるものでした。
特に、医療の分野でも注目されている腸内フローラに絶大な効果が期待できます。
腸内環境を変えると性格が穏やかになったり、仕事のパフォーマンス向上に繫がる様な論文が多く発表されています。
一体ぬか漬けにはどれくらいのパワーが秘められているのかを徹底解説していきます。

普段から食べている方も、食べていないかとも必見の内容となっております!

1 圧倒的生存率!ヨーグルトの2倍以上も生きて腸にまで届く最強乳酸菌!!

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冒頭でも触れましたがぬか漬けには強力な整腸作用があります。
整腸作用がある食品の代表格はヨーグルトですが、ぬか漬けにはヨーグルトを凌駕する強力な乳酸菌が存在します。

 1-1 最強は10日で完成する!逆境を乗り越えるぬか漬けの乳酸菌!

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ヨーグルトは乳酸発酵をして、乳酸菌を増やし独特な風味を発生させています。
ぬか漬けも、ぬか床(米ぬか)や野菜に含まれる植物性乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラムなど)を利用して乳酸発酵させ増殖していきます。

ぬか漬けはぬか床に漬けて発酵させるのですが、ぬか床を作る際に大量のを入れます。
この塩によって雑菌は勿論、普通の乳酸菌は死滅してしまいます。
しかし、この環境こそが胃酸にも負けない強い乳酸菌を育てる秘訣となります。

弱い雑菌、ばい菌、乳酸菌は死滅して無力化
しますが、この環境下でも増殖を続けられる本当に強い乳酸菌だけが生き残りぬか漬けの最強の乳酸菌となる訳です!

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このグラフはぬか床内の乳酸菌増殖過程を示しています。(1
10日間で爆発的に増殖を続け、ぬか床内のPHを下げて自らに適合する環境に変えている事が分かります。
ぬか漬けの酸っぱさは正に乳酸菌が仕事をした結果の味だったのです。

ぬか床内の乳酸菌は約10日かけて急成長します。
また、熟成されたぬか床は1gあたり約1億個の乳酸菌が生きていると言われています。
ぬか床は育てて強くすると言いますが、本当にその通りですね。

また、糠(ぬか、以下略)に含まれる乳酸菌は入れる食材によって変化します。
野菜などに多い植物性乳酸菌はぬか床の原料である米ぬかと相性が良いですが、他にも福島県では「へしこ」と呼ばれるサバを糠に付ける伝統食があります。
熟成されたぬか床は様々な食品を発酵食品に変えてくれます。

そういった糠には、多種多様な乳酸菌が存在します。
これは、ヨーグルトには有り得ない現象なのでぬか漬け特有の現象です。

参考:(1)東海漬物 漬物機能研究所より

 1-2 胃酸を長時間耐え抜き腸まで届く!

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過酷な環境で生存、増殖を行うぬか漬けの乳酸機が強いのは何となく分かってきたかと思います。
では、実際にどの位強いのかを見ていきましょう。

2020年2月にNHKで放送された特集を参考にしてみましょう。
番組では、ぬか漬けから摂った乳酸菌(植物性乳酸菌)乳製品から摂った乳酸菌(動物性乳酸菌)を比べる実験を行いました。
2食品から採取した乳酸菌を人口の胃液、腸液に付けて生存過程を観察しました。

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このまま7時間経過させて、どの程度生存しているかを観察します。

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実験結果はこの様に、ぬか漬けの乳酸菌は7時間後もしっかりと生存してるのに対して、乳製品の乳酸菌は多くが死滅している事が分かる。
死んだ乳酸菌は腸内の善玉菌のエサになるので、乳製品の乳酸菌が劣るとは一概には言い切れませんが、生きて腸にまで届く乳酸菌は圧倒的にぬか漬けが勝る事が分かります。(2
実験では、ぬか漬けの乳酸菌は2倍以上の生存率でした。

