『日本の國酒である日本酒を後世に伝えるという思いを新たにするとともにとともに一層の愛情とご理解をと言う願いを込めて』、日本酒造組合中央会が1978年に定めた歴史ある記念日である。
(出典:「全国一斉日本酒で乾杯!」ホームページ)
「日本酒」とは「日本で醸したお酒」という単純なものではない。そもそも日本でしか醸せないのだ。
何故か?
日本酒を醸すのに必要な麹菌「ニホンコウジカビ」が、その名のとおり日本特有のものだからだ。
小倉ヒラク著『発酵文化人類学』(角川文庫。2020年)を開いてみる(以下引用は、全て本書)。
とりあえず、日本酒造りの工程から
日本酒たる所以。「ニホンコウジカビ」
①で精米した酒米を②で蒸す。ここで「ニホンコウジカビ」の出番だ。
この麹菌をつける際、蒸した酒米を薄く広げて米粒をバラしていく。
そして③の工程へ。
酵母のルーツ「きょうかい6号酵母」
日本酒の再ブームが起こった時、酒米が注目された。やれ「山田錦」だの「雄町」だの「美山」だのと酒飲みの蘊蓄の恰好のネタだった。
やがて、それでは飽き足りなくなってしまったのか、今度は「酵母」だと言い出した。やれ「静岡酵母」だの「新政酵母」だの。
「知ってる? 新政酵母って、きょうかい6号酵母なんだよ。だから"新政No.6"なんだよ」、なんて具合に。
微生物をコントロールする「淡麗辛口」のテクニック
今やスタンダード過ぎて新し物好きの酒飲みに敬遠されがちだが、とはいえ、今日、世界中の酒飲みたちが様々な美味しい日本酒を楽しめるのは、「淡麗辛口」のおかげであるのは間違いない。
「淡麗辛口」
実は微生物をコントロールするテクニックによって作られている。
微生物までコントロールしてしまう酒造りとは奥の深いものである。化学知識などなかった古代から試行錯誤で酒を醸していた人々の努力と探求心、何よりお酒に対する執着に驚き、そして深く感謝する。
2020年10月1日。
苦しい状況の中、美味しいお酒を提供するために頑張っている全ての人たちに、エールと感謝を籠めて。