マガジンのカバー画像

有機農産物を学校給食に‼ 自治体の取り組みを中心に紹介

16
学校や幼稚園、保育園などの給食に地元産の有機野菜や有機米を使う自治体が増えています。 有機農産物を子どもたちに提供する意義と先進的な取り組みを、他の方の記事も含めて紹介します。 …
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

農家が安心して有機農業に取り組めるために

有機農業が国内で広がらない理由として、大きく有機農業技術、有機農産物の消費拡大および物流の3つの課題が挙げられます。 我が国の有機農業推進の取り組み農林水産省「みどりの食料システム戦略」は、2050年までに全国の有機農業面積を国内の耕地の25%(100万ha)に拡大するという数値目標を掲げています。 国の有機農業推進の取り組みを振り返ってみると、2006年12月に「有機農業推進法」が制定・施行され、自治体も地域と協力しつつ有機農業を広めていくことになりました。さらに2014

「オーガニック給食」が全国の小中学校で導入されはじめています。 学校給食に有機農産物を導入する際の課題とは? 栽培技術、生産量、流通経路、販路、価格、目指すべき姿 ・・・ 個別に対応するのではなく、一連のものとして考えては? https://www.fnn.jp/articles/-/727611

自治体の3割以上が、学校給食を無償化しています。 財源や自治体ごとの取り組みの違いなど多くの課題があると思いますが、安い食材を求めた給食から、子どもたちの健康を第一に考えた給食の在り方を模索していただきたいと思います。 https://www.agrinews.co.jp/opinion/index/239962

月刊『住民と自治』 2024年7月号で 「持続可能な食と農の“まちおこし”」が特集されています。 https://www.jichiken.jp/jj/202407/

オーガニック給食の日を作る!杉並の高校生の挑戦

可愛い高校生たちが、メキメキ成長する数ヶ月間に立ち合わせてもらいました。 文化学園大学杉並中学校・高等学校(文杉)という、東京都杉並区の高校生たちと一緒に、給食に有機食材を出す日を作るというプロジェクトを一緒にやらせてもらいました。 元々は、文杉には、高校生たちの課外活動として、STEAM教育という枠組があって、そこのプロジェクトの1つとして、「食べるOrganicチーム」が立ち上がっていました。未来の農業を考えることをテーマに、木更津のクルックフィールズを訪問したり、色々

日本で初めて「オーガニック牛乳」を生産した酪農家グループーー北海道津別町

津別町有機酪農研究会は、「有機酪農を実践し、有機牛乳生産を目指そう」と、北海道、津別町、JAつべつなどの協力を得ながら、試行錯誤の末、日本で初めて「オーガニック牛乳」を生産した酪農家のグループです。 網走湖の水質汚濁を機に環境改善に取り組む 北海道津別町は畑作と酪農がさかんな町。 化学肥料・農薬や大型機械に依存した大規模農業を追求してきた結果、町内を貫通する網走川下流の網走湖の水質汚濁を引き起こすことになりました。 そこで、1995年に「網走湖浄化対策事業」が開始され、微

有機部会にJA、市、県が支援――鹿児島県姶良市

鹿児島県姶良市の有機農業に取り組む農家数は現在約40戸。市には毎年就農希望者があり、年々数世帯の有機農家が誕生しています。 この成果は、30年以上も前に農家主導でJA管内に「有機部会」がつくられ、自治体やJAが支援しやすい組織として生産から販売、消費者との交流などの活動を継続してきたことによると考えられます。 JA管内に有機部会が設置 旧姶良町(2010年に姶良郡3町が合併し姶良市)では1970年代中ごろより有機農業の実施者が現れ、1989年に「姶良町有機農業研究会」を発

コウノトリが認めた「野生復帰」の取り組み――兵庫県豊岡市

2015年10月、兵庫県豊岡市を訪問し、自治体とJAおよび農家が協力して推進している「コウノトリ育む農法」の取り組みを取材しました。 この取り組みをコウノトリが評価し、現在では豊岡市だけでなく日本の野外で400羽近くのコウノトリが暮らすようになりました。 コウノトリの野生復帰への取り組み 兵庫県豊岡市の中央部を流れる円山川に沿って湿地や森林、水田、中洲などが発達。このような自然環境は、鳥類をはじめ多くの生物に豊かな生息環境を提供しています。しかし、土地改良事業や河川の改修

