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「直感」と「ひらめき」の話

アイデアって「降ってくる」ものでしょうか、それとも「浮かぶ」ものでしょうか。どちらもフッとした時に、突如として目の前に現れるもののように感じますが、実はこの2つには違いがあります。
因みに、できることなら僕は降ってきてもらいたい派です(笑)

そもそも降るものなのか?という話もありますが...
降るには降るんですね。
ただ、じっと待っていても絶対に降ってこないのに、いざ降る時には落雷の如く降ってきます。なので構えている暇がないというのが本当のところです。

なぜだかわかります?それは「直感」ってやつです。
「直感」は急に降ってきて、そこから2度目が降ってくることが殆どありません。なので、とりあえず降ってきたものは拾っておくのが良いと思います。

それともう一つ、「浮かぶ」とはどんな時でしょうか。

これはアイデアが「ひらめく」時です。頭にフワッと浮かんでくるんですね。「直感」も「ひらめく」も、どちらも思いつきの結果なので、変わらないように感じるかもしれませんが、決定的に違う点が一つあります。
「ひらめく」は、世の中にある予備知識や情報をうまく取り入れているので、アイデアの妥当性を説明しやすいんです。
逆にいうと「直感」というのは、自分の経験で潜在的に良いと感じているもので説明はしにくいんです。だから「直感」を押し通すには相当なカロリーが必要になになります。
それなら「直感」なんて拾っても意味ないじゃない。って思うかもしれませんが、僕はクリエイターにとって「直感」を信じる勇気って大切だと思うんです。

どうしても説明しにくいけど「なんか良いもの」って、やっぱり魅力があると思うんです。誰の手垢もない様なアイデアは「直感」からしか生まれない気がするんです。
だからって「直感」をアテにしろってことではないですよ。論理的に考えて考えて… それでも納得が行かない時に、懐に忍ばしていた小刀みたいな「直感」を、ギラリと光らせた瞬間こそが、やっぱり強いと思うんです。

ここで映画音楽の作曲家としても有名な、久石譲さんの話です。
とある映画の仕事でロサンゼルスのロケ現場に出向き、撮影にも立ち会って、そこから楽曲の構想を重ねて、更には有名ギタリストのアサインまで済ませ、さぁ作曲だと着手した2日後...

全てバラしにしたそうです。

理由は「何か違うと思ったから...」
ただのわがままではないですよ。やはりそこには葛藤があったようです。
「これでいいのかなあ」
「いいんだよ。どこもおかしくない。」
「しかし、どうもピンとこない…」
「理論的にはミスはない。」
理詰めで自分を納得させようとしてもダメだった。結局、降りてきた直感に従ったのだと。

僕らの仕事とはレベル感が違う話かもしれませんが、コンペの前日まで考えて考えて「もう無理っ」て思った後にフッと降りてくるアイデアが意外と良かったりする経験ってあると思います。(コンペに限らず)

久石さん曰く、感性の95%は知識や体験の集積で、残りの5%がセンスだとおっしゃっていました。そこへ辿り着くまでの苦しみが無ければ、センスフルな「直感」には辿り着けないということでしょうか。

自分を信じ、どれだけ決意をもってDeleteキーを押せたかが、強いクリエイターになるための秘訣がありそうです。

ちなみに映画は北野武監督「BROTHER
久石譲さんの本はこちら↓


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