見出し画像

#至福の温泉、長門湯本温泉【恩湯】

noteから提示されたお題「#至福の温泉」を見て、ちょっと考えさせられました。温泉自体が「至福」という意味を含んでいるような気がするけど、「至福の温泉」って何だろうと。

泉質?
空間の雰囲気?
サービス?

で、そんなことを考えながら、先日行った山口県長門市の湯本温泉【恩湯】を思い出しました。恩湯は山口県で最も古い歴史をもつ共同浴場です。

そんな恩湯を巡って、「至福の温泉」について考えたことをつらつらと記したいと思います。

この時の旅は、下関市豊浦町川棚にある「小天狗さんろじ」と、長門市湯本の「大谷山荘別邸音信(おとずれ)」に泊まることを目的とした2泊3日の山口ツアーでした。

「大谷山荘別邸音信(おとずれ)」レセプション
小天狗さんろじ エントランス

両方とも部屋に露天風呂を備え、さんろじは「源泉かけ流し」という言葉を用い、おとずれは「湯治」や「湯浴み」という言葉を用いて、本格的な温泉を売りにしています。

結論から言えば、両方の宿とも最高の温泉体験を愉しむことができました。

ホテルや旅館の選択において重要視するポイントは人それぞれだと思いますが、僕たちにとって最重要なのは、部屋に天然温泉の露天風呂があるか否か、という点です。最近泊まった宿で部屋に露天風呂を備えていて最高だったのは、アマネム、瀬戸内リトリート青凪、ROKU Kyoto、瀬底山水、古宇利島ワンスイートグランド、風の森、翠嵐など。

「さんろじ」の部屋付き露天風呂は広々とした浴槽で、浅めの寝湯もあり、「おとずれ」の浴槽は大きな陶器で肌に心地よく。両方とも常にチョロチョロと温泉が掛け流されて耳にも心地よくて、滞在中のかなりの時間を露天風呂で過ごしました。真冬こそ、露天風呂で過ごすのに最高の季節なのです。

小天狗さんろじの部屋付き露天風呂
ちょろちょろちょろちょろちょろ♪
大谷山荘別邸音信(おとずれ)の半露天風呂
ちょろちょろちょろちょろちょろ♪

生まれてきたままの格好で、ビールを片手にiPadで映画を観ながら好きなだけ温泉に浸かる。暑くなったら真冬の外気で体を冷やし、また浸かる・・・。

これぞまさに、#至福の温泉といえます。

でもこの至福は、天然温泉ではなく、水道水を加熱した普通のお湯でも得られるかもしれません。外部空間で、人目をはばからずに好きなときに温かいお湯に浸かることができれば、それは温泉でなくとも「至福のひととき」になります。

では、本当の意味での#至福の温泉とは何だろう。

ここに、至福の温泉の一つの定義を提示したいと思います。

「湧き出した温泉に、ほぼそのままの状態で入れる温泉」

これは、僕の大学の先輩である、山口貴史さんの言葉です。山口さんは、「温泉ソムリエぐっち」として活動し、一般社団法人 純温泉協会を主催しています。

「湧き出した温泉に、ほぼそのままの状態で入れる温泉」

どの温泉でもそうなんじゃないの?と思われるかもしれませんが、衛生面などの問題で様々な法律により、湧き出した温泉にほぼそのままの状態で入るのはなかなか難しいのです。大抵の場合、温度調節のために水道水で薄められていたり、ろ過装置にかけられたり、塩素で消毒されています。「天然かけ流し」という売り文句も、厳密に言えばそうではないということも多々あります。

先述の「さんろじ」も「おとずれ」も、天然温泉を利用してはいるものの、残念ながら「純温泉」とはいえません。

ここでようやく、タイトルにしている長門の「恩湯」の話を。

恩湯HPより

恩湯は公衆浴場で、「純温泉」の一つとして純温泉協会に認定されています。

恩湯の開湯は、室町時代の1427年に遡ります。当地にある大寧寺の住職が、住吉大明神のお告げによって源泉を発見したとされていて、現在も同寺が所有しています。

2020年3月にリニューアルされ(設計:設計事務所岡昇平)この純温泉の歴史性や本質的な特徴を踏襲しつつもスタイリッシュに生まれ変わっています。

恩湯アプローチ
湯上がり処

この温泉の一番の特徴は、泉源である岩盤から、温泉が湧出している様を眺めながら入浴できること。

内部は撮影不可だったので恩湯HPより拝借しています
恩湯HPの動画より

そしてもう一つ、浴槽の底に「足元湧出泉」と呼ばれる泉源があり、この泉源により空気に触れずに湧き出る鮮度の高い「生まれたての温泉※」を楽しむことができるのです。(※HP「恩湯のたしなみ」より)

そして、源泉温度が39度と、ぬる湯であることも特徴の一つです。冬の期間だけ最小限に加温して、寒さを感じない程度のぬる湯でとどめているようです。

「この純温泉に一日中浸かっていれたら、どんなに幸せだろう・・・」

そう感じさせるお湯です。これも#至福の温泉の一つであることは確か。

でも恩湯は共同浴場。どれだけ至上の湯であっても、至福の時間はそう長くは続きません。

女湯でツレは、アップルウォッチをしているという理由で、一緒に入浴していた、恩湯の「関係者」と名乗る人から追い出されたそうです。腕時計禁止なんてどこにも書いてないのに・・・。でもそれは僕のせいかもしれません。バカでかい一眼レフをぶら下げて入館したため、ツレも含めて警戒させてしまったようなのです。(男湯は僕しかいなかったのですが)

純温泉は、共同浴場のように地域に根ざした小規模な施設が多いようです。

色んな人とマナーを守りながら一緒に入るのも純温泉の醍醐味。そして同時にストレス。時間的制約もしかり。

恩湯のようなパーフェクトな純温泉を部屋に備えて好きなだけ楽しむことができる宿泊施設。それこそが僕にとっての#至福の温泉であり、それを作るという目標ができました。

そうそう。

温泉大好きな方はぜひ、純温泉協会のホームページを読んでみてください。知っているようで知らなかった温泉トピックスが載っていたり、ここにリストアップされている温泉を巡るのは、#至福の温泉旅になること間違いなし。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?