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なじむ・繋がる・広がる スノーレントリトリート〜前編〜

こんにちは。静岡県島田市で地域連携型学童保育施設をこれから作るために、準備中のたなかです。

苗字が田中の野球選手といえば、田中将大さんではないでしょうか。今回は北海道の苫小牧を舞台にスノーレントリトリートに行ってきた話です。

空から見た北の大地

リトリートとは

静岡空港から飛行機で1時間半。北の大地に降り立ちました。天気は快晴。2泊3日を共にする仲間と空港ではじめまして。オンラインでは事前対話会を通して、知っていた仲間ですが、リアルで会うのはこれが初。東京や神奈川や沖縄から、社会人だったり学生だったり、バックグラウンドはバラバラです。

リトリートとは、私の言葉で説明するならば、普段の生活から心も体も離れた場所で、ふだんは忘れがちな自分自身と対峙すること。自分の感情に敏感になるために、自然の中に身を投じます。また仲間との対話を通し、本当に自分が望んでいることや、大切にしたいことに改めて気づくことができる、というものです。会社員を辞めた自分には、意味のある旅になるかもなぁと思い参加しました。

リトリートの語源はリトリートメント(retreatment)。本来は避難所や隠れ家の意味を持っていたが、近年欧米では「日常生活から離れてリフレッシュする時間をもち、心身ともにリセットする」といった意味で使われていて、日本では『転地療法(療養)』とも言い換えられる。

https://eleminist.com/article/200より

昨年、沖縄で複数社合同リトリートを実施したのですが、その時は『思考のリトリート』で組織について座学やワークを通して学びました。今回は北海道の雪の森に入って『身体のリトリート』。座学はなし。自然を目の前に、自分自身を感じて。答えなんて別になくてもいい。


スマホやiPad、pc、時計は没収。世に言うデジタルデトックスです。
電話もメールもLINEもメッセンジャーも、チャットワークもSlackも、Twitterも InstagramもFacebookもTikTokも、それは一旦しまって。
Slackの「カカカッ」って音で、集中が分断されることがない世界。

忙しい人ほど、思い出してみてほしい。それらの現代ツールがなかった日々のことを。
それがなくても自然は当たり前のようにあって、明けの明星が輝いて、太陽が南の空に登って、茜色の空になったら、宵の明星がバトンタッチ。星や月が輝く真っ暗な夜が来る。

なじむ

1日目の午後からさっそく森に入りました。1日目のテーマは「なじむ」。冬の北海道、寒いことを覚悟していましたが思ったより寒くなかったです。それは準備が万端だったから
体温調整してくれるアンダーウェアを着込み、防風防水の上着とズボンに包まれ、冬仕様の長靴にそっと足を通す。貼るホッカイロも背中にセットして。

森を歩くと暑いぐらいで、身体はほかほか、太陽が出ていたのでぽかぽか。でも空気はひんやり冷たくて、頭が冴える。山形出身なので雪には慣れているのですが、北海道の雪は山形と全然違いました。パウダースノーなので、ぎゅっと握っても固まらずにサラサラと手から離れていく。片栗粉みたい。

森の中におのおの入って、ここかなぁと感じた場所を選んでひとり、座ったり寝そべったり、何もしないでひとり、ぽつんと過ごす。ただそれだけ。仲間達とはバラバラに森に入ったので、お互い森のどこにいるのか分からない。時計がないので正確な時間は分からないけど多分1~2時間ぐらい、森で時を過ごしました。

それぞれ森に入っていく仲間たち

森での気づき

日がさすとキラキラ輝く雪原。広い空。

鹿やリスなどの野生動物の小さな足跡。

枯葉が風に揺れてカサカサと鳴る音。

木々のざらざらした肌触り。

サラサラと流れる川の音。

遠くから聞こえるキツツキが木をつつく音。

空を気持ちよさそうに飛ぶトンビ。

凛とした空気に包まれた白くて冷たい世界。

雪の中でもいのちを感じる


寝そべりながら眺める空、そら、ソラ、SORA


参加前は森の中で2時間も何すればいいんだろう?と思っていましたが、自分のこと、家族のこと、これから学童を始めたいこと、色んな考えが頭に巡ります。

また、「ゴールデンカムイ」「自殺島」の世界観を感じていました。いずれの物語の中にも鹿を狩るシーンがあり、鹿の足跡を見つめながら生命の力を自然から感じ、「命」「人間は自然の一部」「生かされている」「命をいただきます」そんなワードが心に浮かびました。


