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13-4.最新スキルアップ動画ご案内

(特集 心理職として技を磨く)
下山晴彦(東京大学教授/臨床心理iNEXT代表)
Clinical Psychology Magazine "iNEXT", No.13

1.新たにアップした「Archive」動画

本年4月1日に活動を開始した臨床心理iNEXTは,「心理職のキャリアップのためにできることは何か」をテーマとして,コロナ禍の中で活動をしてきました。コロナ禍への対応をも含めて,「心理職は,今何をすべきか」を模索してきました。

その活動の一環として,研修会やシンポジウムを開催し,インタビューを実施してきました。そして,活動成果をオンライン臨床心理マガジンiNEXTで皆様に報告をし,情報の共有をしてきました。

そこで,臨床心理iNEXTでは,2020年に実施した研修会,シンポジウム,インタビューなどの記録を「Archive動画」として再構成し,会員の皆様の学習教材として利用していただけるように会員サイトにアップしました。

今回アップをしたArchive動画は,下記となっております。ぜひご利用ください。

【臨床心理フロンティア会員】
■「公認心理師」受験生のライフデザイン応援
■公認心理師の、その先へ:実践心理職の未来を創る
【学部会員】
■「公認心理師試験」 応援Onlineセミナー2020秋
■医療分野で活躍するために必要な技能とは
■教育分野で活躍するために必要な技能とは
【大学院会員】
■動機づけ面接の基礎
■認知行動療法の基礎から応用へ
■応用行動分析の基礎から応用
■マインドフルネスの基礎
■ケースフォーミュレーションの基礎
■ストレスマネジメント
■「虐待」を受けた子どもへの統合的支援
【専門職初級会員】
■動機づけ面接の臨床活用
■知能検査の臨床活用
■ケースフォーミュレーションの臨床応用
■応用行動分析の臨床活用
■マインドフルネスの臨床活用
■子どもの認知行動療法の臨床活用
■オープンダイアローグ
■アンガーマネジメント
■発達障害支援ペアレントプログラム

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2.心理職のスキルアップに必要な「技」とは何か

心理職が専門職としてキャリアップしていく土台は,一人ひとりが技能を磨き,スキルアップをしていくことです。では,心理職がスキルアップする「」とはどのようなものでしょうか。

心理職としてのキャリアをスタートするためには,公認心理師や臨床心理士の試験を受けて合格して資格を得ることが出発点になります。その点では,心理職になるための知識を学習し,試験に合格する能力を習得することも「技」の一つです。しかし,試験に合格しただけでは,心理職としてのスタート台に立ったというだけです。

次に,心理職の実践技能を習得していかなければいけません。基礎技能をしっかりと習得した上で,段階的に高度な応用技能を学んでいくことが必要となります。しかも,実践技能には,アセスメント技能から心理支援の技能,さらにはコミュニティ支援技能や倫理実践技能など,多様な技能があります。それらを体系的に学んでいくことも必要です。

さらに,時代の変化とともに現場では,新たな技能が求められるようになります。たとえば,現代では,インターネットを用いたオンラインの心理支援技能も必要となってきています。そのため中堅・ベテランの心理職であっても,常に最新技能のスキルアップが必要となります。

そこで,臨床心理iNEXTでは,研修会開催やインタビュー記事を通して,心理職を目指す人から中堅やベテランの心理職まで,それぞれの段階で習得する技能を学ぶ機会を皆様に提供してきました。そして,それらの活動で動画公開が可能なものを2020年の「Archive動画」として会員サイトにアップしました。なお,大学院会員と専門職初級会員のセクションにアップロードした動画は,2020年夏に実施した「臨床心理iNEXT夏季研修会」での講義記録であり,紹介文は研修会チラシ用に各講師が作成のものを転載しています。
https://note.com/inext/n/n500900b6ae36

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3.「臨床心理フロンティア会員」のNew動画

■「公認心理師」受験生のライフデザイン応援
・宮川 純(河合塾KALS講師)+下山晴彦(東京大学)
公認心理師試験や臨床心理学系大学院試験の予備校である河合塾KALSで講師として受験生を指導し,キャリア支援をしている宮川純先生をゲストに迎えて,資格試験の準備や対策ためのアドバイスに加えて,「心理職を目指すことの意味」についてインタビューした。これから公認心理師試験や臨床心理学系大学院試験を受ける人,さらには受験をする学部生や院生を指導する大学教員にはとても参考になる。
https://note.com/inext/n/nec3ed527da4e

