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ありがとうの力。

わたしはコンビニでアルバイトをしている。時間帯は朝6時から10時まで。割と朝は得意な方だし、なにより時給が他の時間帯より高いから、朝勤務を希望した。深夜も時給いいけどお客さん怖そうだし外暗いからやめた。おかげさまで休日も朝5時には自然に目が覚めるし、休日だと二度寝もできちゃう。二度寝っていいよね。なんだか得した気分になる。朝一で感じられる小さな幸せ🌷


コンビニ店員の業務内容は主にレジと品出し。朝は時間に追われている日本人がたくさんいるから、店員にあたりが強い人がほとんどだ。「袋に入れて。」とタメ口で言う人、商品を投げて渡してくる人(自分が買う物なのになんで投げるの?)、会計を早く済ませたいからタッチパネルの画面を連打する人(故障の原因になるからやめて。)、いろんなお客さんがいる。わたしは高校生の頃からコンビニ店員として生きてきたから、そんなお客さんの対応には慣れている。イライラしているお客さんほど丁寧に接客してあげる。「この人は今余裕がないんだろうな。」って思う。正直「なんだかかわいそうだな。」とか思うこともある。店員とお客さんという立場はあるけど、みんな同じ人間なんだよ。店員には文句を言ってもいいっていう決まりはないでしょ?


そんな中でも優しいお客さんもたくさんいる。「すみません、箸一膳つけていただけますか?」と言ってくれる人、「いつも朝から頑張ってて偉いね。」と誉め言葉をくれる人、商品を渡すときの「お願いします。」と帰る時の「ありがとうございます。」を欠かさず言ってくれる人。あなたのようなお客さんがいるからアルバイトを頑張れるし、もっといい接客をしようとわたしが成長できる。コンビニでアルバイトをしてから、客としてコンビニを利用する際には必ず店員さんに「ありがとうございます。」と言うようになった。わたしの些細な一言で、店員さんが嬉しい気持ちになってくれたらいいなって思うから。


今日はとても素敵なやりとりを見た。とある親子がわたしが担当していたレジにきた。

「いらっしゃませ。お預かりします。」

父親はペットボトルのカフェオレを、小学生の女の子は新作のグミを買いに来た。女の子はなんだか嬉しそうだった。お父さんにグミを買ってもらえることが嬉しいのだろう。ずっとニコニコしていて可愛らしかった。

「ありがとう」

女の子が会計中のお父さんに言った。しかしお父さんはそれが聞こえなかったのか、無視をしていた。感謝の思いが届かなかった女の子はもう一度、

「ありがとう」

とお父さんの目を見てさっきよりも少し大きな声で言った。お父さんは

「どういたしまして。」

とにこやかに言った。優しい声音だった。やはり性格は声に表れるんだなと感心した。今度こそ感謝の思いを伝えられた女の子に「よかったね。ちゃんと届いたね。ありがとうって言えて偉いよ。」と心の中で思っていた。

「ありがとうございます。またお越しくださいませ。」

会計が終わった親子にいつもより少し深いお辞儀をした。素敵なやりとりを見せてもらったから。親子を出口まで見送っていた時、女の子はまた

「ありがとう」

とお父さんに言っていた。またお父さんの顔をしっかり見て、私にも聞こえるくらい大きな声で、さっき届いたはずの感謝をまた伝えていた。驚いた。この数十秒で女の子は3回も「ありがとう」と言ったのだ。同じ人に。


なんて優しい心を持っているのだろう。この子はきっと大きくなっても優しくて思いやりのある人なのだろうと思った。そしてお父さんやお母さんが「ありがとう」という感謝の気持ちを忘れずに伝える人で、女の子はそれを真似しているのかなって思った。間違いなく素敵な暖かい家族なんだろうな。またコンビニにグミを買いに来てね。今度は「偉いね」ってちゃんと言葉で褒めてあげたい。他人に言われる誉め言葉って心に残るだろうから。


憂鬱なアルバイト中に、女の子のありがとうに癒された話でした。
わたしもたくさん「ありがとう」と言おう。
思いやりのある人になろう。
そしてわたしを見た人が「私もたくさん『ありがとう』と言おう。」って思ってくれるように。
優しい言葉で生活が彩られるように。


infjのわたしでした。またどこかで。


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