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No.8

ディアボロスには「刻逆」で記憶を失ったり、いきなり種族が変わったりで混乱している者も少なくない。彼らが適応して自力で目的を果たすまでは、継続的サポートの必要あり。

今日も、新宿島に朝日が昇る。

海岸で誰かと通信していたユッフィーが、ふいに不穏な気配を感じて後方に回し蹴りを放つと。

「ひいっ!許してくれよ、な!」

「平安鬼妖地獄変」ディヴィジョンからの漂着者だろうか、いかにも盗賊風の身なりをした男が腰を抜かしていて。

「新宿島で追い剥ぎは、やめた方がいいですの」

最低限の食料は【口福の伝道者】で配給される。戦利品が欲しいならディアボロスの戦いに加わって、宿敵クロノヴェーダから奪い取れ。

「ここで殺し合いをすると、どちらも生き返って海岸に流れ着きますの」
「等活地獄かよ!」

等活地獄は、八つある地獄の最上層。殺生をした者が落ちるとされ、獄卒の鉄棒や刀で身体をぶった斬られて死ぬが、涼風が吹いて強制的に蘇生されてまた同じ責め苦を味わう羽目となる場所。

なお、ディアボロスみんなが仲良しなんてことはない。意見の合わない者は当然いるし、表沙汰にならないだけで喧嘩が殺し合いに発展することもあるだろう。決して光の当たらない、醜い部分だ。

それでも、新宿区以外の陸地が地球上から消滅する極限状況で。共通の敵を相手に戦う以上は、チカラを合わせなければ生き残れない。何よりも殺した相手がすぐ、新宿島の海岸に流れ着いて復活してしまうのだから。

やっぱりここは、地獄だった。男が落胆していると。

「どこでも、住めば都ですの。楽しいこともありますわよ!」

アーティストデートの足しにさせて頂きます。あなたのサポートに感謝。