■公認心理師の,その先へ:実践心理職の未来を創る

・心理職の専門性の観点から     下山晴彦(東京大学)
・心理職の発達的プロセスの観点から 金沢吉展(明治学院大学)
・心理職の教育訓練の観点から    沢宮容子(筑波大学)  
・社会のニーズに応えるために    松見淳子(関西学院大学)

「主治医の指示に従う」や「学部(専門学校)卒でも受験可」という点を含む「公認心理師」の特徴と限界を明らかにした上で,心理職の主体的な発展に向けたビジョン構築を目指して,“その先”にどのような心理職の専門性を創造するかを提案し,議論する。心理職として発展を目指すための資料となる。

※「日本心理臨床学会39回大会会員シンポジウム」の記録を、日本心理臨床学会の許可を得て転載。

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4.学部会員のNew動画

■「公認心理師試験」応援Onlineセミナー2020秋

【第1部】試験直前の学習ポイント
・公認心理師の到達目標の特徴 下山晴彦(東京大学)
・公認心理師試験の解説と対策 宮川 純(河合塾KALS)
【第2部】経験から学ぶ試験対策
・下山+宮川+第2回試験合格者

第1回~2回の公認心理師試験の経験を踏まえて,公認心理師試験の対策を解説する。公認心理師の到達目標の特徴を踏まえた上で,試験の出題傾向を分析し,受験勉強の仕方と直前対策を伝授する。試験当日の過ごし方についても情報提供がある。公認心理師受験を考えている人には,必須情報満載である。

■教育分野で活躍するために必要な技能とは
・植山起佐子(岡山県スクールカウンセラー)+下山晴彦(東京大学)

教育分野の心理職,特にスクールカウンセラーとして働くために,どのような知識や技能を学習する必要があるか,それらを習得していくためにはどのような訓練が必要かを体系的に解説する。特にスクールカウンセリングの歴史的発展と今後に向けた視野の中で今後必要となる技能を学ぶポイントが示される。スクールカウンセラーの技能情報満載。
https://note.com/inext/n/n4e90634a1feb

■医療分野で活躍するために必要な技能とは
・高野公輔(東京女子医科大学病院)+下山晴彦(東京大学)

保健医療分野の心理職,特に一般病院・総合病院で勤務するにはどのような知識や技能を学習する必要があるか,それらを習得していくためにはどのような訓練が必要かを体系的に解説する。精神科での活動だけでなく,一般身体科における心理職の活動,特にコンサルテーション・リエゾンに関連する技能を学ぶポイントが示される。医療分野で必要な知識情報満載。
https://note.com/inext/n/n35891090b8c9

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5.「院生会員」のNew動画

■動機づけ面接の基礎
林潤一郎(成蹊大学)

動機づけ面接は,変化に対するアンビバレンス(葛藤)を抱えるクライエントを支援するためのアプローチ法です。関係性を構築し,行動変化に対する抵抗を減らし,動機づけを高めることで,クライエントの望む目標に向かう行動変化を支えます。本講義では,動機づけ面接の基本的な理論と技術を紹介し,クライエントの変化への抵抗感や動機づけの低さをどう理解し,どのように対応していくとよいのかについて学びます。

■認知行動療法の基礎から応用へ
下山晴彦(東京大学)

日本の多くの心理職は,これまでクライエント中心療法のカウンセリングや力動的な心理療法を学んでいます。そのために「自分は認知行動療法(CBT)とは考え方が違う」といって「食わず嫌い」になっている人がいます。また,CBTを実践している人でも,複雑なケースになると上手くいかない場合もあります。実は,CBTを使いこなすためにカウンセリングや力動療法の経験はとても役立つのです。ただし,CBT活用の基本ポイントを習得する必要があります。それは,複雑にケースに対してCBTを臨床活用するコツでもあります。当日は,具体的事例に即して,そのポイントとコツを解説します。

■応用行動分析の基礎から応用
田中恒彦(新潟大学)

