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本の紹介

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#読書感想文

斎藤美奈子著『挑発する少女小説』

映画『水深ゼロメートルから』(山下敦弘監督、2024年)は、補習と称して教師から、水を抜いたプ…

アンマchan
1か月前
4

白尾悠著『サード・キッチン』

「多様性を"認め合う"」というが、この"認め合う"という言葉(行為)に戸惑う。 世界を"是正"す…

アンマchan
8か月前

森知子著『カミーノ 女ひとりスペイン巡礼、900キロ徒歩の旅』

人は深く傷ついたり、とても大切な何かを喪うと、自分を支えることができなくなり、深い孤独に…

アンマchan
10か月前
6

アイドルグループ「TRY48」爆誕!~中森明夫著『TRY48』~

「アイドル(IDOL)」とは英語で「偶像」を意味する。 故・寺山修司もある意味「偶像」だ。 歌人…

アンマchan
1年前
5

金井真紀著『酒場學校の日々』

金井真紀著『酒場學校の日々 フムフム・グビグビ・たまに文學』(ちくま文庫、2023年。以下、本…

アンマchan
1年前
4

岩城けい著『さようなら、オレンジ』

私の大切な友達のことを書こう、書かなければならない。 岩城けい著『さようなら、オレンジ』…

アンマchan
1年前
1

「読書」について書く意味~若松英輔著『読み終わらない本』~

”note"には、本に関する記事が多く投稿されている。 "note"に限らずネット上では、大勢の人たちが本の紹介や感想、評論を書き込んでいる。私もその一人だ。 私を含めそれらを書き込んでいる人たちは、ネット上に感想などを投稿して賞賛されるためとか、恣意的なセルフブランディングのために「読書」をするわけではないことくらい、当然心得ている(と、あえて断言する)。 心得てはいるが、それにしても我々現代人は、本のことに限らず、実に多くのことを「言葉」にしてネットやSNSに書き込む日

テクノロジーで身体感覚を取り戻す~伊藤亜紗著『体はゆく』~

インターネットやVR・ARは自分の身体を「外部拡張」するテクノロジーだと思っていた。確かにつ…

アンマchan
1年前

こんな京都に出合いたい~赤染晶子著『じゃむパンの日』~

年に何度か京都に行く。 ここ10年ほどは、年末年始を何のゆかりもない京都で過ごしている。 別…

アンマchan
1年前
2

100年以上前からのバトンを引き継ぐ~植松三十里著『帝国ホテル建築物語』~

もう10年以上前のことになるが、JR有楽町駅~新橋駅間のガード下にあった飲み屋によく通ってい…

アンマchan
1年前
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ドラマ化決定! ~源孝志著『グレースの履歴』~(2024年 第42回向田邦子賞受賞)

「映画ナタリー」2022年8月31日付配信の記事によると、源孝志著『グレースの履歴』(河出文庫、…

アンマchan
1年前
6

「最愛の子ども」の正体を考える~松浦理英子著『最愛の子ども』~

松浦理英子著『最愛の子ども』(文春文庫、2020年。以下、本作)を読了して、タイトルでもある「…

アンマchan
2年前
2

人生の通過点~三浦しをん著『木暮荘物語』~

アパートを舞台にして、そこに縁のある人々の物語を紡いだ短編集を何冊か読んだことがある。ア…

アンマchan
2年前
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江分利満氏の不安

以前の拙稿で、『初桜・初恋』(滋賀・安井酒造場)という日本酒の味を「初恋の味」と称したことがある。 だが日本酒を楽しめる年齢、それもある程度年配の方であれば、「初恋の味」といえば「カルピス」を思い出すのではないか。 これは1963(昭和38)年に発刊(連載開始は1961年)され直木賞を受賞した、山口瞳著『江分利満氏の優雅な生活』(新潮文庫。以下、本書)の一節である。 タイトルからもわかるとおり、昭和30年代の典型的なサラリーマンである江分利満氏の日常を綴っている短編集(とい