見出し画像

瀬をはやみ

↑前回のつづき

混在する世界では敵意を撒き散らす人とそれを諌める人がいてバランスが保たれている。

丸く収まっているなら良しと言えるが、諌める方は尻拭いをさせられている状況でもある。その時間と労力をもっと他のことに使ってくれたらと思わずにいられない。

反対に敵意を際限なく増幅させた先に平和な未来が待っているかもしれない。あくまで物理衝突はダメだが、昔の不良漫画みたいに気の済むまで殴り合って最後は認め合う、みたいなことがネット上で起こる可能性もゼロではない。

世界が分割されていればそれぞれのケースの行く末をA/Bテストのように確かめられる。両者が混ざり合った状態では明確な失敗も成功もなく、ただ現状を維持するだけの毎日になってしまう。

誰にも邪魔されず他国の悪口を言い続けた結果、憎しみは何も生み出さないと自力で気づくシナリオは楽観的すぎるだろうか。強制や同調圧力ではなく、自分の意思で悪口を言わない世界に合流するのだ。

瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ

百人一首より

別れてもまた会えるという男女の歌だが、色恋に限らず当てはまる気がして好きだ。無理に世界をひとつにしなくていい。自然に任せておけばいずれ世界はひとつになると信じたい。


↓ここから始まった多様性の話【全25回】でした。