初心者用アロマ入門 34
アロマの歴史
アロマセラピーという言葉が生まれたのは20世紀初頭ですが、人間が芳香植物の効能を心身の健康や美容に役立てるようになったのは今から5000年も前からと考えられています。
【古代】
宗教儀式や病気治療、美容などへの利用をしていました。
香りを使った医療は、今から6000年以上も昔の薫香が立ち込めたエジプト神殿の中で生まれたそうです。ここでは、香料を調整する技術・くするについての学問も誕生しました。
エジプト人は宗教的・精神的なことだけでなく、健康と衛生をとても重視していました。また、マッサージの技術も実践されスキンケアや美容術の専門家も沢山いて化粧品は当時の文明社会で有名だったそうです。
エジプトのミイラづくりの際、フランキンセンスなど防腐効果のある植物を用いたり、儀式で香りをたく風習がありました。クレオパトラが入浴や香水にバラを使っていたのは有名ですね。
インドは古代からの伝統が今日までも少しも失われずに来た、世界で唯一の場所。「アユールヴェーダ」は世界で最も古い伝統医療を今に伝えたものです。この中には700種を超す方向性の薬品があげられています。香料と芳香物質を宗教の儀式で使うやり方も定められています。
紀元前460年ころ、ギリシャの医学の父=ヒポクラテスは香料による燻蒸や湿布などの治療推進などを残しています。
【中世】
精油の蒸留法が確立され植物による医学が発達しました。
アラブの哲学者たちは錬金術という秘密の技術の研究に打ち込みました。哲学者たちは、医学と香料についての学問における芳香物質の用い方をリバイバルさせそのテクニックを完成させました。
アラブの偉大な哲学者=アウィケンナは蒸留装置を11世紀初頭に発明。
彼は医学の王と呼ばれています。最初に作った精油は「ローズコンテファ」
800種類にのぼる薬用植物の使用法や、強弱をつけて行うマッサージ法が提唱されました。こうして薬効や芳香植物による医療は全盛期を迎えますが、19世紀にはいると近代科学の発展により衰退したのです。
14~16世紀にかけてヨーロッパで起こった、ギリシャ・ローマの古典文化復興運動。さらに科学が進み技術が進展するにつれ、芳香水・香油・軟膏などが薬として、またスキンケア用として盛んにつくられました。
フランスのルイ14世紀の侍医のニコラ・ルメリは処方集を著しました。
【現代】
アロマセラピーという言葉と両方が確立され世界に広がります。
19世紀を迎えると近代科学が勃興し、様々な形で利用されてきた薬草療法は衰えました。科学者たちは、パンにははえる青カビの成分を抽出してペニシリンを発見してこれを合成し各種の抗生物質を化学的に合成して作りました。これにより、抗生物質は人体に聞かないだけでなく危険なものになってしまったのです。
例えば、コルチコステロイド(副腎皮質ホルモン類)は恐ろしい副作用を示し、睡眠剤・抗うつ剤などは非常に強い上州癖をひきおこします。
1931年ころ「アロマセラピー」という言葉が生まれました。
基礎を作ったのはルネ・モーリス・ガットフォセ(フランスの科学者)。彼が実験中に事故でやけどを負ったときにラベンダーの精油で驚くほど直りが速いことがきっかけになったといわれています。
ヨーロッパでは本格的に芳香療法が広がり始めたのは、1964年ジャン・パルネ博士(フランスの軍医師)が「アロマセラピー」という本を発表しました。これが、今でもフランスでは精油類の購入は国家保険制度で賄われているいわれです。
1961年、マグリット・モーリーは「最もたいせつなもの・・・若さ」を出版し、これが英国のホリスティック・アロマセラピーのきっかけとなりました。
アロマセラピーとは
Aroma=芳香
Therapy=療法
つまりAromatherapyは造語です。
アロマセラピーとは「植物のエキスである精油を利用しその香りと成分の働きにより心身の状態を向上させようという自然療法」。
※自然治癒療法とは人間が本来持つ自己治癒力を高める療法
【アロマセラピーの効果】
1,精神面に作用
2,自然治癒力を高める
3,不定愁訴を改善する
4,美肌作りやダイエットの助けをする
5,様々な生活シーンに活躍
つまり、
・自然治癒力up ⇒一定に保とうとする力があるから
・自覚症状があるのに病気がわからないものの改善 ⇒薬理作用があるから
・美肌、ダイエット
に効果があるということです。
2、に関していうなら、
精油をかいだり、吸入したり、肌に塗ったりして体内に精油の成分を
取り込み、人間が本来持つ自己治癒力を高めるからです。
3,に関していうなら、
・合成物質には生命力がないので同じ匂いでも力はない
・天然物は生命力がありそこに効果を発揮させる
・精油は微生物のいくつかの代謝機能、例えばその生長とか増殖とか
いう機能を阻止しその組織作用が続くと結局その微生物を
死に至らせてしまう
・精油は抗生物質剤よりも複雑なつくりを持ち、その上これらは食べ物の
自己防衛メカニズムによって生み出されたものだから、合成された
ものとは問題にならない。
・精油は何百種類という組成分からなっていて、成分は極めて少量
私たちが生命維持をするのに微量な元素が基本的に大切だということを
知っている
同じように生命を持つ者の力はそれを作り上げる元素同士の結びつきに
かかっていて、それを構成する微量な元素が主要成分に劣らない
重要さを持っている
自然のものを化学合成として模写することは絶対できない
⇓
これがAromatherapyでは、天然の精油を使うことが極めて大切な理由!
