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見方を変えれば世界も変わる!? 「『なんとかしたい!』から発想する コピーライター阿部広太郎とともに 自分だけの“問い”に出会う」 1dayサマーキャンプレポート

毎日を過ごす中で、誰しも「こんなことをどうにかしたい」と思う気持ちが眠っていると思います。InspireHighでは、そんな10代の思いを、“問い”として掘り起こすワークショップイベントを開催しました。
「『なんとかしたい!』から発想する コピーライター阿部広太郎さんとともに 自分だけの“問い”に出会う」と題した1dayサマーキャンプでは、阿部さんと一緒に、身近な問題から社会の課題までの「どうにかしたい」を問いにし、考えていきました。

中高生のほか、学校の先生も多数参加し、問いを通して、自分自身を見つめ直し、自分は何ができるのかという可能性を広げる場となりました。

今回の1dayサマーキャンプは、阿部さんからの「Talk Part」、実際に自分で問いを立てて発表する「Workshop Part」の二部構成。阿部さんのお話はもちろん、参加した皆さんからの問いにも素晴らしい意見がありましたので、いくつか抜粋してご紹介していきます。

1dayサマーキャンプに参加した中高生たちと先生方。

■Talk Part:コピーライター阿部広太郎さんトークセッション

前半の「Talk Part」では、コピーライターの阿部広太郎さんが、「自分の問いを見つけていく」ためのヒントとして、仕事で大事にしているコツやポイントを伝えてくれました。

阿部広太郎さんは、コピーライターだけでなく、作詞家、アーティストのライブの構成作家、学習コミュニティの先生など、幅広い分野で活躍されています。

最初に、阿部さんは自身が手掛ける様々な仕事を紹介しつつ、「全ての仕事に共通しているのは、『なんとかしたい』という思いを見つけること。今、こういう状態だけれど、なんとかしたら、もっと輝きが見つかるかもしれない。この『なんとかしたい』から考えること」と、話してくれました。

さらに、「なんとかしたい」を言いかえると、「現状のAを、捉え方や見方を変えて、Bにしていく矢印を見つけること」だと、阿部さんは説明します。せっかくBに向かうのであれば、ネガティブな方向ではなく、幸福に向かうように、ポジティブな意志を持って取り組んでいきたいというのが、阿部さんの考え方です。

ここで大切なのが、「A→B」となる矢印に、自分の意志があるかということです。誰かに無理矢理やらされるのではなく、「自分がこうしたい」という意志をもつことを大事にしたいと言います。

ポジティブな、自分の意志をもって「なんとかしたい」に取り組むこと。 そして、これらを考えるうえでのコツとして、阿部さんは「考え方のフレーム」を教えてくれました。
それが、「そもそも」「たとえば」「つまり」という3つの接続詞です。
「この3つの接続詞を使うと、非常に思考が整理されます」と阿部さんは話します。
「そもそも」「たとえば」「つまり」の3つの接続詞は、ぜひ持ち帰ってほしいと阿部さん。

考え方はとてもシンプルで、以下の3つのステップになっていると、阿部さんは話します。

  1. 『そもそも』それはなんなのか、という“問い”をもつこと

  2. その上で『たとえば』こんなことがあったと、自分の脳内の「経験フィールド」を広げていく

  3. 最後に、『つまり』こういうこと!という本質を見つけていく

「『何かを考えて』と言われても、すぐに答えを返せるわけではない。思いつくのはほんの一部で、その下には無意識に感じていることがたくさんある。『そもそも・たとえば・つまり』は、潜水艦みたいなもので、無意識に沈んでいるものに手を伸ばしていける」と、阿部さんは説明しています。そして、「無意識へ手を伸ばす回数が増えれば増えるほど、成長していくと思っている」と言います。

「とにかく『思い出したもの勝ち』。自分の経験という名の辞書をしつこくしつこく引く。その中にこそ、ひらめきがある。だから、皆さんにはたくさん思い出してほしい」と伝え、「今回はワークを通して、自分の心の中を覗き込んでほしい」と、30分のトークを締めくくりました。

