見出し画像

【読書】R.I.P 安らかに眠れ 久坂部羊


SNSで自殺願望のある人とコンタクトを取り,実際に自殺の手伝いをして3人を殺してしまったという男の妹の手記みたいな形の小説。
今までに実際の世の中でも似たようえな事件は色々あっているので,そんな事件を考えながら読むと,単に自殺ほう助?と言っても考え方がいろいろあるなぁ…と。

死ぬ(死にたい)理由もまちまち。一人はいじめや失恋に耐え切れず自分なんていなければいいという感じ。もう一人は不治の病でだんだん弱っていき,間違いなく死ぬことがわかっているので,奥さんに迷惑かけたくないという理由。三人目はあまりに芸術的なセンスがありすぎて,この世ではやっていけないという感じ。

殺された遺族の反応もまちまち。最初の人の周りの人は,乗り越えれば何ともないだろうにとか,次の人の奥さんは,どんな苦労でも耐える覚悟があったのに…と自殺を助けた兄を糾弾するが,三人目の親は,あの子は黙っててもいつか自分で死んだろうから…とあきらめ気味。

それぞれの事情を読むと,手伝った方が本当に悪いのか…という想いも出るが,やった本人は何も悪い事をしたとは思っていなくて,相手が真剣にお願いするから手伝った,いわば善行だ…。何度もやめるように説得もした,でも懇願されたから…。という感じで,罪の意識は全くない。

そんな中3人以外にも自殺しようとしたが たが,犯人の説得で思いとどまって元気に生きている犯人には感謝しているというような証人が現れたりして,果たして判決は…。

このやり取りに加えて,実は兄をそのように追い込んだ人物の登場もあり盛り上がる。ただ最後の最後に書いていた妹が失踪するような事になってしまい(多分自殺しているのだが),スッキリしないのが不満でもある。


この記事が参加している募集

#読書感想文

188,902件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?