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HSPの仕事のデザイン -飲食業を経て-

こんにちは。en-shoutenの井上と申します。

3年前東京から長野県・木曽に移住するまでは都内でずっと飲食を中心にサービス業に従事していて、小さいですが自分の店を商ったりもしていました。
思うところあって現在は物作り(木工)しながら日用雑貨の店en-shoutenを経営しながら暮らしてます。あとたまにカレーを作ったり。今後はオンラインスナックや環境アクティビティーの提案なんかもしたいなあ、と思ってます。田舎ですからね、色々やりながら生計を立てるのです。まだまだ実験中ですが。

複合的に仕事をしたいと思ったのは、分母が少ない田舎だから小商い的な思考でポケットを増やす〜という意味合いだけではなく(こういう話もまたいつか)、自分のストレス耐性低めな気質を理解し始めたからです。今日はそんな話を。



HSP気質を活かしたホスピタリティのあるサービス

大学在学中のアルバイトから含めると10年くらいですかね、いろいろな会社を転々とサービス業に従事していて、やはり手に職を得たような実感は沸いています。対お客さんに関する気の入れ方、気の抜き方はかなり得意だと自負していますし、ホスピタリティをもってスマートにもカジュアルにもサービスできてたと思いますね。サービスに関して本社にお礼の電話をくれたお客さんもいましたし、開業から携わったいくつかのお店でも常連様にたくさん付いてもらうことができました。

これは長いサービス業経験で得たスキルでもあると同時に、HSP(Highly Sensitive Person)気味な自分の性質を武器にした、20代の頃に編み出した生きる術だったと思います。

HSP?初めて聞いた!という方はこちらを…

では、HSPとはどういった特性のことなのでしょうか? シンプルに言うと、普通の人より周囲の状況に敏感な人のことです。光、臭い、音などに敏感だったり、仕事が多いと動揺しやすかったり、一人の時間が必要なタイプの人はこれに当てはまります。また子供の頃に、親や先生に「繊細」「人見知り」と言われた記憶がある人もHSPの可能性高いと言われています。Aron博士は、HSPの特性を「DOES」に対応する4つのポイントにまとめています。
・情報の処理の仕方が、普通の人より複雑(Depth of processing)
・刺激過多になりやすい(Overstimulation)
・感情的に反応しやすく、共感しやすい(Empathy and emotional responsiveness)
・普通の人が気づかないような些細なことに気づく(sensitivity to subtleties)

生き残りの要 仕事場で「繊細な人」が必要なワケ」より引用

こんな記事もありました。ふむふむ。


長い接客経験とHSPの気質を組み合わせてお客さんを観察して(雰囲気を感じて)接してました。店に入ってきたお客さんの空気感で色々わかったりするんです。瞬間的に共感して、求めるであろうサービスの提案をするんですね(もちろん空振りも多いですよ)。「急いでそうだから丁寧な対応よりスピード!」とか「見知らぬ土地に来ててたまたま店に入っただけ(想像)だから心細いだろうな、優しくしよ」みたいに。持ってる物や着てるもの、表情や空気感を感じて接してみます。

几帳面な人には几帳面に対応し、おおざっぱな人には丁寧さより愛嬌を持って対応する。会社飲みなどのグループ客の中で小間使いさせられてる人にこそ親切に対応したり、逆にそのリーダーや社長のようなタイプの方の前では堂々と振る舞う(リーダー気質のある人や経営者は堂々とした人が好きなことが多い)。フランクな若いカップル客は会話で軽くイジるくらいの失礼は逆に喜んだりします。

そんな風に接客して、実際にお客さんが想像以上のサービスに出会って喜んだりするのが見ていて心から嬉しいんです。これは天職なのだろうなぁ、とぼんやり思っていました。

店というリビングの保証と対話の調整 

自分で店を持ったときには尚更です。
バーカウンターでの対話を主とした店を作り、親身に話を聞いたり、ときに適当に聞き流したりしながら、対話のフィールドを作り、お客さん同士の会話を見守ったり、遮ったりしながら(トラブル回避)、リビング的な空間を保証しました。文化的な活動を応援することを店として表明していたこともあり、とても素敵なこだわりの持ったお客さんがたくさんいらっしゃいました。
様々な価値ある対話や、くだらない、しかし何ものにも変えがたい幸福な時間がそこにはありました。

酒を飲む場所だし、かなりこだわりの深いお客さんが多かったので、トラブルの種は多く、それを事前に察知して穏便に済ます、という時にはこのHSP的な気質をフルに利用することになります。思想の左右はもちろん。リアリスト、ロマンチスト、シニカリストなど人生を生き抜いてきた考え方の違いなど。ナンパもありますね。若者嫌い、夢や希望が嫌いな人も。

あまりにもトラブルを持ち込む方にはご遠慮いただいたり、良いサービスをしないことで足が遠のくように誘導することで済むのですが(これは個人店だからできることですね)、基本的には皆様良い方で、ほとんどのお客さんと楽しく会話をします。ただ稀に、お客さん同士の相性の悪さが作用して口論や、それ未満の重たい空気が発生します。この事態を避けるために空気を読んで、対話を調整するなどします。

相性の悪い2人の価値観のズレが顕著に現れる話題には触れない、とか。ある個人が特にネガティブになりやすい話題を避ける、だとか。また、ある人の自慢したい話とある人の劣等感が重なり合うことも避けるべきですね。
誰かのマウンティングにさらされている時に被虐者より下に行くことでフォローすることもあります。ちょっとしたマウンティングは会話を刺激的にヒートアップさせますが、基本的にはされた方はつまらないですからね。


HSPの利用による幸福と疲弊。そして仕事のデザインへ

こうやって思いつくことを書いていても、本当にたくさんのことを考えながらサービスをしていたのだな、とわかります。アクの強い方もたくさんいらしたからなんですけど…ただ良い感じに回るとすごいんですよ。科学反応ですね。カウンターでの会話はジャムセッションに近いとはいいますが本当です。たまにかなりの名演が発生します。

それはめちゃくちゃ楽しいのですが、うん、めちゃくちゃ疲れます。休みの日は基本一人で過ごしてましたね。
とてもやりがいを持って仕事をしていましたが、この考えすぎる気質は相当に精神を疲弊させます。HSP気質って(いろいろな人がいると思いますが、僕の場合)人と密接に関わる仕事に関して、優秀ではあっても、調整しないとずっとは続けられないんじゃないかな、と思いました。


それから僕は物作り(木工)の勉強をして、物を見る視点を増やしながら、物を売る仕事をつくるのですが、今でも飲食仕事たまーにイベントでやります。
それがすごく楽しい。まだ頻度は少ないのですが、なんとなく週1くらいはできそうな気がしてます。

感覚的で申し訳ないんですけど、仕事の15%くらいは飲食的なサービス、もしくは対話の場作りがしたいな、と思ってるんです。
残りの40%創作、40%物を見て販売すること、5%くらいは教育に関わりたいな、などと考えてます。本当はずっとぐうたらするのが夢ですけどね。働かないといけない、、

わ、本題に入る前に長くなってしまった。
自分を疲弊させすぎないように仕事をデザインするって考え方について書こうと思ってたら昔話が長くなってしまいました。続きはまたいつか。

そう、自分を疲弊させすぎないように仕事をデザインするって考え方、『しないことリスト』(pha)とか『ナリワイをつくる』(伊藤洋志)とかを読んで考え始めたんだと思いますね。

読みやすくて楽しい本ですよ!それでは


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