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勉強:哲学、文学

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記事一覧

「終わりの意識」

「The sense of Ending」Frank Kermodeを読んで。

 カーモードはこの本にてしつこく「終わり」の感覚を問う。
 日本語では「カチカチ」にあたるTick-Tockという言葉において説明されるその感覚は、小説Fictionの基本的構造となっており、小説Fictionにより絶え間なく再生産されてきた。
 Tickという語には、当たり前のようにTockという言葉が続く。Tic

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私は差別などしてない

 ぼくは、タイトルの文章を堂々と言える人ではないと思う。差別を感ずる被害者のみがそれが差別かどうか、判断できるものであり、時によっては被害者も差別であることを意識できなくなっていることもある。
 ぼくは、長い間「差別」というものについて考えてきた気がする。それは大した考えではなかったが、ぼくの人生の中では重要なポイントだった。その思考の中の一つについて書いてみたい。

 アメリカで行われるAA(A

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デリダにおける「現前」

 ポスト構造主義、いや少なくともJacque Derridaを勉強するためには、「現前」という単語について知らなくては何も進まない。

 青土社の「現代思想ガイドブック」シリーズの『デリダ』に置いて、著者であるニコラス・ロイル氏は、デリダの思想における鍵観念の提示を拒否する。なぜなら、その鍵観念というものをデリダのものとして、あるいは確固たる概念として規定してしまってはいけない、と考えるためのよう

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