参考:(2)ぬか漬けの乳酸菌はなぜ強い?(NHK)

 1-3 過酷な環境でも唯一成長する驚異の乳酸菌

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ぬか漬けの主たる乳酸菌である植物性乳酸菌の強さを調べた実験があります。
東海漬物と九州大学の共同研究によって乳酸菌の形成と機能を調べた論文です。(3

塩分濃度5%のぬか床に様々な乳酸菌を定着させて60日間の生存率を記録しました。
実験結果は、

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60日間の間、ぬか床内では様々な乳酸菌が優位性を変え、その度に生存率を下げる中でラクトバチルス・プランタラム(植物性乳酸菌)は徐々に生存率を上げて最終的に圧倒的な生存性を示しています。

他の乳酸菌が死滅する環境下でも成長を続けるぬか漬けのラクトバチルス・プランタラム(植物性乳酸菌)は正に百戦錬磨の最強乳酸菌と言えます。

参考文献:(3)漬物における乳酸菌の働き-乳酸菌叢の形成とその機能(九州大学との共同研究)

 1-4 腸内で鉄壁のバリアを構築し悪玉菌を寄せ付けない!

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NHKのぬか漬け特集では、ぬか漬けの乳酸菌が悪玉菌を寄せ付けない瞬間を記録していました。
実験では培養シャーレの真ん中にぬか漬けから採取した乳酸菌を置き、同じシャーレの端に悪玉菌を置いて増殖させました。

実際の腸内でも善玉、悪玉の領域争いは頻繁に起きています。
ぬか漬けの乳酸菌は胃液、腸液を高確率で耐え抜くことが分かっています。
この最強の乳酸菌は果たして悪玉菌に対してどういう作用をするのでしょうか?

では、この実験結果をご覧ください。

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乳酸菌の領域に悪玉菌が殆ど入って来られない様子が確認できます。(4
ぬか漬けの乳酸菌は腸内でも善玉菌優位の環境を作る可能性が高いことが予想されます。
さらに、胃液による死滅が少ないことからも多くの乳酸菌が腸内で多数活躍してくれると考えられます。

腸内フローラに関して最強クラスの食品である事は疑いようがないですね!
ヨーグルトでも、あまり効果を感じられない方は是非ぬか漬けを試してみて下さい!
ぬか漬けは、手入れは必要ですが10日前後で立派なぬか床の土台が完成しますので、この機会に挑戦しても良いと思います。

ぬか漬けの作り方は「山形 味の農園」のHPを参考にすることをお勧めします。
おススメのぬか漬けセットも紹介しますので、参考にしてください。

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参考:(4)ぬか漬けの乳酸菌はなぜ強い?(NHK)

2 栄養がパワーアップする!乳酸菌だけじゃない栄養素

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ぬか漬け由来の乳酸菌の素晴らしらを紹介しましたが、糠に漬ける事でパワーアップを果たす栄養は乳酸菌だけではありません!
一般的なぬか床は米ぬかを主体として作られています。

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米ぬかとは、玄米を精製して白米にする際に削り取られてしまう上の画像部分を集めた物です。
精製過程で削り取られてしまう部分には、米の栄養の大部分が含まれていて非常に栄養価の高い部分になります。
近年では精製米(白米)より栄養価の高い玄米が注目されるなど、話題になりつつあります。

そんな、部分を集めて作られたぬか床は言うまでもなく栄養の宝庫です。
その中で発酵するぬか漬けは乳酸菌のパワーアップ以外にも驚異的な栄養強化が起きます。

特に、水溶性ビタミンBは糠に漬けられている間、浸透圧により食品から水分が抜け出る間に、漬けてある食品に入り込み大幅な栄養強化が起こります。
また、近年高い抗酸化作用によりガン予防の注目が集まっているフィチン酸も豊富です。

では、実際にどの程度栄養が上がるのか確認しましょう。

 2-1 ぬか漬けきゅうり vs 生きゅうり~ミネラル編~

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日本食品標準成分表2015年版(七訂)を参照して比較します。
ぬか漬けの代表的な野菜であるキュウリで比べます。

 ・ナトリウムは2100倍!?

