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31-1.解題☆第5回公認心理師試験

(特集:秋の感謝祭☆研修会)

下山晴彦(臨床心理iNEXT代表/跡見学園女子大学教授・東京大学名誉教授)

Clinical Psychology Magazine "iNEXT", No.31-1

【ご案内中の研修会】

緊急企画:「公認心理師試験の解題と対策」研修会
「第5回試験結果から公認心理師試験の動向を読む」
■9月3日(土曜) 9時〜11時
■講師 宮川純 河合塾K A L S

【申込み】
[臨床心理iNEXT有料会員](無料):https://select-type.com/ev/?ev=OyXQkmeXZSQ
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「注目新刊書」著者オンライン研修会
「ゲームやネットへの依存と認知行動療法」
■9月11日(日曜) 13時〜16時
■講師 神村栄一 新潟大学教授

【申込み】
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1.“問題”の多い公認心理師試験

 8月26日(金)には、第5回公認心理師試験の結果発表があります。この第5回試験は、いわゆるGルートの受験が最後となります。つまり、今回で移行の特別措置が終了し、来年度の第6回試験では学部から公認心理師養成カリキュラムに従って学習してきた“純粋”な学生のみが試験の対象となります。この点で第5回公認心理師試験は、エポックメイキングな出来事です。
 
ところが、インターネット上では、昨年の第4回試験とは再び問題傾向が変わり、第1問から戸惑った受験生が多かったとの意見が多数寄せられています。心理職の第一歩を踏み出すための国家資格試験が毎回、難易度だけでなく、出題傾向も変わるといった不安定な試験では困ります。
 
まさに、公認心理師試験は、国家資格の試験としては多くの“問題”を抱えた試験制度となっています。受験生も、心理職を目指して学んでいる学生も、さらには学生を指導する教員や心理職も、公認心理師試験の動向をしっかりと監視し、対策を講じていかなければならないと言えます。

2.緊急企画「第5回試験結果から公認心理師試験の動向を読む」

そこで、臨床心理iNEXTでは、心理学系試験の予備校である河合塾KALSの講師であり、公認心理師試験の傾向分析の第一人者である宮川純先生に第5回公認心理師試験の解題をしていただき、さらに臨床心理iNEXT代表の下山と公認心理師試験の今後の動向予測の対談をする研修会を実施します。日程や申込方法は、本号の冒頭に記載した研修会案内をご参照ください。
 
本号では、研修会に先立って宮川先生に「解題☆第5回公認心理師試験」とする記事をご寄稿いただきました。記事掲載に先立って、宮川先生を簡単にご紹介します。

【講師紹介】宮川純先生
名古屋大学大学院 教育発達科学研究科 心理発達科学専攻 博士課程前期卒。河合塾KALS心理系大学院受験対策講座にて、15年以上の指導歴。臨床心理士・公認心理師資格試験に関する講座や教材作成も担当。また近年は,臨床心理iNEXTへの参加や、YouTubeチャンネル「ミヤガワRADIO」の開設など、心理学教育の幅を広げる活動にも注力している。

河合塾KALS https://www.kals.jp/
YouTubeチャンネル「ミヤガワRADIO」https://www.youtube.com/channel/UC4CGfSCmvOoJCVvbrvy_tcQ
twitter https://twitter.com/Jun_Miyagawa__

宮川純先生(河合塾K A L S)

3.はじめに(以下、「解題☆第5回公認心理師試験」by 宮川純)

 毎年、公認心理師試験が終わるたびに、SNSを中心に色々な意見が飛び交うのは、もはや恒例行事と言っても良いだろう。意見の中には、偏った意見や過激な意見もあるが、そのような意見も含めて、受験生が試験を通じて何を体験し、何を感じたのかが可視化されるようになったのは、筆者のように受験対策に携わる者としては、非常にありがたい限りである。では、今年はどのような意見が多かったのだろうか。
 
