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『相席食堂』『あちこちオードリー』同じ日に東京と大阪で、かまいたちの2人が悩んでいた

6月16日(火)の夜のこと。

東京では『あちこちオードリー』(テレビ東京)、大阪では『相席食堂』(ABCテレビ)に、かまいたちの2人が出ていた。

キングオブコントで優勝したのが2017年。大阪で8本のレギュラーを抱えていたが、東京に進出して3年目。昨年のM-1グランプリでも準優勝し、東京でも忙しくなってきたという。

そんなかまいたちの2人が、同じ夜、東京と大阪の2つの番組で、それぞれ悩んでいる姿が流れたのだった。

イジってほしいのにイジってもらえない山内

23時17分。『相席食堂』が始まる。この日は特別企画「かまいたち山内&なかやまきんに君 なぜ失敗したのかコンビで検証SP」だった。

2020年3月17日放送回で旅人として登場した山内。ロケに定評のあるかまいたちだけに期待が高まったが、千鳥の2人は「どうにもできんかった」という残念な出来に。山内は山内で「相席食堂にスベらされた」と自らの非を認めなかった。

じゃぁコンビでもう一回VTRを見て検証してみよう、と、濱家同席の元で確かめる2人。かまいたちはわしらの後を全部継いでるから、という千鳥に「ハードルあげてるよね」とさっそく噛みつく山内。

しかし濱家は見逃さない。山内が最初に自己紹介した時点で「硬いねん」「オンエア見ててこの時点でめっちゃ不安だった」という。「(千鳥にボタンを)押されようとしてるのがあざとい」とハッキリ言う。

実際、山内はあざとかった。スキー場のレストランで家族と相席したとき。カレーを食べる前に、向かいの家族連れに「僕ひとりでロケできるのか試されてるので、食レポできるか見てもらっていいですか?」と振った。これからボケますよ!と言ってるようなもの。ここでも濱家が「これはもう最低のフリ方」とダメ出し。

濱家「向こうの感想がほしいねんけど、向こうに『感想を求めてますよ』ってのを限りなく臭い消してやらなあかんのに、『できるか見てもらっていいですか』なんて、絶対ダメ」
山内「……素晴らしい!

案の定、身構えてしまった家族連れはノーリアクション。ノブはロケVTRを止め「濱家がいるわ!」と叫ぶ、さらにそのVTRを見ている山内も「本当にに濱家がいる」とダメ押し。

山内のボケがあざとくなってしまったのは、「千鳥がVTRを止めてツッコんでくれる」を前提にしたからだ。濱家がいない分、ツッコミを画面の外にいる千鳥に任せるようにした。だがそれは同時に、画面の中ではスベってしまうことを意味する。ツッコミを前提としたボケを、ひとりでやっているから。

それを感じ取った千鳥は、あえてVTRを止めなかった。山内と共犯関係を結んで予定調和になるよりも、画面内でスベる山内にツッコむことを選んだ。山内が想定していたレイヤーの、その一枚上を行った。

やがて山内も「『なにがあかんねん』ってフィルター外すと、これヒドいな」と現実を見始める。ラスト、「ボケたのにカメラが押さえていない」「ボケたのに編集で切られる」という散々な流れに納得いかない山内だったが。

濱家「それも感謝よ。それもあったから千鳥さんから『ハサミ入れられてるやんけ』って笑いにもなってるし、カメラさんがお前を切り捨てたのも笑いになってるし」

このあとフルバージョンのボケを見たが、やはり……という感じで検証は終わった。

イジってほしくなかったのにイジられた濱家

かまいたちの検証が終わった、約1時間45分後。25:30。『あちこちオードリー』がはじまる。ゲストはかまいたち。

ついさっき大阪で散々なロケVTRが流れたのに「いま一番各所で結果を出さなきゃいけない2人」と紹介されるかまいたち。東京と大阪のロケの違いを聞かれ、山内は「東京のロケは短い」「大阪は15分のロケに16時間撮る」と嘆き、若林は「黄金伝説のやり方」と驚く。

番組後半は、濱家がメインだった。東京に出てきてキャラが変わってしまったという。大阪では劇場の番長として慕われ、ネタもMCもロケもできる「超万能兄さん」だった。でも、東京に出てきたら大イジりされるようになってしまった。

若林「誰がイジり始めてくれたの?」
濱家「一番最初はフジモンさんですね」

MCで回す側の人間だと思っていたから、イジられるとは思っていなかった。フジモンにイジられたあと、濱家は首をかしげながら楽屋に入ってきたという。

でも「イジられる側じゃないのにイジられる側になった」のは、若林もそうだ。最初は春日の影で「じゃない方芸人」の位置にいたのに、『笑っていいとも!』ではタモリにイジられて何度も無茶振りされた。

若林「俺もアルタ首かしげながら出てた(笑)」

東京でイジられてから、濱家はスランプになってしまったという。どう振る舞ったらいいかわからない。スベりにいくコメントをしたり、パニックになった振りをしたり、山内がボケたのにさらにボケたり。

そんな濱家を引き戻したのは「台本」だった。今まで自分が進行していたのに、山内が進行になっていたのだ。これはあかん。イジられても、進行できる部分はしっかり残しておかないと。

若林「イジられるのは絶対あるとして、その一歩渡っちゃダメってのあるよね」
濱家「僕ホンマに渡りそうになってました」

イジられるツッコミとして、若林を「自分が目指すべきはここ」と目標に置く濱家。このあと2人は、「カメラが止まっているのにイジってくるやつ」「一線を越えてイジってくる局員」について話に花を咲かせていた。

* * * * *

イジってほしかったのにイジってもらえなかった山内は、ツッコミの大切さが身に染みてわかった。濱家がほしいと思った。

イジられるつもりはなかったのにイジられるようになった濱家は、ツッコミかつイジられるポジションがわからなくなった。若林に共感を求めた。

6月22日の夜。東京の番組と大阪の番組で、かまいたちはそれぞれ壁にぶつかり、悩みを吐露していた。「いま一番各所で結果を出さないといけない2人」が、弱みを見せた夜。

しかし、それもまたひとつの「結果」だろう。大阪では千鳥に、東京ではオードリーに、先輩たちに救われながら、かまいたちは画面の中でアップデートを続けていくのだと思う。

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