桜が咲いた。半年待った缶詰を本気で愛でた。
2023年の春が来た
北東北・秋田県。雪が解けて1ヵ月が経った頃に桜は咲き始めた。「桜咲いたら一年生」などまったくピンと来ない、普段は大型連休中に見ごろを迎える地域であるが、今年はどうやら2週間程フライング気味。陸上競技なら失格どころの話ではない。
ここに来た理由は他でもない。写真を撮るためだ。桜の写真?冗談言っちゃいけない。
アレの写真だよ。アレだよあれ。
缶詰ギフトセット『福乃缶』
長い冬を耐え、待ちに待った春にやってきたのがこれ。
とある企業の80周年
それは2022年10月のことである。
【ちょっと待って】岩手缶詰株式会社とは
岩手県にある缶詰屋さんです。そのまんまだな。
この会社の何がヤバいかって言うとOEMの商品数がとにかく尋常でないのである。「缶詰を食べたことがない」という人がいるなら別だが、とにかく何から何までなんでも作っているのでおそらくほとんどの人が知らずにここの缶詰を食べている。
この記事を読んだ人はお近くのスーパーやコンビニ等の缶詰コーナーで商品に載っている「製造所」を片っ端からチェックしてみることをおすすめする。あなたがどこにお住まいでも絶対に出会える筈だ。
それもそのはず、老舗なわけだ。
そういったわけで期待は高まり、岩缶公式に圧力をかけるなどしつつその時を待っていた。季節は秋から長い冬へ。気が付くと年を越え2023年。筆者は1つ歳を取っていた。いやいいんだよそれは。
あっ、やっと出た。
ラインナップは社の歴史的代表作という。
これが我が家に届いたのが桜が咲き始め、黄砂が舞い始めた4月だった。もうこれは、桜と共に記録に残すほかない。
▽魚が苦手な筆者がなぜか魚の缶詰をクラファン支援した話
関連記事『クラファンで魚の缶詰を支援したらなんかすごいのが来た』
何入ってるのこれ
桜の下で存分に撮れて満足した。晴れた春の日に一人で缶詰を撮ってるなんてはたから見たら完全に異常者だが、公園に誰もいなくて本当によかった。
しかし缶をいくら綺麗に撮ったところで、やはり肝心なのは中身。
しかしただ撮ってもおもしろくないな。
自分の経験からするとこういう場合は形から入ると物事は案外うまくいく。
小物に凝ってみるか
まあ春だし、いろいろなものが萌えてくる。窓の外に目をやれば天然の小物なんか山ほどあることに気が付く。まずは庭に出て良さそうなものを採取する。よくわからないので直感で適当に。害のなさそうなやつ。
当然、これがそれぞれ何なのかはよくわからない。庭に何が自生しているか把握していない。まあいい。集めてきたのはピンクの花、白い花、そして緑の生物兵器だ。中央の白い花(ユキヤナギ?)は散ってきていたので使用を断念した。
色彩的に三色くらいあればなんとかなるんじゃない?
器に凝ってみるか
次に、食品に求めるものは何だろうか。味だけではない筈だ。
いつぞやたまたま入った飲食店では、器が味気なくちょっと残念に思った経験がある。
ちなみに現在そのお店はなくなっている。どうも真理だったようだ。
器は大事な要素だろうから、これもまた可能な限り映えそうなやつを用意する。しかし果たして自宅にそんな都合のいいものがあるんだろうか。
「うちは無駄に物が多いんだよな」とか思っていたが、こういうときにバリエーションがあると助かるというものだ。でもちょっと本当に多すぎるのでゆくゆくは整理したい。あとで絶対に泣くことになる。
さんま水煮・白桃
まずはセットで目を引く最も大きな缶の商品からやってみよう。
さんま水煮を開封
開けてみると、断面を整えられてみっちり詰まっている。少し紅がかった色もいい。水煮なのでいろいろ使えそうだ。
ところでタイトルの右横に記載のある『生さんま”原料”』とは何だろうか。「生さんま」でいいのでは。これは何かあるなこれは。その意味を訊いてみたいところだ。
さんま水煮を皿に取り出す
脂がのっていて実にみずみずしい。筆者もこのくらいの潤いがあればと常々思う。そして余計なものが一切入っていない。筆者もこのくらい潔くあればと思う。水煮に教わることは多い。
