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掌編小説 短編小説

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#掌編小説

羨ましいクリスマス

 サンタさんだって時には子どもたちが羨ましい時があるのです。  子どもたちがすやすやと眠…

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2年前
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カッタン

 だまって私を見据える母の目のどこにも目立った変化をとらえることは出来ないが姉が言うには…

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2年前
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じぶんのいろ

 買ったばかりの青いバスタオルをご主人が不用意に洗濯機に投げ入れたものですから、その色が…

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2年前
6

約束

「お父さん!お母さん!」  勢いよくハルくんが朝の食卓に飛び込んできた。 「サンタさんから…

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2年前
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雨音

 少女は雨が降るとキャノピーからぽつぽつと垂れる雨の滴をじっと見つめる。  その様子がよ…

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2年前
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勲章

 ばあさんはじいさんの手をとりながら、ありがとうあなた、と言った。  じいさんはばあさん…

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2年前
8

「武吉さんと私とはどうしても結ばれることはならないのですか?」 「父が私たちのことを認めない。父が首を縦に振らない限りはどうしても無理だ」 「それは身分が違い過ぎるからでしょうか?」  武吉は黙した。それが答えである。  フクも次の言葉を飲みこんで下を向いた。  女性から男性に結婚をねだるなんてありえない。ここまで我がままを放っても自分を窘めない武吉の人間性にあらためてフクは尊敬の念を覚えた。  身分の違いを表すようにフクはおとなしい柄の着物姿であった。  彼女は小柄で姿勢が

ハッピーハッピークリスマス

 娘は毎年この時期サンタクロースに手紙を書く。  パパにもママにも見られないようにサンタ…

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2年前
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玉虫色のころ

 彩香は玉虫色の儚さがかわいいと言い、続いて自分の名前の「彩」が玉虫色だったらいいのにな…

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2年前
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秋の自転車

 病室。春の夕景。  男の子は父親に自転車をねだった。退院したら乗り方を教えてやると約束…

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2年前
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おとうと

 リナがふとんにはいったあと、おとうさんとおかあさんはおそくまではなしをします。  とき…

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2年前
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ダブルレインボウ

折り畳み傘をやや大げさに振り露を切った。空をさっと洗うような一瞬の通り雨だった。 私は秋…

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2年前
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冬の星座 【掌編小説】

ミナちゃんは部屋に宝石シールを広げてそれを夢中になって並べている。 散らかったおもちゃを…

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3年前
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約束 【掌編小説/#あと100日で新型Cは終わります】

100日したらこの病気なくなるからね。 おじいちゃんが教えてくれた。 幼稚園に行けないこと膝の上でだだをこねたらほっぺ摘まんで真正面から僕を見て言ったの。 僕を子どもだと思っているのかな。 僕は子どもだけどなんでも知っているよ。 この病気を治すことってお風邪を治すより百倍くらい難しいんだよ。 お父さんとお母さんがこないだの夜お話ししてた。 おじいちゃん少し頭お休みし始めたかもねって。おとなのお話むずかしいけどたぶんそんな意味。 また一緒に将棋したいのにできなくなるのかな。