【毒親連載小説#53】オーストラリア編 1〜中庸への道〜

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今でこそよく耳にする
「引き寄せの法則」

何十年前の私は
この概念すら知らなかった。

しかし、こうして
今までのことを振り返って見ると、
私はずっとこの「引き寄せの法則」を
使っていたのではないだろうか。

過去に大学に合格したこと。
留学に行くと決め、
短期間で留学費用を
100万円手に入れたこと。
中国での就職と
今の旦那との出会い…。

私自身がまず腹を決める。

そして
その決めたことに対して、
頭で考えるだけでなく、
実際に行動したからこそ、
その現実は必ず訪れたの
だろうと確信している。

しかし、私がここ、
オーストラリアで
生活するということは、
私の頭の中には全くない
予想外の展開だった。

旦那とはこのような経緯で
知り合ったのだが、
初めはチャットで
コミュニケーションを取っていた。

話をしているうちに
彼は偶然にも私の住むマンションと
同じ通りに住んでいると知り、
そこから一緒に食事をして
顔を合わせることになった。

初めて会った時の
彼の第一印象は
「年とったさえないおじさん」。

とてもじゃないけれど
恋愛の対象とは思えなかった。

聞けば彼はバツイチの
子持ちのおじさん。

当時、彼はエンジニア職として
それなりに安定したキャリアを
積んでいたようだったが、
実際は前の奥さんに
今まで稼いだ給料も全て奪われ、
貯金なし、家なし、車なし。

普通の中国人の女性であれば
きっと、なんのメリットもない
ただのおじさんだったと思う。

他にも驚くべきことを
後から知った。

彼とは中国で出会った人だし、
当然、中国人だと思っていた。

しかし、旦那は20年ほど前に
オーストラリア国籍を取得して
いたのだった。

しかし、
付き合い始めの頃は、
私たちは中国で暮らしていたし、
あまりそのことは
気に留めずにいたのだが、
この彼の国籍がのちに
私の運命を大きく
動かすこととなった。

（つづく）