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アメリカで出会った黒人の友達

今、ミネソタ州で白人警官が黒人を殺してしまった事件から全米に広がりつつある
'' I can't breath'' プロテストが話題だ。

アメリカの人種問題は根深く、移民からなった国の為、様々な人種があるのでこれは黒人だけの問題ではなく永遠のテーマとも言える。

アメリカで黒人の友達が出来た時
彼は何かと''俺は黒人だから〜''という事が多かった。

クラブでダンスを踊るか聞いた時
当たり前だろ、俺は黒人だよ?と返された。
私は黒人、というよりアメリカ人全員踊るイメージだったので (笑)
まぁ、黒人の人は踊りは上手いイメージだけどそうなのか、と思っただけだった。

以前の記事にも書いたが、自分の事を黒人だから〜と自虐っぽくネタにする事も多かった。

それは、時にちょっと誇らしげで、時にちょっと悲しそうな顔で言うのだった。

また、初めて会った時に私は
アメリカ生まれなの?と尋ねたら
俺はアフリカンアメリカンのルーツだよと
ルーツを言ってきた。
後に分かったことだが、これはアフリカンアメリカンだと言ったらどんな反応するのか見たかったそうだ。
アフリカンアメリカンの黒人は特に''特別''だった。彼らにとって。

私はその時に
生まれたのはアメリカなんでしょ? じゃあアメリカ人じゃん。
と返した。

彼は少しびっくりした様な顔をした。

そうだけどさ、まぁ、そうだよね
まあでも俺は''アフリカンアメリカン''なんだ。ただのアメリカ人なんて初めて言われたよ

と返された。

その時私はバカだった(もちろん人種差別における歴史は知っていたがそのルーツが今もなお影響しているのは知らなかった)ので

「2つルーツがあるっていいなあ。2つの故郷があるんでしょ?それって素敵だよね!」

とバカクソ平和返答をしたのだった。

すると彼は堰を切ったように笑いだした。

そんなこと言われた事なかったよ!!
たしかにな!俺は誇りに思ってるよ!

と嬉しそうに返してくれた。

移民が普通で両親のルーツがそれぞれ違う人々に囲まれて生まれ育ってきた彼は
そんな事考えた事も無かったんだろう。

でも、日本で生まれた私は自分の故郷が2つもあるって凄い素敵だと本当に思ったのだ。

彼は私を気に入って?くれてなんかそれから仲良くなった。

またある日、ひょんなことからなんかバイトした事ある?という話題が出た。

彼は冗談で私に
麻薬のディーラーやってたよ。

と言ってきて私はまんまと騙されて

え!?まじで?どんな感じ!?と好奇心で目を輝かせて聞くもんだから (なんでやねん)

彼は笑って 嘘だよ!!笑とネタバラシ。

そこで私はいや、やってそうやん自分!笑
と返した。

…今思えば人種差別と捉えられてもおかしくない言動だが、映画やラップの世界などでしか黒人を知らず、関わった事が無かった私は咄嗟に口に出てしまった。

彼はびっくりしたあと大爆笑。

そんな事言われた事ねぇ!!!爆笑
ジーザス!!

とまあこんな感じで予想に反して大ウケであった。

私はハッとして弁明した。
いや、そういう意味じゃなくて私は黒人の人と関わった事がないから…etc

すると

いや、いいんだよ。白人の子なら思ってても俺に気をつかって絶対に言わないし
言っちゃダメっていう雰囲気があるんだ。
アメリカで育ってきたら尚更ね。
でも君はそれが無くて''黒人''じゃなくて''友達''として言ったのがわかったしブラックのbro以外から初めてそんな事言われて新鮮で面白かったんだ!

と。


無知は人を傷つける事もあるけど、時には人を救い、繋ぐのかもしれない。

私はバカで無知だった。でも知ってしまうのは時にこわかったりする。

アメリカって自由で、平等なイメージだったし、それを謳っている人も多くいる。

でも、逆にそれを''謳わないといけない''ほど人種に対して凄く厳しい。

実際に人種差別が直接的にはなくとも''ある''からみんなセンシティブなんだ。

なんだか個人的に、全然違うとは思うけど
日韓問題と似てるのかなぁ、なんて思ったり。

私は移民の国で生まれてもいないし人種差別された事も幸運なことに無い。戦争なんて経験してもいない。から現在起きていることに置き換えて考える事しかできないのだけれど。

実際に問題が''ある''からなにか少しのことで皆がセンシティブになっていてそんなつもりが無くても
ちょっとした言動で敏感になっちゃったりしてやっぱり…って その繰り返し。

昔に起きていた事や、今直面している苦労は当事者じゃないと誰も分からない。

差別も、奴隷も、戦争も、貧困も。

解決策は無いかもしれない。
こんな事ぬくぬくと育った島国の人間が
わかるはずないかもしれない。

でもわたしたちは考える事をやめてはだめだ。

ニュースで''I can't breath''のプラカードを持った人を見る度に

俺はアフリカンアメリカンなんだ。

って言った時の彼の少し不安そうな顔を思い出す。

元気かなあ。

元気でいてくれ。


最後まで読んで頂きありがとうございました。







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