今年、とにかく多かった意見は「難しい」「過去問で見たことがない」「学んできたことが無駄だった」という意見である。たしかに、過去の公認心理師試験で多く出題されていたピアジェやエリクソンの発達理論は出題されなかった。例年出題されている心理検査のカットオフ値に関する問題は、今回は一切出題されなかった。
 
そして何よりも、全ての問題を「見たことがない」と錯覚してしまうほど、強烈なインパクトを与えた「問1」の存在は、今回の試験の目玉と言って良いだろう。

問1 個人情報の保護に関する法律における「要配慮個人情報」に該当するものを1つ選べ。

①    氏名  ② 掌紋  ③ 病歴  ④ 生年月日  ⑤ 基礎年金番号

 緊張が最高潮に達する試験開始直後。意気揚々とページを開き、試験に挑む受験生を、最速で置き去りにしていったこの問1。本当に、今自分が開いた試験は、公認心理師試験なのか…?試験開始直後、ページをめくる音がどこからも聞こえず、まるで時が止まったような感覚に陥ったという声も聞く。そして、問1のショックから立て直そうとしても、序盤から解答困難な問題が続く。問1の圧倒的な初頭効果により「見たことがない問題ばかりだ」「これまで学んできたことは、無駄だったのでは」といった想いに囚われてしまった受験生は、院卒・現任者問わず、数多くいたのではないだろうか。
 
 では、改めて客観的かつ冷静に振り返ってみたとき、今回の第5回試験は「見たことがない問題ばかり」「過去問にない問題ばかり」だったのだろうか。今回の記事では、改めて第5回公認心理師試験の概要について振り返ってみよう。
 
※本記事は、河合塾KALSが試験直後に発表した「分析速報」をベースに作成しています。(https://www.kals.jp/clinical-psy/pdf/kounin_20220719.pdf

4.第5回試験の基本情報

◆ 試験時間・問題数・マークシート用紙は、全て第4回までを踏襲。
・午前の部(10時~12時)、午後の部(13時半~15時半)各120分の2部構成。
・マークシート用紙はAとBのいずれかが渡される。用紙Aは塗りつぶす①~⑤が横にならんでおり、用紙Bは①~⑤が縦にならんでいる。マークシートが用紙Aであっても用紙Bであっても試験問題に違いはない。
・多くの試験会場で、試験開始60分後から終了10分前までは途中退室可。ただし、試験開始時間の遅れなど、試験会場や状況によっては途中退室ができない場合もある。 

◆ 解答形式は、5肢択一(5つの選択肢から1つを選ぶ形式)、4肢択一(4つの選択肢から1つを選ぶ形式)、5肢択二(5つの選択肢から2つを選ぶ形式)の3種類。5肢択二問題は、選んだ2つの選択肢が両方とも正解していなければ得点にならない。第4回試験で5肢択二形式の出題数が減少したが、第5回試験では例年通りに戻る形となった。

◆ 不適切な選択肢を選ぶ問題が、特定の番号帯に固めて配置されている点も第4回試験までと同様。例えば、第5回試験の午前問題の34番~50番は、すべて不適切な内容の選択肢を選ぶ問題である。さらに「不適切なものを選びなさい」と問題文に下線が引いてある点も第4回試験までと同様。問題数は以下の表2の通り。全体として、不適切な選択肢を選ぶ問題は増加傾向にあったが、第5回試験では第1回試験と同程度に減少し、適切なものを選ぶ問題が出題の主体となった。

※適切選択…「正しいものを選びなさい」「最も適切なものを選びなさい」などの形式。
※不適切選択…「誤っているものを選びなさい」「最も不適切なものを選びなさい」などの形式。

◆ 午前・午後ともに一般問題58題のあとに19題の事例問題という構成。つまり、一般問題は午前と午後合わせて58×2=116題、事例問題は午前と午後合わせて19×2=38題となる。1つ1つの事例の文章の長さは10行前後。

