ウェブメディアの中の人

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  • 大転換期のウェブメディア

    2024年はウェブメディアにとって大きなインパクトがある年になる。そのきっかけは3rd Party Cookie規制である。 その結果、8割のウェブメディアはサバイバルに直面することになる。それについての考察である。

最近の記事

Google, 3rd Party Cookie規制撤回。でもまだ油断できない(はず)

いろいろ研究して準備を進めてきましたが、華麗にはしごを外された形です。 しかし、いろいろと折り合いがつかない中、最後にさじ投げる展開は全くの想定外だった。。。 ただ、これは一旦は流れが3rd Party Cookie廃止に傾いていたなか、そのまま元に戻るというのはひねりがなさすぎるというもの。業界の雰囲気はまだ伝わってきていないが、もう影響なしという声も聞こえてきており、そりゃないでしょというのが現時点での私の考えだ。下記の杉原さんの記事でもそうはいかないかもよということ

    • 大転換期のウェブメディア ④ウェブメディア大量閉鎖の衝撃その1

      前々回の補足 この連載の第2回目で、ウェブ広告による収益化が困難になりつつあるという話を書いたが、年度の切り替わり以降の動向を見ていて、その傾向はほぼ間違いない傾向であるとの想いを強めている。 ところで、その連載第2回目の記事内で広告枠の大量設置が広告単価を下げている要因という説があるということを書いたが、筆者がよく記事を読ませていただいている境治氏がその点について言及されていた。 この記事の中で「MFA(Made For Advertising)サイト」について触れて

      • 大転換期のウェブメディア (番外編)前澤友作氏激怒、詐欺広告について

        ナメた詐欺広告が跋扈 本稿執筆時点では引き上げたのか、Facebook上で確認できなくなっているが、Meta社が配信する広告で有名人の映像を勝手に利用している詐欺広告が蔓延っている。筆者のFacebookの投稿履歴を確認すると、3月12日の時点で有名人を勝手に使っているインチキ広告が最近多すぎるという旨の投稿をしており、友人達からの返信もいくつかついている。詳細はここでは不明であるが、おそらくは、少なくとも今年の頭くらいから出現しているものと思われる。それに対して、前澤友

        • Googleの3rd Party Cookie規制またまたまた延期

          Googleの3rd Party Cookie(3PC)規制が3たび延期となった。 英国の競争・市場庁(CMA)との調整に時間がかかることが大きな要因のようだが、これは3PC規制に対するGoogleの目論見が規制当局によって弾かれているということである。上記の記事から一部引用する。 どうやら、3PC規制の代わりとして用意しているPrivacy Sandboxが、まだGoogleにとって有利なものであると見られており、その課題の解決ができていないとCMAにより判断されている

        Google, 3rd Party Cookie規制撤回。でもまだ油断できない(はず)

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        • 大転換期のウェブメディア
          11本

        記事

          目次

          本マガジンの目次 3rd Party Cookie規制というパラダイムシフト 収益化はもはや困難な時代に 法規制

          (毎日新聞)USAトゥデイ運営会社がGoogleを提訴

          やや古い記事になるが、USAトゥデイ運営会社がウェブ広告の収入減はGoogleが独占禁止法に違反しているからだとして同社を提訴したという記事。 Googleの独占が価格競争をなくして価格影響力を強めているという主張はあっているだろう。近年は戦争や紛争などが広告市場に影響を及ぼしているというように考えていたが、独占市場のメカニズムという視点から見ても広告単価の低下は説明でき、ここは頭に入れておくべきものだと思う。 (了)

          (毎日新聞)USAトゥデイ運営会社がGoogleを提訴

          大転換期のウェブメディア ③法規制

          強制力のある規制 そもそも今回の3rd Party Cookie(3PC)規制、つまりGoogle Chromeにおける3PC利用の規制は、ヨーロッパにおけるGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)による、法的規制が主たるきっかけだ。 詳細は上記の個人情報保護委員会のウェブサイトを参照して欲しいが、大まかに言うと、ユーザーの承認なしにCookieなどの個人情報を使うのはまかりならんというものである。その流れの中で

          大転換期のウェブメディア ③法規制

          【速報】公取委がGoogleに行政処分

          4月16日付けの日経新聞朝刊にスクープとして以下の記事が掲載されている。 有料会員限定記事であるが、概要はグーグルがヤフーに対して一部の検索連動型広告を他のサイトに掲載しないよう求め、ヤフーもそれに応じた件について、不公正な取引方法や私的独占に当たる可能性があるとして2022年に審査を開始し、24年3月に公正取引委員会の行政処分のひとつである「確約手続き」を行ったとのこと。 ヤフーは2010年よりグーグルの検索エンジンと検索連動型広告のシステムを利用している。 すでにグ

          【速報】公取委がGoogleに行政処分

          大転換期のウェブメディア ②収益化はもはや困難な時代に

          前回はGoogle Chromeでの3rd Party Cookie(3PC)規制とそれに伴う事象の概観を述べたが、今回は一歩具体的な話に踏み込む。ウェブメディアにとってまさしく死活問題となる収益化について考えを述べてみたい。 収益化は極めて困難になる恐れも まずは、そもそものウェブメディアの収益手法について簡単に見ておこう。一般的にはユーザーに対して無料で情報を提供する代わりに広告を掲載して、その収益で経営を成り立たせるという仕組みなのは改めて言うまでもない。テレビやラ

          大転換期のウェブメディア ②収益化はもはや困難な時代に

          大転換期のウェブメディア ①3rd Party Cookie規制というパラダイムシフト

          ウェブメディア運営の大転換が訪れる 2024年秋、Google Chromeにおける3rd Party Cookie(3PC)規制が開始される。これは過去に2度ほど延期されていたものであるが、今回はほぼ間違いなく実施される。本稿執筆時点の2024年3月現在、またもや延期ではないかという楽観的な見方があるが、これは楽観的に過ぎる見方と言ってよい。なぜなら、これはGoogleという企業単体の話ではなく、世界規模での政府による規制が絡む話であり、誤解を恐れずに言えば、Google

          大転換期のウェブメディア ①3rd Party Cookie規制というパラダイムシフト

          本マガジンの紹介

          自らの経験から、肌で感じたことを記す ウェブ業界で禄を食むようになってから、すでに20年以上経過している。この業界では、生息期間は長い部類に入ると言っても過言ではなかろう。その間、いくつかの会社を渡り歩いたが、基本的にウェブメディアの運営業務の中心、時には周辺に携わってきた。 その歴史の中でさまざまなことを経験してきた。1996年のヤフージャパン立ち上げ時こそまだこの業界には入っていないが、2000年前後のネットバブルにはすでに渦中におり、日本のインターネットメディアの黎