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掌編小説 短編小説

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2021年11月の記事一覧

雨音

 少女は雨が降るとキャノピーからぽつぽつと垂れる雨の滴をじっと見つめる。  その様子がよ…

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2年前
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勲章

 ばあさんはじいさんの手をとりながら、ありがとうあなた、と言った。  じいさんはばあさん…

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2年前
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「武吉さんと私とはどうしても結ばれることはならないのですか?」 「父が私たちのことを認め…

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2年前
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ヒサシブリちゃん

 私はOLだ。  求職中だが南大阪出身なのでオオサカレイディでOLだ。  そんなくだらないこと…

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2年前
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ハッピーハッピークリスマス

 娘は毎年この時期サンタクロースに手紙を書く。  パパにもママにも見られないようにサンタ…

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2年前
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Why

 H氏は妻を失い、そのあまりの悲しみに気が狂いそうになった。  これではいずれ人格が破綻…

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2年前
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シュピナートヌィ・サラート・ス・ヨーグルタム

 料理研究家としてまだまだ無名の私にとってこの度招待を受けたイベントはこれまでにない華々しい舞台であった。  全国でも名だたる名門小学校の創立百周年記念式典に記念講演の講師という大役を授かったのである。  休日を選んでの式典でホールは早くから満席である。    演題「世界のご馳走こんにちは」 ***  講演はいつも通り順調に進みクロージングに向かう。  すでにその頃には何人かのマスコミカメラマンたちに記事用の目線をサービスするほどの余裕ぶりであった。  女性MCが、 「あ

一本!

 今日は告白をする日だ。  別にそんな専用カレンダーがあるわけではないのだが、自分が逃げ…

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2年前
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玉虫色のころ

 彩香は玉虫色の儚さがかわいいと言い、続いて自分の名前の「彩」が玉虫色だったらいいのにな…

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2年前
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秋の自転車

 病室。春の夕景。  男の子は父親に自転車をねだった。退院したら乗り方を教えてやると約束…

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どどん!

 一緒に宮太鼓叩こうよって、これまで二回裕太くんから誘われた。  最初の時はまだ小学生の…

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おとうと

 リナがふとんにはいったあと、おとうさんとおかあさんはおそくまではなしをします。  とき…

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2年前
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