井上隆司 Takashi Inoue

プロのタイ語翻訳・通訳者です。「サービス」としての翻訳・通訳のあり方について発信してい…

井上隆司 Takashi Inoue

プロのタイ語翻訳・通訳者です。「サービス」としての翻訳・通訳のあり方について発信していきます。

最近の記事

国際翻訳デーの記事(タイの新聞「デイリーニュース」紙の記事)

2021年9月30日のデイリーニュースオンラインの記事 知ってる? 9月30日は国際翻訳デー  「デイリーニュースオンライン」は、「国際翻訳」デーという、多くの方がこれまで知らなかったであろう重要な日をまたひとつ皆さんにご紹介します。ファンの皆さんぜひお見逃しなく。  翻訳は、意思の疎通に用いられるヒトのコミュニケーション手段のひとつです。翻訳は、コミュニケーションを効果的にするだけでなく、個々人の理解をもたらすものでもあります。  そこで本日、「デイリーニュースオンラ

    • BLACKPINKリサと立ち食いルークチン(タイのニュース記事)

      2021年9月15日のThai PBSの記事 なぜ「立ち食いルークチン(注1)」なのか。「リサ」が忘れえぬブリーラム独特のストリートフード なぜ「立ち食いルークチン」なのか。BLACKPINKの「リサ」がいまだその味を忘れえず、タイに帰ってまた食べたくなるほど思いを寄せるブリーラム独自のストリートフードを知ろう。 「前は売れなくて店を閉めてたけど、今は、売るのが追いつかず、品切れで揚げるものがなくなって店を閉めてる」 タイミングばっちりとはまさにこのことである。BLA

      • 多言語を取り扱う翻訳会社について考える

        以前書いたことがありますが、私の翻訳の仕事は大半がエージェント(翻訳会社)経由で、直請けの仕事はごくわずかです。そして、私が仕事を引き受ける翻訳会社のほぼ全てが多言語を取り扱う会社です。 ひとくちに多言語といっても翻訳会社によって取り扱う言語の数や範囲は当然異なりますが、数十の言語を取り扱う会社も少なくありません。そして、ひとつの翻訳会社が数十もの言語の翻訳に対応することができるのは、それらの言語の翻訳を生業としているフリーランスの翻訳者がそういった多言語を取り扱う翻訳会社

        • 「百聞は一見に如かず」を実感した日

          ふだん新聞やニュースなどでよく目や耳にする事故や災害などは「百聞」の出来事です。映像は文章より心に与える衝撃は大きいですが、自分の目で実際の出来事を見ることには遠く及びません。つい最近そのことを心から実感する出来事を目の当たりにしました。 私の住んでいるアパートの目の前にある家が火事になりました。アパートから10mちょっとの距離です。火事で無残に焼けた家が今も私の仕事部屋の窓から見えます。 火事を発見したのは深夜でした。もう12時半は過ぎていたと思いますが、私は夜型人間な

        国際翻訳デーの記事(タイの新聞「デイリーニュース」紙の記事)

          「おまかせ(Omakase)」という日本語について

          「おまかせ」という日本語があります。他者(相手)に何かを任せるという意味合いで使う言葉で、本来は幅広い意味を持つ言葉です。ただし、「おまかせ」という言葉を耳にして、料理、中でも特に日本料理をイメージする人は少なくないと思います。 ちなみに、「おまかせ」の意味は、辞書(デジタル大辞泉)には「物事の判断や処理などを他人に任せること。特に、料理屋で料理の内容を店に一任すること。」と書かれています。 この「おまかせ(Omakase)」という日本語ですが、タイの料理や料理店に関する

          「おまかせ(Omakase)」という日本語について

          商品を売る側として見せないほうがよい工程

          昨日、レモネードの専門店でレモネードを飲みました。半月ほど前に近所のイオンモールにオープンしたお店です。スタンドタイプで目につくお店だったのでオープンしていたのは前から知っていたのですが、あえてお金を出して飲みたいとまでは思いませんでした。 ところが、このお店のアプリに登録すると無料クーポンがもらえるということで、試しに飲んでみることにしました。本当は写真なども載せるとよいのでしょうが、ここでこのお店の名前を書くつもりがないので文章だけです。 このお店について書こうと思っ

          商品を売る側として見せないほうがよい工程

          国境の成り立ちを考えることも面白い

          一昨日にタイの国境について書きましたが、そもそも国境とはどうやってできたのか、その成り立ちを考えることも面白いことだと思います。 日本の場合は島国ということで、日本に住む日本人の場合はどうやって国境ができたのかということを意識することがなかなかないのですが、そうでない国は国境にもそれぞれの歴史があるわけです。 例えば、タイとミャンマーの国境について調べていた時に、たまたま見つけた記事を読んだところ、現在のタイとミャンマーの国境というのは、タイとミャンマーで決めたものではな

          国境の成り立ちを考えることも面白い

          コロナ禍で浮かび上がった国境の実態

          「国境」と言っても島国の日本に住んでいると今ひとつピンと来ませんが、隣国と陸続きになっている国に行き、実際に自分で国境を越えてみると、この国境が身近なものに感じられます。そして、複数の国と陸続きになっているタイでは今この国境が話題になっています。 11月の終わりから12月の初めにかけて、タイでは、コロナウイルスのタイ人感染者が複数見つかったというニュースが話題になりました。コロナウイルスに感染していたのは外国からタイに帰国したタイ人です。 これまでも外国から帰国したタイ人