◆ 第5回試験の配点予想は表4の通り。これまでと同様に一般問題1点・事例問題3点という配点ならば230点満点。のちほど触れるが、難易度は第2回・第3回試験に近いものであったため、合格ラインは第3回試験までと同様138点(60%)と予想される。(なお、第4回試験は合格発表時に合格ラインが143点(62.2%)と発表された)

5.出題内容を読み解く

 「はじめに」において、受験生から「過去問で見たことがない」「学んできたことが無駄だった」という声が多く挙がったことを紹介した。確かに過去の公認心理師試験においては、マニアックな用語に関する問題、出題の意図を把握することが難しい問題が多数出題されていた。では第5回試験もまた、そのようなマニアックな用語が多数出題され、出題の意図が掴みづらい問題ばかりだったのだろうか。
 
 そこで、第5回試験の出題内容と、公認心理師試験の出題基準“ブループリント”に記載されているキーワードのマッチングを行なってみた。果たして第5回試験の出題内容は、ブループリントにどの程度マッチするのであろうか。
 第5回試験の一般問題(問1〜問58、問78〜問135)の問題文に、ブループリントに記載の小項目キーワードが直接記載されているものを、以下の(例)のように抽出した。

(注)ブループリントとは、日本心理研修センターが発表している「公認心理師試験出題基準」のこと。公認心理師として業務を行うために必要な基本的知識および技能を具体的な項目(キーワード)で示したものであり、この基準に従って出題がなされる。

(参考)令和4年版 公認心理師試験出題基準・ブループリント http://shinri-kenshu.jp/wp-content/uploads/2022/01/blue_print_202201.pdf

 ブループリントに記載のキーワードから直接的に出題された問題は以下の通りである。

<ブループリント記載のキーワードの直接的出題(一般問題)>
● スーパービジョン(問2)
● 重回帰分析(問6)
● 観察法(問7)
● ディスレクシア(問9)
● 遂行機能障害(問12)
● 注意欠如多動症(問15)
● Caplanの予防モデル(問20)
● 障害受容(問21)
● 認知症の行動・心理症状(問23)
● ハラスメント(問26)
● 移植医療(問29)
● 精神保健福祉法(問33)
● 低出生体重児(問35)
● 生物心理社会モデル(問38)
● 緩和ケア(問40)
● 合理的配慮(問45)
● 母子保健法(問46)
● 学生相談(問49)
● 安全文化(問50)
● ナラティブ・アプローチ(問53)
● コミュニティ・アプローチ(問54)
● 不登校(問56)
● いじめ(問57)
● 注意(問84)
● 5因子モデル(問87)
● 中枢神経系(問88)
● ストレングス(問91)
● 関与しながらの観察(問92)
● 質問紙法(問93)
● 動機づけ面接(問95)
● 知的障害(問99)
● 素行症/素行障害(問100)
● 職場のメンタルヘルス対策(問102)
● 難病(問105)
● 向精神薬(問108)
● 児童虐待防止法(問109)
● インフォームド・コンセント(問116)
● 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(問118)
● 心理教育(問119)
● 自殺予防(問123)
● いじめ防止対策推進法(問124)
● 心理職のコンピテンシー(問125)
● 地域包括ケアシステム(問126)
● 共感的理解(問128)
● 軽度認知障害<MCI>(問132)
● 教育基本法(問133)
● 男女雇用機会均等法(問135)

 以上のように、多数のキーワードがブループリントから直接出題されている。事例問題や選択肢の文中の記載、間接的な出題を含めると、ブループリント関連キーワードの出題はさらに多くなる。また、社会的絆理論(問71)、関与しながらの観察(問92)、原因帰属に基づく声がけ(問153)など、過去問と類似した問題もたしかに出題されている。
 
 以上のことから、第5回試験もこれまでの試験と同様、ブループリントと過去問を軸に作問されていることは間違いない。もちろん、ブループリントに全く記載のないキーワードも出題されている。だが、「見たことがないものばかり」ということはなかったのである。