ぬか漬けのデメリットとして最も多く挙げられる塩分ですが、やはり爆上げ状態ですね。
キュウリに関しては、ナトリウムは2100倍となりました。
ただし、きゅうり一本丸ごとぬか漬けを食べる人は少ないと思います。
とは言え、塩分は多くなるのは間違いないので2~5切れ程度を目安にすると良いでしょう

 ・カリウム、マグネシウムは約3倍!
体内の塩分濃度を調整する作用があるカリウムは約3倍になります。
塩分の増加が気になるぬか漬けですが、塩分の調整役でもあるカリウムも増加すると言う事も確認できました。
また、マグネシウムは様々な酵素の補助役を担い、体の機能をサポートするのと同時に、リンなどと結びつき骨を強くする役割がります。
このマグネシウムも約3倍増え、尚且つリンも約2倍になるので骨の成長や強化に非常に有効的と言えます。
成長期のお子様にもお勧めします!

 ・マンガンは2倍!
マンガンは糖や脂肪などの代謝に効果を発揮させるダイエットに有効な栄養素です。
このマンガンは2倍に増えるので、健康効果を獲得しつつ代謝の良い体作りにもぬか漬けは効果的です。

ぬか漬けにすることで、ミネラル成分が多く強化される事が分かります。
懸念される塩分ですが、確かに多い傾向ですがしっかりと理解したうえで適量を摂取する事により、遥かにメリットが勝ると思いますので、大量に食べるのではなく副菜として毎日数枚を食卓に並べるようにしましょう。

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

 2-2 ぬか漬けきゅうり vs 生きゅうり~ビタミン編~

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日本食品標準成分表2015年版(七訂)を参照して比較します。
ぬか漬けの代表的な野菜であるキュウリで比べます。

 ・ビタミンA群はやや減少
不溶性ビタミンであるビタミンA群は総合的に見るとやや減少してしまいます。
ただし、減少量は非常に微々たる量であるがαカロテンは4倍に増加するなど、単体ではなく複合的に作用する要素であるビタミンAに関しては殆どデメリットにならない減少と言えます。

 ・ビタミンKは約3倍
骨などの形成に関与するビタミンKは約3倍に増加します。
ぬか漬けにすることで、マグネシウムやリンも増加するので骨密度を高めたい世代や成長過程にある年代に有効な食品です!

 ・ビタミンB群は増加!
ビタミンでぬか漬けの恩恵が最も大きいのはビタミンB群です!

ぬか床に使われる米ぬかには、元々ビタミンB群が豊富でぬか漬けにすることで栄養価が増加する事が期待できます。

免疫強化やストレス軽減に効果が期待されるビタミンB1(チアミン)は約8倍に強化されます。
ぬか漬けが風邪などに対する免疫強化に役立つ根拠となっています。

DNAの補修や細胞分裂のサポートを行い美肌効果も期待できるナイアシン(B3)当量は約5倍になります。
また、ホルモンバランスを整えてアンチエイジングが期待されるパントテン酸(B5)も約3倍となり健康的な活動やアトピーなどの炎症性皮膚炎を改善する効果が期待されています。

精神不安の改善や関節の炎症などを抑える効果が期待できるビタミンB6は4倍に増加します。
ストレスホルモンの抑制や睡眠の質向上、生理などの辛さを軽減する作用に効果が期待されています。

この様にビタミンB群はぬか漬けにする事によって非常に大きな恩恵を得ています。
中でもアンチエイジングに関与するビタミンが大きく増えているので、毎日しっかりと摂取する事によって、美肌効果が期待できる食品であることが科学的にも合理的である事が分かります。

また、日本人に不足している食物繊維も野菜などをぬか漬けにする事によって摂取できるので、塩分が多い以外は殆ど弱点の無いスーパーフードだと思います!

