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『プライベート・ウォー』恐怖はすべてが終わったあとにくる

 英国のサンデー・タイムズの記者であるメリー・コルヴィンの伝記映画。彼女は、PTSDやアルコール中毒に陥りながら、危険地帯や戦時下の国々を取材し続けた。最後にシリア内戦下のホムスで爆撃により命を落とすが、この映画は、そこに至る彼女の生き様を映画いている。特に誇張される訳でもなく、現実がそのまま映像になっているだけの映画だが、心打たれるシーンに引き込まれてしまう。

 最後に本人が、「恐怖はすべてが終わったあとにくる」と語っているが、戦時下の中では恐怖を抱く余裕すらないのだろう。サンデー・タイムズの読者には、遠い国の感情移入できない事件にしか過ぎないはずなのに、なぜ彼女が戦時下の弱者を取材し続けたのだろう。その答えを映像で表現したのがこの映画だ。

 メリー・コルヴィンを演じたロザムンド・パイクの演技が光る。本人の声を真似た話し方からもリアル感が伝わってくる。この映画は、2018年に封切りされているが、その年の12月に米軍はシリアから撤退している。

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