この講座は応用行動分析の初学者が対象です。応用行動分析はヒト(を含む動物)の行動をヒトと環境の相互作用(過去も含む)という視点から考える実践法です。本講義では,「随伴性」と「機能」という観点から臨床の中で起る様々な現象をひもとく方法について解説します。今まで応用行動分析というキーワードが気になっていた方はもちろん,臨床上の志向性の如何を問わず,明日からの臨床力upを希望する人にもおすすめします。応用行動分析の視点を身につけることで,思い込みや直観,過去の経験に囚われることなく,環境とヒトの相互作用がありのまま観察できるようになり,支援への道筋が今まで以上にクリアに見えてくることでしょう。

■マインドフルネスの基礎
大谷 彰(Spectrum Behavioral Health)

テーラワーダ仏教瞑想に端を発するマインドフルネスの基本概念,歴史的沿革,神経生理メカニズム,治療エビデンス,およびパラダイムについて俯瞰する。日本文化はとりわけ大乗仏教とも関わりが深いことから,西洋化されたマインドフルネスと東洋的な禅瞑想などとの関連についても言及を試みる。こうした理論的背景をもとに〈タッチ・アンド・リターンTM〉によるマインドフルネスの実践体験を行う。

■ケースフォーミュレーションの基礎
下山晴彦(東京大学)

アセスメントにおいて収集された情報を的確に整理,統合して問題の成り立ちを明確化し,心理支援の方針を作成するための作業仮説がケースフォーミュレーション(CF)です。したがって,CFをするためは,まず適切な(生物−心理−社会モデルに基づく)情報を収集するアセスメント技能が必要となります。次に,得られた情報を再構成し,介入に向けて問題に成り立ちを推測する情報処理の技能が必要となります。本講義では,認知行動療法の枠組みを活用して,CFを適切に実施するためのアセスメント技能と情報の再構成の技能を解説します。

■ストレスマネジメント
竹田伸也(鳥取大学)

ストレスマネジメントを,私は「心の免疫力の高め方」と表現しています。心の免疫力を高めるための力にはいくつかありますが,今回の研修ではそのうちの3つをお話しします。ストレスマネジメントの基本にあたる話になります。ビギナーの方は,地平の広いストマネの基礎をしっかりと身につけることができます。ベテランの方には,同業者がどのような言葉をもってストマネを語るかを知ることで,ストマネを伝えるご自身の幅を広げる機会となるでしょう。

■「虐待」を受けた子どもへの統合的支援
内海新祐

「虐待」を受けた子どもの支援に関する講義です。政策動向,ケースワークの視点,アセスメントの着眼点,何が「こころの治療」になるのか,多職種・他機関連携などについてお話しします。それらがしばしば一筋縄ではいかない困難を含んでいるということもお伝えしたいと考えています。おもに児童養護施設における臨床経験がもとになりますが,どのような現場においても有用な知識や観点,方法論を提示できればと思います。

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6.「実践心理職初級会員」のNew動画

■動機づけ面接の臨床活用
林潤一郎
動機づけ面接は,変化に対するアンビバレンス(葛藤)を抱えるクライエントを支援するためのアプローチ法です。関係性を構築し,行動変化に対する抵抗を減らし,動機づけを高めることで,クライエントの望む目標に向かう行動変化を支えます。動機づけ面接の基礎となる理論や技術を,実際の面接場面でどのように活用していくかについて,模擬事例をもとに解説していきます。「動機づけ面接の基礎」との同時受講がおすすめです。

■知能検査の臨床活用
高岡佑壮(東京発達・家族相談センター)
下山晴彦(東京大学)
知能検査の結果を心理面接に活かす方法について解説します。IQや各指標得点のような「数値」だけではなく,「被検者がどのような答え方をしたか」といった具体的な行動もふまえた,被検者の認知機能(=情報処理の仕方の特徴)の見立て方等を概説します。そして,「その認知機能が,被検者の主訴とどのように関係しているか」の見立て方,及びその見立てに基づいた支援の方法について,架空の事例に即した解説を行います。