[更に腸内フローラを効果的にしたい方は下記の記事もおススメです]

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

3 ぬか漬け効果で美肌と集中力を同時に手に入る!

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ぬか漬けには腸内環境を整える強力な乳酸菌とアンチエイジングに役立つ豊富な栄養素が確認できました。
この効果を検証するために行われた実験を紹介します。
2017年に東海漬物が学会で発表したプレスニュースです。

20歳から50歳までの健康的な成人男女30人を集め2グループに分けました。(5

1 ぬか漬けから採取した乳酸菌を摂取してもらったグループ(試験食群)
2 乳酸菌の入っていないプラセボ食品を摂取してもらったグループ(プラセボ食群)

この2グループに対して実験前、摂取中(4 週後・8 週後・12 週後)、実験後4週間後に分けて変化を調べました。

 ・ぬか漬けは腸内の乳酸菌量を増やし腸内環境を改善する!

12週間経過後に排便中の乳酸菌の変化とアンモニア濃度を計測しました。

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試験食群はプラセボ食群に対して、乳酸菌の排出量が増えたことが確認できます。
排便中の乳酸菌増加は腸内の乳酸菌増加に関与しているため、腸内の乳酸菌占有率が上がったことが分かります。
また、それに伴う腸内環境の状態改善の目安でもあるアンモニア濃度の測定も行っています。

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試験食群はアンモニア濃度が低下している事が分かります。
排出されるアンモニア濃度が高いと腸内で腐敗が進み、腸内環境が悪い時の指標となっています。
ぬか漬けを摂取する事により腸内の乳酸菌数が上がり、腸内の環境が改善する事が分かります。

 ・ぬか漬けは美肌、集中力の向上に効果的!

ぬか漬けが美肌、集中力向上に効果があるのかを確認するために12週間経過後に顔の毛穴の数、計算の速さを比較しました。

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試験食群はプラセボ食群に比べて、顔の毛穴の数が減っている事が確認できます。
このことから、ぬか漬けを食べる事によって腸内環境が改善され、美肌に有効な効果が発揮されることが分かります。
さらに、腸内環境とパフォーマンスに関して、簡単な計算を行って貰いスピードを計測する実験も行いました。

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試験食群はプラセボ食群に比べると、計算に掛かるスピードが向上している事が分かります。
腸内環境が改善する事によって、美肌および計算などの集中力を伴うパフォーマンス向上が期待できることが分かります。

今回用いた乳酸菌はラクトバチルス・プランタラムと呼ばれる植物性乳酸菌です。
この乳酸菌はぬか床の中で最も繁殖する乳酸菌であり、ぬか漬けを食べる事によって実験の様な効果が十分期待できる食品となります。

また、腸内環境を調べた論文には移住者の腸内環境は悪化しやすい事が分かっており、その点に関しても日本の伝統食でもある「ぬか漬け」は日本人に最も適した発酵食品とも言えるでしょう。

参考文献:漬物から、腸内環境改善、美肌、集中力向上に有用な植物性乳酸菌を発見!

4 総括

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今回は日本の伝統食「ぬか漬け」を解説しました。
年々発酵食品への注目度が高まり、腸内フローラが話題になっていますが、その中でもトップクラスの効果が期待できる食品だと思います。
特に日本人の腸は欧米人に比べると長い傾向にあるので、長く腸に留まり胃酸などに強い強靭な乳酸菌が必要です。

その条件にマッチするぬか漬けは正にスーパーフードに相応しい結果が示されています。
ただし、健康に良くても塩分は強いので一度に大量摂取をするのではなく毎日の食卓に加える程度の量を摂取する事が大切です。
ぬか漬けの基本的な解説から栄養価、実験データなどを含めて紹介しましたので、是非活かして貰えたら幸いです。

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