森に入る前にメンバー全員で車座になって『チェックイン』、入った後に『チェックアウト』をしました。これらは今の自分の状態・状況・感情を端的にその場で話すことです。それをすることによって、メンバー同士の他者理解が進み、「あぁ、この人はいまこんな感じなんだな。」と認知することができて、優しさに満ちた場になります。

メンバーのチェックアウトを聞いていて、2種類のチェックアウトがあることに気づきました。自分の思考が自然の中に入ってどう変化したのかを話す人と、自然を目の前にしてそれをどう感じたのか感覚を話す人。同じ森で同じ時間を過ごしても、感じたことはひとりひとり全然違いました。当たり前ですが、それが自然ですよね。

チェックアウト ひとりひとりの話にしずかに耳を澄ます


NVCコミュニケーション


宿泊先に戻り、夕食と入浴ののち、NVCコミュニケーションをカードを使ったワークで体験しました。NVC、と聞いてピンとくる方は少ないと思います。

『NVC』というのはマーシャル・ローゼンバーグというアメリカの臨床心理学者が体系づけたコミュニケーションの方法で『Nonviolent Communication』の略称です。日本語では『非暴力コミュニケーション』と訳されます。~中略~「暴力」は肉体的な力を行使するタイプの暴力だけではありません。人の気持ちを傷つける行為もまた「暴力」として扱い、実際に人間の社会には後者(人の気持ちを傷つける行為)のほうが圧倒的に多いことを示しました。
身体的なものだけではなく、もっと日常にありふれた暴力をなくす、 「人を思いやるコミュニケーション」 それがNVCなのです。

https://www.co-media.jp/article/7792

Love Smart Cardsというカードを活用しました。


NVCはEQを高める手段として有効です。EQとはEmotional Intelligence Quotientの略語であり、日本語では「心の知能指数」と訳されます。

いわゆる「頭の良さ」を測定する指数として「IQ」(知能指数)があり、IQが高い人ほど高度で難しい課題を解決する力を持ち、一般的には「仕事ができる人」と見なされることが多いと思います。しかし、いくらIQが高くて高度な仕事を処理することができたとしても、感情を上手に扱うことができなければ、仕事は円滑に進まなくなってしまいます。そこで、仕事においては「IQ」つまり「頭の良さ」にばかり注目するのではなく、「感情の知性」すなわち「EQ」を高めることが大切であると考えられるようになりました。

私は学童を作って、子どもたちにこういったコミュニケーションの方法があることを伝えたいし、もちろん保護者さんにも知ってほしいので、そういう機会も提供したいと思っています。人のこころを理解する手段として。


ワークではこんな順番でセッションを実施しました。
主人公は主に1セッションの中の主役になる人物の事を指します。

①主人公はメンバーに対して、自分に最近起こったちょっとネガティブな話をする
②聞いているメンバーは主人公の話を聞いて、こんな感情があるな、と感じたカード(ネガティブな感情も、ポジティブな感情も)を主人公に提示する
③主人公はもらったカードを眺め、意外だった感情のカードを手にして感想を話す
④最後に、主人公にはこんな願い(ニーズ)がありそう、というカードをメンバーから主人公に提示する

アルコールが入りながらも真剣に取り組みます
カードがたくさん!どれが適切かなぁ

このワークでは、自分の話を客観的に聞いてくれた人が感じる感情は、本人(主人公)の思っている想定の範囲から外れたものが少し混ざってくることが面白かったです。自分では知覚していない感情に気づかされます。

エピソードトークを火種にして、メンバー同士の理解がグッと深くなりました。ネガティブな話って、自分の痛みを露呈させる部分があって、人に見られたくない・知られたくないようなことをあえて語ることで、ちょっと気持ちが軽くなるような、少し素直になれるような、なんだか照れくさいけどあたたかい時間でした。

それぞれが受け取ったニーズカード。私(下段中央)は「所属・仲間であること」「共感」「コミュニケーション」「大事にする・される」というニーズを発見してもらいました

1日目の夜はこんな感じでふけていきました。
まだまだ森に入ります。

後編に続きます!

こちらのnoteにあわせて聞いてほしいおすすめソング
琥珀色の街、上海蟹の朝/くるり


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