マイクロプラスチックについて

まず、私は環境問題に非常に関心がある、という人間ではありません。全くないとは言いませんが、特に環境問題について熱心に考えているということもありません。

さて、今日書こうと思っているマイクロプラスチックですが、私がPodcastで聞いている “หน้าต่างโลก”というタイ語の番組で取り上げられていたのがこのマイクロプラスチックです。“หน้าต่างโลก”というのは「世界の窓」という意味で、毎週月曜から金曜まで海外で起こった出来事について紹介している番組です。

その番組で知った内容を書く前にマイクロプラスチック(microplastics)とはなんぞやということで少し調べてみると、デジタル大辞泉によると、「海洋などの環境中に拡散した微小なプラスチック粒子。厳密な定義はないが、大きさが1ミリメートル以下、ないしは5ミリメートル以下のものを指す。」ということで、最近の話題だけあってまだ完全に定義が決まっていないようですが、それにしても5mmと言えばけっこうな大きさです。

さて、上述の“หน้าต่างโลก(世界の窓)”で取り上げていたのは、赤ちゃんの哺乳瓶から放出されるマイクロプラスチックについてです。そこで、話題にしていたことをいくつか箇条書きしてみます。

‐“Nature Food”という雑誌に掲載された論文の研究である。
‐世界の48カ所から10種類の哺乳瓶を購入して21日間連続でテストを行った。
‐購入した哺乳瓶はPP(ポリプロピレン)製またはPPを主成分とするプラスチック製
‐お湯と粉ミルクを入れた哺乳瓶を振った時にどのくらいのマイクロプラスチックが放出されるのかをテストした。
‐テストの結果、哺乳瓶の種類によるが1日あたり130万~1,620万個のマイクロプラスチックが放出されることが分かった。
赤ちゃんは1日あたり160万個のマイクロプラスチックを摂取している可能性があることが分かった。
‐アメリカ、ヨーロッパ地域とアジア、アフリカ地域を比べると、アジア、アフリカの赤ちゃんのほうが摂取量が少ない可能性がある。これはおそらくアジア、アフリカのほうが母乳を飲んでいる赤ちゃんが多いためだと思われる。
‐ただし、母乳であっても母乳をプラスチックの哺乳瓶に入れれば、赤ちゃんがマイクロプラスチックを摂取する可能性がある。
‐25℃の水を使った場合と95℃のお湯を使った場合ではマイクロプラスチックの放出数が異なり、25℃の水では60万個/Lなのに対し、95℃のお湯では5,500万個/Lである。
‐ただし、だからと言って、お湯で哺乳瓶を殺菌したり、お湯と粉ミルクを混ぜるのをやめるよう促すものではない。
‐というのは、マイクロプラスチックの摂取が体に与える影響はまだよく分かっていない。その一方で、哺乳瓶を殺菌しないことによる危険性ははっきりしている。

実際にはまだ他にもありますが、番組で取り上げていた内容は大体こんなところです。この情報はおそらく英語の論文を読んでタイ語で紹介したものなので、翻訳を介している分だけ二次情報としての精度も落ちます(しかもそのタイ語のニュースの内容を私は日本語で書いているのでさらに精度が落ちます)が、重要なのは、「マイクロプラスチックの摂取が体に与える影響はまだよく分かっていない」が「哺乳瓶を殺菌しないことによる危険性ははっきりしている」という点です。

情報過多の時代で毎日のように新しい情報に触れますので、どうしても情報を断片的に読んで誤った解釈をしてしまいがちになりますが、そうすると情報はプラスになるどころかマイナスになる可能性もあります。

今回の論文の内容をちゃんと読まずに早とちりして、じゃあ哺乳瓶をお湯で殺菌するのはやめようになってしまうのが危険です。実際、私もこの番組の内容を日本語で書いている時に何度か「危険がある」とか「危ない」という言葉を無意識のうちに書いていました。実際にはまだマイクロプラスチックの影響がはっきり分かっていないにもかかわらずです。これは、「マイクロプラスチックが哺乳瓶から放出」という情報を聞いた時点で「危険である」と勝手に判断している証拠です。

もちろん、マイクロプラスチックを摂取することは、赤ちゃんであれ大人であれ体に全く何の影響もないとは思えませんが、情報を客観的に正しく受け取るというのはどのような内容の情報であれとても大切なことです。

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