なぜ、人は渋谷に集まるのか?
僕は東京生まれ東京育ちで、都会好きだ。
いわゆる、「シティボーイ」みたいな?
新宿や渋谷が街としてイケていると思っていた。
東京の街は、無関心で冷たくて泥まみれで。
でも、孤独や虚無感をそのまま許してくれる、そんな優しさが好きだ。
高いお金と引き換えた服を身につけ、仮面を被り、顔を上げて堂々と歩く。
「渋谷って、すごく変じゃない?」
ある日のキャンプ場。
お世話になっている知り合いが独り言のように呟いた。
周囲の反応を待たずに続ける。
「新宿とか渋谷は、なんか変。みんなお金を身につけているというか。強がっているっていうか。あんまり生きている心地がしないんだよね。」
その言葉がずっと心に刺さっていた。
痛みではなく、ツボを押されてシコリがほぐれる心地良さだった。
なぜ、人は渋谷に集まるのか?
渋谷は自分が強くなった感覚、何者かになれた感覚に酔いしれるからだ。
無理に強がって仮面を被る。
仮面があるから、顔を上げて堂々と歩けているだけなのだ。
周囲も自分と同じ猛者感覚に麻痺しているのだから、酔いが余計に助長されて覚めにくい。
渋谷はなんて罪な街。
そんなことを考えながら、
僕は今日も、宮益坂を歩く。
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