産地偽装メロン大使
過去、北海道で働いていた時
会社には
メロン大使
と呼ばれる人がいた。
メロン大使とは
夕張エリアを担当するひとが任命され、営業の帰りに道の駅に行ってメロンを買ってくる名誉ある?役職だ。
メロン大使は道の駅でメロンを購入後に全国にあるいくつかの支店にメロンを郵送しなければならない。
以下の赤枠が営業範囲だったときに夕張エリアを担当することになってしまい、名誉あるメロン大使を仰せつかったことがあった。
仕事の途中に道の駅に行き
たくさんのメロンを買う。
購入するポイントは郵送されている時間を加味して、熟れ過ぎていないメロンを選ぶことだ。
変なメロンを送ってしまったら、クレームに繋がり、社内での自分の評価が落ちてしまう。(そんな人はいないと思うが、心が育ってない上司もいるので)
おばちゃんに事情を伝え、メロン選定をお願いする。そしてちゃんと送る用の箱で郵送した。
送る時期はだいたい決まっていて、一括で送るので、めんどくさいと言えばめんどくさいが、一回で終わる作業であった。
ある年、メロンが好評だったのか、足りなくなってしまったのか、追加の依頼があった。(1-2玉)
その時、めちゃくちゃ忙しく
夕張方面に行くのが、直近では行けないことがあった。それに札幌からは遠いし、時間がかかる。
さらに忙しいと
なんでこんなメロン配送しないといけないんだよ!という闇の気持ちも出てくる。これは仕方ない。
そして僕は考えた。
夕張の道の駅で買ったことにして
狸小路の八百屋でメロンを買おう
※狸小路とは大通にある商店街、会社から徒歩5分
天才の所業である。
どうせメロンの味なんて分かるやつはいないし、札幌で買うメロンも普通に美味い。
こうして札幌で買ったメロンを
夕張で買ったメロンと産地偽装をして
メロンを郵送した。
その産地をちゃんと確認はしていないが、見かけは夕張で見たメロンと似たような感じだったから、たぶん夕張メロン。
追加注文の方、すまんな…
それはもしかしたら夕張のメロンではないかもしれないが…札幌のメロンも充分うまいで…
そして月日が経ち
僕は北海道から異動し、逆にかつていた北海道の事業所からメロンは受け取ることがあった。
見るからに美味しそうなメロンを目の前にし
これを届けるために道の駅で大量のメロンを買う、メロン大使のことを思い出し、有難いなぁと感謝をしながら食べた。
その時、僕が行ったメロンの産地偽装を思い出し、
このメロンももしかしたら
夕張メロンではないかもしれない。
美味しい、美味しい。と
頬張る同僚の傍らで1人疑念を感じていたのであった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?