■ケースフォーミュレーションの臨床応用
下山晴彦(東京大学)
実際の臨床場面においてケースフォーミュレーション(CF)を有効に活用するためには,一旦仮説として作成したCFをケース理解に適用して,不足の情報をさらに収集するとともに,介入した結果に基づいてCFを修正し,心理支援の進行に即してCFを発展させていく柔軟性が必要です。特に発達障害やトラウマなどが一次障害として隠れている場合には,現実の問題に関するミクロCFだけでなく,根底にある問題を組み込んだマクロCFを形成し,介入していく臨床技能が必要とります。本講義では,そのようなCFの臨床活用のポイントについて,事例なども紹介しながら解説します。

■応用行動分析の臨床活用
大月 友(早稲田大学)
応用行動分析(ABA)は,行動分析学の1領域であり,さまざまな行動の法則や原理を社会的に重要な行動を改善するために適用する研究と実践である。ABAで用いられる行動変容の手続きは,行動変容技法として認知行動療法をはじめさまざまな心理的支援において活用可能である。本研修では,主に相談(カウンセリング)場面において,このABAに基づく行動変容技法をどのように活用するのかについて解説する。

■マインドフルネスの臨床活用
大谷 彰(Spectrum Behavioral Health)
マインドフルネスの臨床活用について〈マインドフルネスを主体とするアプローチ〉,および〈マインドフルネスを技法として応用するアプローチ〉の相違を理解し,それぞれの理論的背景とエビデンスについて論考する。講義では後者に重点を置き,比較的容易なマインドフルネス応用(ストレス緩和,情動調整など)についてのテクニックを論じる。これに続き総括的なマインドフルネスによる治療アプローチとして〈マインドフルネス段階的トラウマセラピー(Mindfulness-Based Phase-Oriented Trauma Therapy; MBPOTT)〉を紹介する。

■子どもの認知行動療法の臨床活用
松丸未来(東京認知行動療法センター)
本講義では,主にスクールカウンセラーの臨床を通して,実際に認知行動療法をどのように生かしているかをお話しします。相談室での子どもとの個別のやりとりのみならず,保護者や教員など子どもと関わる周囲の大人に対してのコンサルテーション,また集団向けの認知行動療法がベースとなっている心理教育授業についても紹介します。
参考文献:「子どものための認知行動療法ワークブック―上手に考え,気分はスッキリ―」(2020,金剛出版)

■オープンダイアローグ
白木孝二(Nagoya Connect & Share)
オープンダイアローグはフィンランド・西ラップランド地方で開発されてきた地域精神医療のアプローチです。クライアントやネットワークとの開かれた対話を通して,危機を乗り越えようとするもので,その治療効果だけでなく,対人援助の原点とも言うべき臨床哲学と対話的な姿勢が注目されています。心理臨床を含めさまざまな領域への応用を視野に入れながら,オープンダイアローグの哲学と実践を紹介したいと思います。

■アンガーマネジメント
竹田伸也(鳥取大学)
アンガーマネジメントは,怒りと上手につきあう力を身につける営みです。とはいえ,怒りと上手につきあうなんて,そう簡単にできるもんじゃない。あなたは,そう思わないでしょうか。「ふつふつした怒りの爆発を一気に静める」ということだと,誰であっても難しいにきまっています。そうではなく,ステップを踏んで怒りを収めるだと,まだなんとかできそうだと思いませんか。では,その「怒りを収める」ステップとはどんなステップか。というお話をしてみたいと思います。

■発達障害支援ペアレントプログラム
黒田美保(帝京大学)
発達障害において,家族への支援は子どもへの直接介入以上に重要である。発達障害では日々の対応が重要であり,親を中心とした家族は心理士以上に子どもの良きセラピストとなる。こうした親支援の1つにペアレントプログラム(ペアプロ)がある。ペアプロは,子どもの行動を客観的に捉え子育てへの認知をより肯定的なものに変えていくことに重点をおく。小集団で行い,現状把握表に子どもの行動だけでなく親自身の行動をまとめていくことで,親が子育ての自信を取り戻すという効果もある。ペアプロの概要を講義する。

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2020年の最後の記事になる予定です。今年はいろいろなことがありましたが,来年2021年は皆様にとって幸多い年となりますよう祈念いたします。

よいお年をお迎えください。

(電子マガジン「臨床心理iNEXT」13号目次に戻る)

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臨床心理マガジン iNEXT 第13号
Clinical Psychology Magazine "iNEXT", No.13


◇編集長・発行人:下山晴彦
◇編集サポート:株式会社 遠見書房


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