6.難易度の質的な変化

 では、なぜこれだけ試験を難しく感じた者が多かったのだろうか。それは、過去の公認心理師試験と比較して、「難易度の質」が変化している点が大きいように思われる。
 
 例えば、以下の問題を紹介したい。

問87 パーソナリティの5因子モデルのうち、開放性に関する語群として、最も適切なものを1つ選べ。

①    寛大な、協力的な、素直な
②    怠惰な、無節操な、飽きっぽい
③    陽気な、社交的な、話し好きな
④    悩みがち、動揺しやすい、悲観的な
⑤    臨機応変な、独創的な、美的感覚の鋭い

 パーソナリティの5因子モデルの存在は知っている。5因子が「外向性」「調和性」「勤勉性」「開放性」「神経症傾向」であることも知っている。しかし、それだけではこの問題は正解できない。それぞれの因子がどのような性格特徴を表しているのか、心理学においてどのように用いられているのか理解していなければ、「開放性」という文字列だけから、開放的な言葉が並ぶ選択肢①や③を選んでしまうことだろう。事実、そのような受験生が多くいたと聞く。
 なお、問87の正解は⑤と思われる。5因子モデルにおける開放性は通称「経験への開放性」と呼ばれ、知的好奇心や様々な興味に開かれた姿勢のことを指すためである。

 他に、もう1問紹介しよう。

問89 ある実験において、写真に写った本人は左右反転の鏡像をより好み、その友人は同じ人の正像をより好むという結果が得られたとする。この結果を説明する心理学概念として、最も適切なものを1つ選べ。
 
①傍観者効果 ②単純接触効果 ③ピグマリオン効果
④自己中心性バイアス ⑤セルフ・ハンディキャッピング

 本問の正解は②単純接触効果である。そしてこの問題は、個人的に第5回試験を象徴する問題と筆者は考えている。もし「繰り返し接することで好意的な評価が形成されやすくなる現象を表す用語を1つ選べ」という問いかけならば、多くの者が「単純接触効果」を選べたことだろう。しかし、本問はそのような「暗記」ではなく「理解」を問う内容であった。単純接触効果という用語と意味を丸暗記しているだけでは正解することが難しいが、日常生活と関連づけながら「活きた知識」「活きた理解」になっていれば正解することは、決して難しくない。
 
 上記で紹介した問87・問89に限らず、第5回試験は用語名の丸暗記で対応することが難しく、意味を理解していなければ解けない問題が多く出題されていた。そのような観点で見ると「過去問に、表面的に取り組んだだけ」では、対応できなかったであろう。過去問の内容やブループリントのキーワードについて、自分なりに意味を咀嚼し、理解し、活きた知識にまで仕上げていなければ、学んだことがある内容をどこにも見つけられない…!第5回試験は過酷だが、しかし、試験の質としては間違いなく向上したと筆者は考えている。
 
 なお、冒頭で紹介した問1ですらも、改めて考えると「理解」を問う問題だったと考えることができる。

問1 個人情報の保護に関する法律における「要配慮個人情報」に該当するものを1つ選べ。

①    氏名  ② 掌紋  ③ 病歴  ④ 生年月日  ⑤ 基礎年金番号

 公認心理師試験特有の難問・奇問と思われがちな問1だが、ただの個人情報ではなく「要配慮個人情報」、つまり「配慮を要する個人情報は何か」を考えてみると、そして要心理支援者の目線で「情報だけが一人歩きしてしまうことを恐れる可能性が高い情報は何か」を考えると、「要配慮個人情報」とは何かを丸暗記していなくても「③病歴」を選択できるかもしれない。
 やや問題に対して好意的に評価しすぎているかもしれないが、それでも本問は、「暗記」ではなく「理解」を問う問題だったとみなすこともできるだろう。
 
