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D&Iの意味をちゃんと考える

生まれた所や 皮膚や 目の色で
いったい この僕の 何がわかるというのだろう

「青空」THE BLUE HEARTS

このメインビジュアルを選んだ時にふとこの言葉がよぎりました。
この言葉だけで、ものすごく多くを語ってくれますね。


言葉の意味の整理:D&I

「ダイバーシティ(=多様性)」という言葉で何をイメージされますか?

よく、ビジネスシーンで「女性の活用」や「外国人雇用」などの意味で使われるケースを見かけますが、もっと広義の意味があります。

ダイバーシティ(多様性):一人ひとりの属性や個性が認められている状態

上記の「属性」という言葉の中に「人種・年齢・性別」などが含まれるのですが、ここだけが一人歩きして捉えられてしまい「ダイバーシティは女性雇用だ」や「ダイバーシティは外国人雇用だ」という形で表現している記事などは注意して読まないといけないです。

また「インクルージョン」という言葉。この言葉の意味をうまく答えられる人は少ないかもしれません。直訳すると「包含」。これでもピンとこないですね。

インクルージョン(包含):個々の存在を受け入れて尊重されている状態

要は「認められている」「存在価値を感じられる」状態にすることです。このインクルージョンは単体で使うことは少なくて、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」として使われることが多いですね。

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I):個性ある一人ひとりが互いを尊重し、互いに活かすことで組織が活性化している状態

一般的にこのような説明文になっていると思います。
良く考えると、ダイバーシティでは「個性が認め」られて、インクルージョンでは「個々が尊重」された状態ということなのに、繋ぎ合わせた言葉「D&I」では「組織が活性化」するところまで意味が補充されています(笑)。

また、このD&Iの意味でも注意すべき点があります。それは、「D&I」をやると=「組織が活性化する」と勝手に考えてしまうことです。ダイバーシティもインクルージョンもあくまで「状態」で、個々を受けいれて、尊重することです。「D&I」は「ダイバーシティとインクルージョンが成り立っている状態」が続くことで、企業文化となって「組織が活性化する状態」に繋がっていく、と考える方が自然かなぁと思います。

「D&I」と一言で話をした時に、その「意味」の認識がズレてしまうと、なかなか話が噛み合わなくなります。上記を踏まえた上で、Insity では以下のように定義しています。

Insity における Inclition と Diversity の定義

ちなみに Insity は「Inclusion 」と「diversity」を組み合わせた造語です。
※↑は他でも説明しているので、ここで一言だけ(笑)

当社は下記のように定義しています。

インクルージョン&ダイバーシティ:みんなが自分らしく働くことができ、価値を生み出していく組織

一般的な「D&I」の解釈と基本的には同じですが、「自分らしく」という表現を重要視しました。「お互いを尊重する」という相手を立てる表現より「自分が自分らしくいられる」という感覚の方が会社の目指す形に近いなぁ、と思っています。

「DE&I」:「Equity(エクイティ)」について

 昨今はD&Iという表現ではなく「DE&I」と表現することも多くなってきました。ここの「E」については、「Equity(エクイティ)」という意味になります。

エクイティ(公平性):個々の状況にあわせて公平な土台をつくり上げること

注意しないといけないのが公平を平等と勘違いしてしまうこと。「Equity(公平性)」と「Equality(平等性)」は違う、ということです。

「平等性」は個々の状況に関係なく、すべての人に同じ支援を行うこと。「公平性」は、個々の状況の違いに着目し、状況に応じて支援内容を変えること。

例えば、月1回の生理休暇を女性に与えるのは公平性を担保しています。一方で、平等性の考え方だと、男性にも月1回の休暇を付与することになってしまいます。

ちなみに当社では、「Equity(公平性)」については、現時点では会社の指標としては取り入れていません。ここは非常に難しい問題で、引き続きの検討課題になっています。

「DEI&B」: Belonging(ビロンギング)について

まだ、あまり馴染みがないかもしれませんが、DEI&Bという言葉も耳にするようになりました。Bの意味は「Belonging」になります。

ビロンギング(相互的信頼):組織に受け入れられたと本人が感じていること

「ビロンギング=帰属意識」と説明されているケースももありますが、その表現の場合、軸が会社になってしまうため、ニュアンスとしては良くなさそうです。
※帰属意識が高い = 会社の意図する通りに行動するというニュアンスになるため

このビロンギングの考え方は当社では「D&I」の中に既に含まれている前提と捉えています。あえて明記せずとも「自分らしく働くことができ」る状態は組織に受け入れられていないと難しい、という感覚です。

番外編:affirmative action(アファーマティブアクション)について

「D&I」の話に関連して、時折出てくるワード「affirmative action」についても補足しておきます。

アファーマティブアクション:差別的な過去の行いに対し、積極的な是正をすること

「公平性を実現するためには、差別や抑圧の過去も考慮に入れるべき」という考え方がベースで、対象者を優遇する対応方針になります。

企業でこの考えを取り入れる場合、人によっては不公平に感じることもあり、慎重な判断が必要になりそうです。

・対象をどこまでとするか
・期間を制限するか

このあたりも含めて、判断が難しい問題だなぁと感じます。

まとめ

ということで、「D&I」という言葉の意味と、それに関連するワードの説明をしました。

ダイバーシティ(多様性):一人ひとりの属性や個性が認められている状態

インクルージョン(包含):個々の存在を受け入れて尊重されている状態

エクイティ(公平性):個々の状況にあわせて公平な土台をつくり上げること

ビロンギング(相互的信頼):組織に受け入れられたと本人が感じていること

それぞれ独立して意味はあれど、まとめると以下の意味になります。

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I):個性ある一人ひとりが互いを尊重し、互いに活かすことで組織が活性化している状態

この話になる時に、前提とした意味が一致していないことが多いな、と感じているので意味の説明をさせていただきました。

ではでは。

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