さんま水煮の盛り付け
それにしても、ご覧の通りせっかく綺麗だったさんまの皮がダメージを受けまくっている。これは自分の至らなさ故である。取り出しで失敗している。切り身が大きすぎるので切ったのだが、その包丁たるや切れ味が嘘みたいに悪い。
卵焼きもまともに巻けなかった下積み時代を思い出す。してないけど。
白桃の開封
ツルリとご機嫌な果肉が現れた。岩手産の白桃だという。贅沢極まりない。
桃缶って、なんか体調がいまいちな時とかに食するイメージがある気がするが、これは是非ともバキバキに元気な時に召し上がっていただきたい。
白桃を皿に取り出す
この肌色めいたものに、しかもいい感じに艶やテリがある、ちょっとテンションは上がる。思わず両手をあわせた。
白桃を盛り付ける
食器棚の奥に隠れるようにして桃の形をしたガラス皿があった。これしかねえ。これに使うために持ってたとしか思えない。
オイルサーディン
いわしのオイル漬けだ。水煮とは違う味わいがある。
紙製の鞘に入っている缶は金色に輝いていた。かっこいい。さすが中尊寺のある県である。それはそうと、なぜ金色の缶の状態で撮影していないのかとちょっと後悔している。
オイルサーディンを開封
これまでやっすいオイルサーディンばかり見てきた筆者にとってこれは驚愕。感嘆。綺麗。
なんというつづら折りのサーディン。気持ちは天城をとうに越えている。
オイルサーディンを皿に取り出す
さんまの皮をボロボロにしてしまったので猛省し、可能な限り触らないようにしてあける。焼き餃子の要領で、缶に皿をかぶせてひっくり返してみたらこの通りだ。
オイルサーディンを盛り付ける
観賞用いちご(たぶん)の花と生物兵器を飾ってみたら丁寧な暮らしっぽさが出た。身は水煮よりしっかりしていて崩れにくい。よく見たらパッケージに「余分な水分を除き」とある。ちゃんと読め。
牡蛎のくんせい
魚が苦手な(ので、ほとんど缶詰でしか食べられない)筆者が好むのがこの貝類だ。牡蛎の燻製なんてギリ合法な何かだろう。
牡蛎のくんせいを開封
身が7つ。7つの海を表しているのかもしれない。
特筆すべきはこの香り。この香りを文章化できるほどの文才があれば別な仕事をしていると思うが、可能な限り伝えようと思う。
牡蛎のくんせいを皿に取り出す
うん。いいにおい。結局なにも伝えられない。
桜のチップで燻した牡蛎が大事に大事に収められていた。これでパスタとか作ったら失神するかもしれない。
牡蛎のくんせいを盛り付ける
北欧風の豆皿によく似合う。誰かが「茶色いものはだいたい美味しい」と言っていたがそれが詰まっている。
これは広島県産の牡蛎だそうだが、岩手県沿岸の山田町というところでカキ祭りに参戦したことがある。10個もの牡蛎を破格の安さで購入するだけで、その場で焼き牡蛎にしてくれる地上の楽園みたいな催しがあった。食べても食べてもなかなか無くならないのでおかしいと思いカウントしたら15個近く入ってた。とんでもないイベントだった。
ホタテの貝柱
トリを飾るのがこのホタテの貝柱。泣く子も黙るホタテの貝柱。こちらは青森県陸奥湾のホタテが使われている。陸奥湾の南端とでも言おうか、平内町という場所があるがそこでホタテ祭りに参戦したことが…あ、もういい?
大ぶりの貝柱がこんなに入っていた。大丈夫なんだろうか。岩手缶詰さん、何かに手を染めてないだろうか。陸奥湾のホタテ全部使ったんじゃなかろうか。なればさすがに止めに行こうと思う。
各々、個性的なラインナップだった。
撮影後、すべて美味しく頂きました。
ここぞというときに至福の時間を味わっていただきたい。
岩手缶詰さんは社会に貢献したいらしいけど、もうしてるんじゃないかと思う。
▽80周年記念ギフト『福乃缶』はこちら
※現在は半年待たなくても買えそうです。
他にもちょっとクセ強めな商品もあるので是非チェックしてみてほしい。
▽公式オンラインショップ
https://iwakan.shop-pro.jp/
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