■Workshop Part①:個人ワークで自分の「なんとかしたい」を見つける

イベント後半では、用意した「ワークシート」を使い、2個のワークを行いました。

ワーク1では、自分の「なんとかしたいこと」は何かを考えます。

1個めのワークは「『なんとかしたい』ことはなんですか」です。参加者は、10分間の個人ワークで自分の「なんとかしたい」という問いを考え、シートに入力していきます。その後、ブレイクアウトルームに分かれ、お互いのシートを共有。「なぜ、そう思ったのか」の理由や経験を話したり、気になった意見に質問したりする時間を設けました。

発表では、中高生たちからは「受け身で生きている自分をなんとかしたい」といった自分への振り返りから、「今起きている戦争に対してなにかできたら」といった社会的な問題まで、様々な意見があがりました。一方、参加した先生からは、「先生の働き方改革」や「ガソリン価格の高騰で遠出にお金がかかる」など、切実な意見もあがっていました。

沢山の「なんとかしたい」を書いてくれる参加者もいました。

阿部さんからは、「チャットにも『共感する』といった感想があったように、他の人の意見を見て『なるほど!』『あるある!』と広がっていくのも面白い点。また、何かを感じたり、感じたことを形にしたりすることそのものが、クリエティビティ、創造することだと僕は思っている。今ここに書いてくれたことが、新しい始まりになり得ると感じています」と、感想が伝えられました。

■Workshop Part②:問いを見つける

2個めのワークでは、ワーク1で挙げた問いへの深堀りを行いました。
阿部さんは、「皆さんが見つけた『なんとかしたい』というポイントに対して、さらに問いかけて、深掘りをしていきたい」と話し、自分自身の経験や体験を掘り下げることで、問いが見えてくると語りました。

ワーク2。阿部さんが書いた、問いとエピソード。

そのうえで、「自分自身がそうだったように、『なんとかしたい』という気持ちは、自分の起点になる。きっかけを深掘りして、自分の『こういうふうにしたい』を皆さんと見つけていきたい」と伝えました。

ワークへの記入とブレイクアウトを経て、再び参加者がZoomのメインルームに集合し、ワーク2を発表しました。それぞれのルームでは参加者同士が真剣に会話をしたり、積極的に意見を交換したりして盛り上がっている姿が見られました。

ワーク1のエピソードから、それぞれの「問い」を立てていきます。

「やりたいことがあっても、やれずに時間が経ってしまうことが嫌になっている」という思いから、「なぜ、時間は早く進むように感じるのか」というテーマが出てきました。

阿部さんは、「まず、『どうしてそう感じたか』ということはとても大事。そこから一歩進んで、『どうしたら、自分にとって時間がちょうどよく進むのか』というふうに考えてみると、ちょうどよい時間のスピードが取り戻せるかもしれない」とアドバイスをしました。

最後に、阿部さんから参加者に向けて、「『なんとかしたい』という気持ちが、自分を想像もつかなかった場所へ連れて行ってくれたり、新しい仲間に出会わせてくれたりする。
矢印は簡単には見つからないかもしれないけれど、あなただからこそ生まれる“問い”と“答え”は間違いなくある。大事なのは、自分の可能性をみくびらないこと。ひとりひとりにすごい可能性がある。それを発動させるのが、自分への問いかけだと思っています」という言葉が贈られました。

阿部さんがみんなに伝えた言葉は、沢山の気付きや勇気を与えてくれました。

参加者には、阿部さんの著書『あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』(ダイヤモンド社)がプレゼントされたほか、本イベントの参加証が発行されました。

■第2回「My Inspire High Award」を開催いたします!

今回の1dayサマーキャンプには、今年11月からスタートする第2回「My Inspire High Award」にエントリーしたいという中高生も多数参加していました。
2022年からスタートした「My Inspire High Award」は、自分だけの問いを探究し、学びの成果をアウトプットするイベントです。2023年11月からエントリーが始まり、翌2024年2月に全国大会を予定しています。

第1回の「My Inspire High Award」では、「どうしてプリンセスには、王子様が必要なのか」「農業の人気を上げるにはどうしたらいいのか」など、多様な問いが発表され、参加者とともにひとつひとつの問いに向き合いました。

「My Inspire High Award」の概要。

Inspire Highでは、お互いに考えたことをシェアし合う「中間成果発表会」をはじめ、「My Inspire High Award」関連イベントを開催いたします。中高生の皆さんはもちろん、先生方もぜひご参加いただき、アウトプットを深め進めていく場としてご活用いただきたいと思います。
次回イベントの詳細は、今後発表いたしますので、お楽しみに!