【ホリスティック】
アロマセラピーの考え方に、「ホリスティック」というものがあります。
ホリスティックとは、身体におこったトラブルをその部分だけなく、心を含めた全体的なものと考えるということです。
人間の體は一つの全体を形作っています。その全体とそれを構成する部分との間でいつも相互作用が行われています。その全体の置かれている環境は「ホメオスタシス」というバランスの原則にのっとって制御されています。
私たち人間は、食べ物でもエネルギーでも酵素でもあらゆる面で植物に頼って生きています。植物と人間とはお互いに補う関係にあります。つまり、植物が私たちの體に攻撃的でないわけはここにあります。
逆に化学薬剤療法では、身体に加えられた攻撃を化学物質で攻撃しようとするため戦場となります。
医学の父といわれるヒポクラテスは、自分の医学を2つの基本原理の上に成立させました。
1,相似性の原理(同じものは同じもので治す)
=ホメオパシー
2,対立性の原理(解毒剤を見つけて病気を治す)
=現代医学の基礎
他に19世紀のドイツのザムエル・ハーネマンもホメオパシーを医学体型にまとめました。「類をもって類を治す」です。
精油は植物の中での生化学的な様々な反応で触媒として作用し、植物を寄生虫からまた病気から守り、また植物が繁殖していくうえでとても大切な働きをします。
余談ですが、アメリカの食事療法:ゲルソン博士は最大の聖地は「台所」とまで言いました。
「塩」という字は、人の口で地になる土。
「米」のつく漢字。。。氣 精 料 糖 糠
「豆」のつく漢字。。。頭 嬉 喜 體
これを見ても、植物が大切な意味が見えてきますね。
「食は清明であり未来。あなたの思考であり感情。」
この言葉は大切にしている言葉の一つです。
【嗅覚の解剖学】
嗅覚は大部分が意識下で感じ取られています。
嗅覚神経系は大脳の最も原始的な部分である大脳辺縁系に直接結びついています。大脳辺縁系は、食欲・性欲・怒り・深い・記憶を司る場所です。
鼻は大脳に向って開かれたただ一つの門ともいわれています。
人間は3000~10000万のにおいをかぎわけるちからがあるそうです。
視床下部の領域は、嗅覚神経の主要な受容器でホルモンを前葉部分へ放出するといわれています。例えば、親が着た服を子どもの前に置くと自分の親のものを正確に選び出すといわれています。また寮などで同部屋で生活する女性同士の生理周期が似てきたりするそうです。
嗅覚というものは極めて個人的なもので、一人一人香りに対して独自の結びつきをしています。そのため、Aromatherapyは心理療法で不調に悩む患者を治そうとするとき役に立つのです。
フランスの心理学者 アンドレ・ビレルは
「香りの記憶はきわめて正確で決して消えない」
と言っています。芳香を用いて人の心に隠れている記憶を引き出す子ができるのです。
この芳香が心の及ぼす作用について作り出した
「サイコロセラピー(心理芳香療法)」があります。
芳香を用いても一切の有害な副作用はなく、限りない利点が期待できる病が心理的により生理的に悪くなっている場合、精油の効果は大となります。
サイコロセラピーでは13種類の感情を下記のように示しています。
〈怒り〉イランイラン・カモミール・バラ
〈無感動〉ジャスミン・ジュニパー・パチュリー・ローズマリー
〈錯乱・優柔不断〉サイプレス・乳香・パチュリー・ペパーミント
〈恐れ〉クラリセージ・ジャスミン・ジュニパー
〈深い悲しみ〉バラ・ヒソップ・マージョラム
〈過敏症〉カモミール・ジャスミン
〈心気症〉ジャスミン
〈短気・興奮性〉サイプレス・カモミール・乳香・マージョラム・ラベンダー
〈嫉妬〉バラ
〈ヒステリー〉イランイラン・ネロリ・カモミール・クラリセージ・
