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黒い獣を主人公に7年かけて展開されるプロジェクトからなる物語表現ー「獸(第1章/宝町団地)」@CONTRAST

こんにちは。ライターのワタナベです。
IN FOCUSが運営するクリエイティブスタジオ「CONTRAST」にて開催している展覧会「獸(第1章/宝町団地)」もいよいよ9月25日までとなりました。今回のnoteでは、まだお越しいただいていない方のために展覧会の模様を紹介したいと思います。

現代アーティストのGILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE(以下、GCD☆GCD)が総合ディレクションを務めるこの展覧会には、GCD☆GCD自身と、横手太紀倉知朋之介王之玉Hans Chewといった気鋭の現代アーティストや現代陶芸家たちが参加。今回の物語の下、それぞれが異なる表現方法で制作した作品が展示されています。

ー Exhibition Concept ー
東京の都心部から電車で20分ほど行った小さな街の中心にその団地はある。
団地中央スペースの公園にはタコをモチーフにした大きな滑り台型遊具があり、人々からタコ山公園と呼ばれていた。
その“タコ山”の周りを走り回る子供達の中の一人が幼少期の黒い獣であった。
その獣の様子を父/狩人は団地のベランダから見下ろす。
午後5時を知らせる時報があたりに響く。
あたりいったい目に見えるもの全てがオレンジに染まる。
団地を静けさが覆う。
ここは東京郊外の小さな団地、宝町団地。

今回の展覧会のタイトルにつけられた“第1章”という言葉からも分かるように、「獸」は全7章にわたって続く壮大な物語として考えられています。今回の展覧会は第1章であり2回目。0章からはじまり、各章は1年毎に進んでいくようです。
現代美術の展覧会とライブを組み合わせ、7年間かけて物語が展開されていく長編プロジェクトである「獸」は、果たして7年後にどのような結末を迎えるのか?

GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE
GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE
GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE

GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE

「獸」の総合ディレクションも務めるGCD☆GCDの作品は、本展全体のイントロダクションとしての役割も果たしています。アクリルマウントを使用した2つの作品には、コンセプトにも書かれている“宝町団地”や“タコ山公園”の風景が日中と夕方の2パターンでそれぞれ鮮やかに表現されていました。オレンジ色に塗られた積み木を組み合わせたステイトメントブロックには、物語への想像を膨らませる下記のような文章が。

前回までの獸
2θஉآஃ年東京。
焦燥と混乱の末オフィス街ြに行き着いた黒い獣௵だったが、高層ビルの一室から銃ᏣцΠを構える狩ௐ人にစ見つかる。
決死の思いで®︎ணπ逃げようとするがஃ────狙撃されてしまった。
時は少し遡り、黒い獣௵の少年時代へと物語の舞台は移り変わる。

僕/黒い௵は世紀末で不穏な空気が流れる1999年の東京に生まれた。
僕が住んでいるのは都会まで電車で2ဝ分くらᎥの小さな街の中੦心にあるП団地П。
昔は不良の街であったからか、古びているからかなんだか怖い感じがする。
団地中央スペースの公園にはタコᏜをモチーフにした大きな滑り台型遊具があり、
みんなからタコ山Ꮬ公園と呼ばれている。
そのタコ山の周りを走り回る®︎ணπ子供ஒ達。
僕/௵はその中のം1人だ。
今日もいつものように友達とタコ山の周りでᎧ追いかけっこᎧをしている。
自転車௯で団地ြを走ったり、ゲームしたり、部屋でおもちゃဦを戦わせたり。
団地の上↑の方からお父さん/ௐ狩人が僕らをಠ見下ろし↓ている。
団地ではいつもစ見られている気がする。
気がつくと少しずつ空がオレンジ色になっていって、
5時を知らせる音楽がП団地Пに鳴り響く。
空が燃෴えている。
みんな散り௯散り௯になって、少し経つとタコ山公園からは誰もいなくなった。
カラスの鳴き声だけが団地に響いている。
日が暮れた街ではタコ山Ꮬがどしりと鎮座し、給水塔Δがのそりとそびえ立ち、
団地がППずらりППと立ち並んでいる。
あっという間に団地を暗闇が包み込む。
無音が௵にまとわりつく。
遊具は少し冷たい。
僕/黒い獣はタコ山の頭の上にひとり௦座っている。
ここは東京郊外の小さな団地、
宝町団地。

