フォローしませんか?
シェア
三鷹古典サロン裕泉堂/吉田裕子
2021年8月22日 08:27
この時期の風物詩として、「蝉(蟬)」を取り上げよう。蝉といえば、何と言っても芭蕉の句〈閑さや岩にしみ入る蝉の声〉であろう。山形県山形市の立石寺(りっしゃくじ)(山寺)において、一六八九(元禄二)年五月二十七日に詠まれた句である。戦前、斎藤茂吉がこれはアブラゼミだと言い出したことがある。その説に小宮豊隆が反論、細く澄んだ糸筋のようなニイニイゼミの声のほうが「岩にしみ入る」にふさわしいと主張し