 これまでの公認心理師試験とは、難しさの質が異なっていた。これが第5回試験の特徴であり、おそらく今後もこの流れが続いていくであろう。
 
 以下に参考までに、試験の難易度分析を紹介する。河合塾KALSでは毎年、各回の試験について難易度を以下の3段階で判定している。なお、この判定基準および、各設問の難易度の判定は河合塾KALS独自のものであり、日本心理研修センターが発表したものではない。

● 難易度A…5つの中から完全にランダムで選ばざるを得ない難問。
● 難易度B…正解の選択肢を2つまたは3つまで絞り込むことが出来る問題。
● 難易度C…比較的正解を1つに絞り込みやすい問題。

※上記の基準で難易度判定をしているため、キーワードとして難しい内容であったとしても明らかに不正解の選択肢を除外して2択(3択)で勝負できるなら難易度B、選択肢の中に難しい内容があったとしても、明らかに正しいと判断できる選択肢が1つあるならば難易度Cと判定している。

 難易度推移から、第5回試験の難易度B問題の多さが目立ち、そして難易度A問題が突出して多いわけではないことがわかる。このことからも、今回の第5回試験の“難しさ”は、 “解答困難な問題による難しさ”ではなく、“理解を問うような問題による難しさ”であることが見えてくる。ただ暗記していれば、自信を持って答えやすい難易度C問題がやや少なかったことも、上記のことに拍車をかけたことだろう。

7.総評

 これまでの公認心理師試験を木に例えてみるならば、細かい枝先の葉をひたすら集めさせるような問題群であったように思う。そして受験生もまた、その出題内容を見れば、マニアックな枝葉を、かき集めるような学びをしなければならないと考えてしまうだろう。

 もちろんその学び方には限界があり、枝葉をどこまで集めてもキリがなく、そして集めたはずの枝葉は、あっさりと風に吹き飛ばされてしまう。掬いきれない大量の枝葉は、手にしたと思っても、すぐに失われていく。そのような学びに、本当に価値があるのだろうか。
 
 第4回試験後にも、筆者はこの臨床心理マガジンiNEXTで試験分析を述べさせて頂いた。その記事の中に、以下の記述がある。
 
 公認心理師試験は、一見すると「マニアックな知識を収集しなければ太刀打ちできない試験」と思われがちだが、決してそうではないこともより明確になった。奇をてらわず、知識の寄せ集めに走らず、あらゆるキーワードに根差す共通の下地となる「基礎」をおさえる。基礎をおさえた上で、ブループリントと過去問を学び、深めていく。このような「王道の学び」が、合格への道となることへの確信。
 
(解読★第4回公認心理師試験 臨床心理マガジンiNEXT
https://note.com/inext/n/naeabbd54fb79
 
 そして、第5回試験を終えた今も、その確信は変わらない。
 やはり大切なものは、あらゆる枝葉に共通する「根」の部分だろう。心理学、そしてその専門家である心理専門職としての「根」を、どれだけ作り上げられるか。それが、専門職としての強固な地盤となることだろう。
第5回試験で「根」の部分を問う出題が増えたことは、非常に大きな意味があると筆者は考えている。それは、試験問題としての質を高めるだけでなく、今後の受験生が、表面的な「暗記」に走ってしまうことを避け、より本質的な「理解・納得」を求めるようになるためである。
 
 公認心理師試験は「試験内容」という意味でも、新たなステージに入ったと言えるだろう。今後の公認心理師試験の受験生は院卒生が中心になるわけだが、奇をてらわず、知識の寄せ集めに走らず、あらゆるキーワードに根差す共通の下地となる「基礎」をおさえる「王道の学び」を、ぜひ大切にしていただきたい。
 
 最後に、第5回公認心理師試験についてより詳しく知りたい方は、河合塾KALSより発表されている第5回試験の分析速報をご覧頂きたい。本稿では語りきれなかった、第5回試験のより詳細な分析と、今後の学びの方針が記されている。ぜひご活用頂きたい。
https://www.kals.jp/clinical-psy/pdf/kounin_20220719.pdf

■記事制作&デザイン by 田嶋志保(臨床心理iNEXT 研究員)

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