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銀傘



葉陰で
消えたページをめくっていた、両手を
見えるところへ置いた、
あなたが
本当のことを知るつもりのなかった街で
浮力に変わる痛みで包んだシェルター、
ゆらりと青に
染まって
見えない
光だけを放つ夜の入口が可視光の
なぐさめを抜けた一筋で浮かび上がる、枕元の
声、雨の照らす
飛沫の翅模様、ガラスの惑星から
飛び立とうとして、
残されたフィラメントが
焼け落ちる瞬間、動かした手の
流れるような表情、
ここから見えているのは
黄金の
薬莢が跳ねている水たまり
 
映し出している
持って行こうと決めた夕立の
面影、遠い夏にも降っていたことを
忘れたように直線が湖面を突き抜けて
私の
背中に届く






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