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荊棘



空へ昇る、
眠りの中でも消費されて行く身体の水分と
共に離れて行ったものを
目覚めてからも
たしかめるたびに散る、
花の薫りに満たされた
夜の
視線を隠し持って、
何度も現れては、消え、
消えては現れた、人、
永い時をかけて浮き彫りにした核心を
配置する手、
知り尽くされたパターンは被われて、
囲まれている炎の奥、だれも
見ることのない白い空にときどき
焦点が合っているような、逸らしたような
滲んだ目、目覚めると
こちらでは
まだ人間の姿をしていたから、雪の底に
消えかけた名前を
埋もれることもできないままで
呼ぶ、
木の根が走る
もつれた世界を行き来する
素足、封を解いて私は、きみの言葉で
込み上げる反射を恐れながら
愛すべき蓄積を護ろうとしている、赤く
丁寧に植え付けられた造花の棘を肌で悼む






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