横手太紀
横手太紀
横手太紀

横手太紀

宝町団地の部屋から見える広場を想像してつくられた空間の中で、その場にありそうな、普段は気に留められることのないものたちをアート作品に昇華。壁にめり込んだサッカーボール、バイクシートに覆われたオブジェ、無造作に捨てられたゴミ袋、そして電柱の上に浮かぶ石。それらすべてが不規則に動き続けることで、日常から非日常へと誘われる感覚、ものを見るという行為への問題提起となるような不気味さを感じさせてくれます。

倉知朋之介

倉知朋之介

コンセプトを聞いた時に、子供時代に遊びに行ってた「お菓子の城」を思い出したことからスクリーンを城に模して映すことにしたという映像作品。「幼少期の記憶」をテーマに作家自身が被写体となって撮影された複数の映像は、つなぎ合わせることで一本の“線”としてループされ、心地よい思考の混乱へと誘ってくれます。

王之玉
王之玉
王之玉

王之玉

壁に飾られ、本人が幼少期に描いたドローイング作品。錬金術において完成形とされる存在「レビス」を表現した、“子供”の象徴としての人型オブジェ。そして宝町団地の一室で毛布にくるまって遊ぶペットの猫など。本展のコンセプトにあわせて、過去作も含めて作品が選ばれました。

Hans Chew
Hans Chew
Hans Chew

Hans Chew

鮮やかな色の紙粘土で小さな玉や円をつくって遊んでいたという幼少期の記憶に着想を得て、本展の表現方法にも焼き物を選んで制作された作品たち。「獸」のコンセプトの下、自身でさらに「遊びをなぞる」というテーマを設定し、釉薬もあえてラフなたらし方にしたそうです。公園のベンチのように実際に座れる作品など、モチーフの選び方もユニークでした。

9/26(月)には、同タイトル「獸(第1章/宝町団地)」として渋谷のWWW Xで音楽ライブも行われるので、そちらもどんなイベントとなるか楽しみにしていてください。

獸(第1章/宝町団地)@CONTRAST
Artist : GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE、横手太紀、倉知朋之介、王之玉、Hans Chew
Curation : GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE
Art Direction & Graphic Design : 八木幣二郎
Display Fixture : 板垣竜馬
Space Design Support : 桒原幹治(もちもちのたね)
Music : 張

Instagram : www.instagram.com/jyu_raf_arch._/

Date : 〜9/25(日)
Open : 水 – 日 15:00 – 20:00
Closed : 月・火(祝は除く)
Venue : CONTRAST
Address : 東京都渋谷区富ヶ谷1-49-4-1F & B1F
Admission : ¥800
HP : https://contrast-tokyo.com/
Instagram : http://www.instagram.com/contrast_tokyo/
Twitter : https://twitter.com/contrast_tokyo

主催/企画 : GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE
Special Thanks : volvox Inc.、IN FOCUS inc.
企画/運営サポート : Hisatomo Kato(CON_)

獸(第1章/宝町団地)@WWW X
Date : 9/26 (月)
Open/Start : 16:00 / 17:00
Adv/Door : ¥3,500 / ¥4,000(税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
Line Up : betcover!! / Kazumichi Komatsu / Dove / E.O.U / 松永拓馬 / 4ngelkidz / 三好優夏 / Jun Inagawa×Mco×GCD☆GCD
URL:https://eplus.jp/juu-1/
Address : 東京都渋谷区宇田川町13-17シネマライズビル2F
HP : https://www-shibuya.jp/

Planning/ Booking Support : Hajime Matsuo

Twitter
https://twitter.com/infocus_inc
Instagram
https://www.instagram.com/in_focus_inc/


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