演劇からのインスピレーション
こんにちは、インスピラボの前島です。
インスピラボでは0(ゼロ)次情報を自ら体験し、未来のキザシやアイデアのヒントをつかむ、という活動を行っています。その中でも、課外活動として、社外のおもしろい活動家と一緒にイベントの開催をしています。
今回は、藤田貴大さんが全作品の脚本と演出を務める演劇団体「マームとジプシー」さんと演劇のワークショップを開催しました。演じることを通してどのようなインスピレーションが得られたか、について書いていきたいと思います。
演劇のワークショップでやったこと
演劇のワークショップでは、前半は4つのワークショップを行い、後半は藤田さんとの対談を行いました。社内イベントとして、普段はまったく演劇とはかけ離れている仕事をしている参加者が集まり、どうなるのだろう…と最初は不安もありましたが、6時間のワークショップは、全て楽しく、あっという間に時間が過ぎていきました。
1.いすとり鬼ごっこゲーム
初めに行ったこのゲームは、鬼が足をくくられている想定で、すり足で空いている席に座りに行きます。空いてる席に座られないように他のメンバーは鬼が向かう空いてる席に座りに行きます。頭も身体も使いながら、全体を見渡しながらチームで協力もしないといけないゲームで、チームの距離がぐっと縮まるゲームでした。
2.空間を読む
これは、自分が舞台に立つ演者だとして、シーンにあわせて、正位置・反転・前後・など立ち位置を記憶して、号令に合わせて移動していきます。人と人の距離や向きを空間で記憶し、移動した時もその記憶どおりに自分が位置しているかを確かめます。まさに空間をどう読むのか?という身体の体操をした気分でした。
3.みんなの街を繋げた地図を描く
床にマスキングテープやマジックで自分の街を描き、そしてみんなの街を繋げて一枚の地図を描きます。そして、地図が出来上がったら、一人ひとりの街をみんなで巡って、紹介をしていきます。自分の街の特徴やおすすめのお店などを紹介してくれて、なんだかお散歩をした気分になりました。
4.みんなの日常を切り取り演じて繋げていく
今日朝起きて初めに誰かと話したシーン、家から会社まで印象的だったシーン、一日の終わりに最後に誰かと話したシーン、といったテーマを一人ひとりが切り取り、役者になり、みんなで演じていきます。そして、各自のシーンを次の人のシーンに繋げていき、参加者全員で一つの作品が出来上がってきました。
5.藤田さんとトークセッション
藤田さんに、演劇について色々な質問をさせて頂きました。演劇のチームづくり、作品づくり、FANとの関係性、などを聞きながら、異業種ながらも、私たちの働き方や組織、モノづくりにも通ずるヒントを沢山頂きました。
演劇のワークショップから得たヒント
という訳で、ワークショップを体験した中から得た気づきを書いてみたいと思います。
1.様々な役柄を演じることでそのヒトの気持ちを享受する
朝起きて初めて誰かと話したシーン、家から会社に行くまでのシーン、寝る前最後に誰かと話したシーン、その中で出てくる、家族・両親・子供・一般の人等、これらの役を参加者で演じることで、視点を変えるという体験をしました。
藤田さんから、「当人を演じる、というのはヒントになってない。相手からどう見えてるか、の繰り返し。いろんな角度で自分を見つめて、その答えを見つけるのが役者の仕事」というお話がもありましたが、誰かを演じることを通して、そのヒトの視点や世界、気持ちを考える時間となりました。
2.チームはヒトがつくる、ヒトでつくる。誰と長い旅を過ごせるか。
藤田さんは演劇ごとに、演者やスタッフなど、毎回キャストを変えるというスタイルをとっています。また、はじめましての人とは仕事をせず、マームとジプシーを見てくれた人というのが条件でもあります。そしてオーディションは書類審査を一回もしたことがなく、500名くらいの応募者全員にワークショップを行い、選考していくとのことでした。「演劇は長い旅だから、この人と過ごせるなっていうのをずっとさぐっている感じ」とお話されていました。
これは企業の組織とはまったく違う構造だと思いました。組織の人や体制は毎年変わるし選べません。でも、こういう組織やプロジェクトの作り方を、本当はできたらいいなと感じます。そして、この人と仕事をしたい、この人とプロジェクトをしたい、という仕事を作っていく。むしろそう思われる側になる為に、もっと魅力ある組織やプロジェクトを発信する必要性も感じました。
3.点と点を繋げて一つの作品にする過程で、意味付けや愛着が生まれていく
地図や演劇を行う中で、作品ができた後に、これはなんだったのか?と自分自身が振り返ることで、意味づけを内省することができました。参加者のみなさんからも、今回の演劇と普段の仕事を紐づけて様々な質問や感想が出ており、意味のレイヤーで点を繋げる作業の中で、体験の解釈を行っていた様に思います。
普段の仕事や生活でも、何かを振り返る時に、1つの点だけ振り返ると見えてこないことが、いくつかの点を繋げて振り返ることで、新しい意味づけが行われ、そこに愛着が湧いてくるのかもしれないと感じました。組織やプロジェクトの中でもリフレクションをすることがありますが、実はとても大切な過程なのだと再認識できました。
4.領域を超えたその先の優しさ
藤田さんはプロとの仕事以外に、一般の人たち(今回の私たちみたいな人や子供達)とのワークショップも行っています。「プロではなくって、一般の人が演じるのは、嘘ができない表現をするので、気づかなったヒントが得られる」とお話されていました。
また、子供たちを相手にワークショップする経験から、「表現というのは逃げ込んでいい所だと思う。そういう部屋をつくっておくことは大切だなって。ちょっとした部屋になりたいなって思ってる」と。今の時代の負の部分や、子供だから逃げ場所がない時に、確かに表現の逃げ場というのは一つの場所になりえる気がしました。
仕事としての演劇という領域を、拡張した仲間と取り組む活動の中には、藤田さんの優しさや世の中への問いかけ、というものを感じ、とても共感を覚えました。
演劇とデザインの関係性
私は普段、サービスデザイナーとしてデザインをしたり、組織のマネージメントをしたりしていますが、今回の演劇からデザインに紐づくヒントを得ることができました。
サービスデザインの中ではUXの中でシーンを切り取り掘り下げることがありますが、そのシーンの中や、全体のストーリーの中でのマクロとミクロの視点を持つ必要性や、全体最適の描き方を学ぶことができました。そして、組織づくりという点では、それぞれの役割、バトンの渡し方、頼り方などを学ぶことができました。
演劇は、演出家と演者・スタッフで構成されており、最高のチームで作り上げたものは、観客の心を揺さぶるものになります。私自身が関わるプロジェクトもそんなチームでモノ作りができて、誰かの心を揺さぶられたら素敵だなと思います。
今回は演劇という異業種の方とコラボレーションすることで、本当に楽しく、沢山のインスピレーションを得ることができました。藤田さんとの出会いに深く感謝致します。
おまけ:演劇の妄想サービス
ということで、いつもの妄想サービスを書いてみます。
演劇と掛け合わせてこんなサービスあったらいいな~。
・演劇寺子屋(演じる⇒悩みストレス発散)
・パーソナル演者サービス(仕事によってキャラ変更指導)
・演劇でつくるフラット組織(新組織のキックオフでやるサービス)
・コミュニケーション支援(上司と部下の逆立場経験)
・演劇プレゼン(事業戦略や新サービスを演劇で表現してみる)
最後まで読んで頂きありがとうございましたー!
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