見出し画像

ジョイントベンチャーなら企業の新規事業でもスルっと「承認」される理由

前回、ジョイントベンチャーこそが大企業の新規事業を成功させる最高の方法という記事を書きました。

ここに書き忘れていたジョイントベンチャーのメリットがあります。

以下、「ジョイントベンチャー=JV」と略します。


 ▼ J V な ら 新 市 場 へ 進 出 で き る 確 率 u p 


JVであれば、圧倒的に質の良いアイデアが出ます。

なぜだと思いますか?

ジェームス・ウェブ・ヤングが書いた「アイデアのつくり方」という有名な本があります。

その中に「アイデアは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と書かれています。

アイデア = すでにある要素の新しい組み合わせ


その言葉を新規事業に置き換えてみましょう。


「アイデア」は、新規事業のアイデアそのものです。

「既存の要素」とは、既企業の持つ強みのことです。

そして、「新しい組み合わせ」とは、まさにジョイントベンチャーです。


つまりこうなります。

アイデア(新規事業) = 新しい組み合わせ(ジョイントベンチャー)

ジョイントベンチャーは、2つの企業が新しい事業を生み出します。

それはまさに、強みと強みの“新しい組み合わせ”です。

1社だけで新規事業のアイデアを検討するより、他社の強みと自社の強みをかけ合わせ、新規事業のアイデアを生み出していく方が、無数の“新しい組み合わせ”が発生し、アイデアの質が高まります。

これはNTT西日本という大企業で21年間事業開発を行ってきた私が、実践をもって証明してきたことです。

10年前、企画書を書くところからスタートし、会社化した「NTTスマイルエナジー」もNTT西日本とオムロンのジョイントベンチャーでした。

先月コロナ渦の中立ち上げた、NTTパラヴィータもパラマウントベッドとNTT西日本のジョイントベンチャーです。


▼ 自 社 だ け だ と ど う し た っ て 承 認 さ れ な い 新 規 事 業 


企業の新規事業は、最初から承認されにくい仕組みになっています。

経営戦略の父、アンゾフの成長マトリックスをご存じでしょうか?

企業が次に打つべき手を4つに分けています。

画像1


ブルーの部分は「それは既存事業だよね」と言われますし、オレンジの部分は新規事業からすると良さげですが、経営者からすると「わが社の強みを使ってないじゃないか」となります。

つまり、既存事業と経営者の<板挟み状態>になるのです。

既存事業からすると、新規事業は憎き相手です。「俺たちがせかっく稼いだ利益をくだらない夢物語に浪費している」という感じに映っています。

スタートアップであればブルーもオレンジもないので、自らが可能性があると判断した新規事業に没頭することができます。

では、企業の中で板挟みになり、行き場をなくす宿命にある新規事業はどこにいけばいいのでしょうか?

そうです!

ジョイントベンチャーで外に出れば良いのです。


自社単独では強みを生かせないリスクの高いオレンジ色の部分であったとしても大丈夫!

ジョイントベンチャーならば、相手の企業の知見やアセットを活用でき、そのリスクを低減することが可能です。

つまり、2つの企業の持つ市場と製品を掛け合わせることにより、最もリスクが高いとされる多角化領域での挑戦でも経営者の承認が得られやすくなるのです。

▼ N T T ス マ イ ル エ ナ ジ ー ( N T T 西 日 本 × オ ム ロ ン ) の 場 合


NTTスマイルエナジー(NTT西日本×オムロン)の場合。

事業内容は、太陽光発電システムの遠隔監視装置の製造販売でした。

スクリーンショット 2021-11-22 20.57.36

スクリーンショット 2021-11-22 20.57.51

例えば家の屋根にのせてある太陽光パネルが、ちゃんと発電しているかどうかスマホで見ることができるような仕組みを販売していました。

NTT西日本からすると、この「太陽光発電装置」は全くの新規の製品でしたが、既にオムロン社は太陽光発電装置の心臓部であるパワーコンディショナーという装置でトップシェアメーカーでした。

一方オムロン社からすると、BtoCという市場は持っていませんでしたが、NTT西日本は光ファイバーで約1000万世帯と繋がっていました。


両社の強みを掛け合わせると、あら不思議!!!!!!!


新規×新規のはずなのに既存×既存になり、互いの経営者からするとリスクが低下し、成功確率の高い「勝ち戦」になるのです。

もし、NTT西日本単独でこの事業に参入するというプランであれば、太陽光発電というものを知らずに、イチから遠隔監視装置を開発しなければなりません。

これは、リスクが高すぎて、実現には至らなかったでしょう。

そもそも、遠隔監視装置が必要なんだ!ということにすら気が付くこともなかったと思います。


このように、企業1社で新規事業をするのに比べ、ジョイントベンチャーは圧倒的なメリットがあります。


今日は、ジョイントベンチャーのメリット!

【アイデアの質が高まり、承認されやすくなる】という話をしました。

それではまた!


note ノート 記事見出し画像 アイキャッチ (2)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?