「世界に自慢できる学校給食」に 福島県喜多方市

子どもたちに大人が自信を持って提供できる学校給食は、生産者と消費者の距離を縮め、食や農の大切さを知る役割も担っています。 「世界に自慢できる」学校給食の実現へ 福島県喜多方市では、合併前の市町村時代からそれぞれの地域で特色を生かした学校給食の取り組みが行われています。 市では、子どもたちが食への楽しみや関心を高める給食の提供を進めるべく、2023年1月に「喜多方市学校給食基本方針」を定め、「世界に自慢できる」学校給食の実現に向けた取り組みをしています。 具体的には、地域の

持続可能な農業、社会は、私たちの暮らしの見直しから

食べることは、生命(いのち)の刷新 ヒトの体は、3か月もすれば食べたものが分子レベルで入れ替わるといわれています。生き続けるには、食べ続けなければなりません。すなわち、食べものを生産する農業こそが、持続可能な社会を実現するための核心だと思います。 有機農業は持続可能な生産システム 国際有機農業運動連盟は、有機農業を「土壌・自然生態系・人々の健康を持続させる農業生産システム」であり、「自然環境と共生してその恵みを分かち合い、そして、関係するすべての生きものとヒトの間に公

「有機の里づくり」に取り組む 大分県臼杵市

『市民の健康、とくに子どもの健康に「食」から取り組む』 臼杵市では、市長はじめ市職員、市会議員、農家、市民が共有できるコンセプトがはっきりしていたことで、結果として有機農業を推進できたと思います。 なぜ、有機農業を推進するのか 大分県臼杵市は、2005年の合併以来、『市民の健康、とくに子どもの健康に「食」から取り組む』ために、学校給食に有機農産物(ほんまもんの野菜)を導入しています。 これは、有機農業推進法(2006年12月施行)に先立つ施策で、2009年10月には「臼杵

市主導で有機農業を推進 千葉県いすみ市

首長がその気になれば、有機農業推進のきっかけはできます。しかし、それだけでは続きません。いすみ市が有機農業の盛んな地域となったポイントを整理してみました。 市長の意欲に応じ、農家が有機農業をはじめる 千葉県いすみ市は、もともと有機農業が盛んな地域ではありませんでした。 太田洋市長の意欲に農家が応えるかたちで、2013年に市の「自然と共生する里づくり連絡協議会」に所属するグループが有機米づくり(22a)に取り組んだのがきっかけです。 しかし、雑草がひどく、手取り除草で対応し

「子どもたちに最高の給食を届けたい」茨城県常陸大宮市の取り組み

常陸大宮市では、農家が安心して有機農業を実施できるように、有機農産物の販路が確保され安定した収入を得られ、有機農業が地域の農家に受け入れられるための施策を実施しています。 なかでも、学校給食の食材として市内で生産された有機農産物を全量買い上げ、給食費の超過分は市の予算で補填しています。 市は茨城県の北西部の山間地域に位置し、約6割を山林が占める人口約3万8千人の都市。市の耕地面積は3,510ha(田1,660ha、畑1,850ha)で、農家戸数は3,065戸です。 学校給

オーガニック給食って何?

私はオーガニック給食を広めたいな、と思って活動してるのですが、「オーガニック給食」って、一体何?というところは、明確な定義はありません。 何を目指しているの? 私自身は、子どもを産んで、この子に本当に良いもん食わせたい!という思いが出発点でした。自分が作る家庭料理はもちろんですが、保育園や学校の給食も、本当に良いものにしたい、という思いです。 もちろん、既に日本の給食って、世界一だと思います。 栄養士さんが栄養満点で楽しい献立を考えて、衛生環境が整った調理場で調理員さん