          コロナ禍で浮かび上がった国境の実態

          文字が記号に見える時

          例えば、タイ語の文字を全く知らない人が次の文章を読むとどう感じるでしょうか。 หากใครที่ไม่รู้จักตัวอักษรไทยเลยจะอ่านประโยคนี้แล้วรู้สึกอย่างไร おそらく何かの記号にしか見えないと思います。 逆に多少なりともタイ語の文字を知っていて読める人であれば記号には見えないでしょう。当然私もそうです。 しかし、もし私がアラビア語の文字を見れば、アラビア語の文字だろうということは仮に分かったとしてもやはり記号のようにし

          文字が記号に見える時

          習うより慣れよという話

          私が初めてお金をもらってタイ語の文章を翻訳したのは2002年の2月ですが、手書きで翻訳しました。手書きで翻訳の仕事をするなど今では信じられない話ですがその時はまだパソコンすら持っていませんでした。 その時はまだタイに住んでいた頃で、タイ語の翻訳の仕事を本格的に始めるようになってパソコンを買いました。ですから、当然それまでWordもExcelも使ったことはなく、翻訳の仕事を始めて使うようになりました。 要するに必要に迫られて使うようになったのですが、最初はWordのこともE

          習うより慣れよという話

          翻訳作業における訳文のチェック

          翻訳の作業では訳文のチェックは欠かせません。ひとくちに訳文のチェックといっても内容のチェック、訳抜けのチェック、数字や単位のチェック、スペルミスのチェックなどがありますが、今回はスペルミスのチェックについて書きます。 まず、訳文をチェックする場合に、例えば、訳文の内容とスペルミスを同時にチェックすることは簡単なようで実は難しいです。また、難しいだけではなく危険です。ですから、スペルミスをチェックする場合は、訳文の内容などのその他のチェックは同時にせず、スペルミスのチェック作

          翻訳作業における訳文のチェック

          集中して字を書くことの効能

          昨日と一昨日にも書いたように、手で字を書くこと自体が少ないので、集中して字を書くということは長らくしていませんでした。 そして、気持ちよく字が書けるようにするために、一昨日から字を書く練習を少しずつしていて気づいたことがあります。 字を書くことに本当に集中している時は、頭の中がすっきりしてきて、気持ちが静まっていくのを感じます。これは、今この記事を書いている時のように、パソコンでタイプしている時には決して感じることができない感覚です。 おそらく、字を書くことに集中してい

          集中して字を書くことの効能

          気持ちよく字が書けるようにしたい

          普段の翻訳の仕事では字を手で書くことがほとんどない私が言うのもなんですが、字を手で書くという行為は実はかなり重要なのではないかと思います。 昨日書いたように(これも本当は書いたではなく「タイプした」が正しいのでしょう)、字を書く時に手にうまく力が入らなくなり、そのため、字を気持ちよく書くことができなくなりました。このことは私にとってかなり苦痛なことであることに気がつきました。 今日はこの記事を書く(タイプする)前に「鉛筆の持ち方」で検索し、いくつかのページを参考に正しい持

          気持ちよく字が書けるようにしたい

          字を手で書くということの大切さ

          翻訳の仕事をするようになり、字を手で書くということがめっきり少なくなりました。そして、字を手で書かなくなったことにより、現在かなり深刻な問題に直面しています。 その問題とは、字を書く時に手にうまく力が入らなくなったことです。これについては、私のバックグラウンドを少し書いておく必要があります。 字を書く時に手にうまく力が入らなくなったのは、字を手で書くことがめっきり少なくなったことで、字を書く時の力の入れ方を手が忘れてしまったというのが直接的な理由ですが実はそれだけではあり

          字を手で書くということの大切さ

          ストレスの元には対峙するのではなく距離を取る

          私の場合はですが、ストレスの元となるような人や事象に遭遇した場合に、そうした人や事象に対峙しようとしがちになります。 ストレスの元に対峙することでストレスを感じなくなればいいのですが、大抵の場合、ストレスの元に対峙しようとすればするほど逆にストレスを感じるようになります。では、どうすればよいのかと考えた時に、ストレスの元には対峙するのではなく距離を取ることが、ストレスを感じないですむ一つの方法だと思いました。 ここで言う「距離を取る」とは、物理的な意味と精神的な意味での両

          ストレスの元には対峙するのではなく距離を取る

          地に足をつけて、ただし頭を使うことを怠らずに

          人それぞれ考え方も違いますし、向き不向きがありますから一概に何がよいとは言えません。何が正しいのかということは実は誰にも分からないことです。 私は自分なりの考えとして「地に足をつけて」生きることが自分にはいいと思っていますが、それが果たして本当に正しいことなのかどうかは分かりません。分かりませんが、自分が納得してそれをするのであれば、それでいいと思います。 「地に足をつけて」というと、私の場合、「コツコツ」、「地道に」、「一歩ずつ」、「浮つくことなく」といった言葉が頭に浮

          地に足をつけて、ただし頭を使うことを怠らずに