ジャスミン・マージョラム・ラベンダー
〈ショック〉ネロリ
〈疑い深い〉ラベンダー
【香りと身体のメカニズム】
精油は数多くの有機化合物の集まりです。
※有機化合物とは炭素を含む化合物の総称
精油の方向成分が身体に作用するルートは
1,「鼻から」
2,「肺から」
3,「皮膚から」
の大きく3つです。
1,鼻→脳へ(嗅覚)
香りを嗅ぐと芳香成分は鼻腔の上部にある嗅上皮の嗅毛に付着します
この時情報は匂いとして大脳辺縁系に伝わります
この部位は感情や欲求などを司る脳で精神面や体温やホルモン分泌を
調整する自律神経に作用します
2,肺→血液へ(吸入)
肺の粘膜から血液に入って全身にいきわたります
呼吸することで微量ながら芳香成分は肺に入ります
肺の肺胞から血液に入り全身へ運ばれるのです
3,皮膚→リンパへ(経皮吸入)
成分が皮膚を通過して浸透し血液やリンパに乗って全身に作用します
肌に潤いを与えるほか、血液やリンパに入り全身に運ばれ各器官に
作用し最終的に汗や匂いとして排出されます
【芳香の本質】
精油や芳香は古くから、人間の健康と幸福のために広く使われてきました。幸福ということは、健康であるための主要なキーポイントです。
また、すべてのものは固有なにおいを持っています。芳香は共鳴効果によって、人間の動的で積極的な面を刺激します。
アロマセラピーは病気の表面的な症状も良くすることは確かですが、根源的な原因を治すことを重視しています。
精油の治療作用は、各器官を強めそれぞれの状態を強化し、身体の防衛メカニズムに働きかけます。合わせて栄養改善も重要と言えるでしょう。なぜなら食べ物は人間を含めたあらゆる動物の生命の基礎だからです。
【抽出方法】
精油は原料になる植物により、「花・葉・果皮・根・樹皮」などから抽出されます。抽出方法は、その成分が持つ性質などから決まります。
〈温浸法〉
最も古い時代から精油を取り出す方法
芳香植物をガラス製の大きな瓶に入れ、その瓶になみなみに植物油を注ぎその瓶を1~2週間太陽に充てる方法
〈冷浸油〉
油をしたした布やガラス板に薄くラードを塗ったところに新鮮な花や花びらをびっしり貼付し、鼻の香気成分である精油を油やラードに吸い取らせ作業を繰り返し、油やラードを精油で飽和させる
こうしてできたものをポマードといいます
〈冷搾法〉
柑橘類の果実の皮に対してとられるやり方
果皮と果実を分け、ローラや遠心分離機を使い果皮を圧縮し低温状態で精油を抽出。熱を加えないので香りを楽しめるが劣化が早い。
〈水蒸気蒸留〉最もポピュラー
イブン・シーナによって10世紀に考案されました
〈溶剤抽出法〉高価なものを抽出すう方法
新しい技術で世界で行われている方法
【精油の保存方法】
・気密性があること(水・空気による質の劣化を防ぐ)
・遮光性があること(濃い色のガラス瓶に入れる)
・温度変動しないところに置く
・振動のないところの置く
・湿気のないところに置く
【精油の選び方】
・遮光性の瓶に入っていること
・原材料の正式名称、原産国、抽出部分が明記されている
・蒸留方法が明記されている
・原材料の収穫年月、蒸留された月日、瓶詰場所や年月、ロット№が明記
・ドロッパーがついている
※最低でも上記が3つ以上クリアーしていること
【取扱注意】
・パッチテストをすること(24~48時間は経過観察)
・直接肌につけず必ず希釈する
・妊産婦、高血圧、てんかん、乳幼児は特に要注意
・柑橘系はつけた後12時間は直射日光に当たらない
今回は、アロマの歴史や基本をまとめてみました。
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