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北海道の開拓、アイヌのことがじんわり伝わってくる漫画『シュマリ』by 手塚治虫

アイヌのことが描かれたマンガの1つ、として挙げられていた手塚治虫先生の『シュマリ』を昨日、一気読みした(全四巻)。

https://tezukaosamu.net/jp/manga/194.html

あらすじは、こんな感じ(上記のオフィシャルウェブサイトより引用)。

明治初期の北海道を舞台にした大河ドラマです。
主人公は、野生的でありながら剣の腕も立つ男・シュマリ。彼はもともと内地人ですが、先住民のアイヌ人に敬意を持ち、親しく交流していました。ちなみに「シュマリ」とは、「キツネ」を意味するアイヌ語です。

シュマリ自身は内地人だが、アイヌの人々とも親しく、助け合う間柄だった。ストーリーの中では、随所で、自分たちの土地や文化を追われ、敬愛していた自然を壊されていくアイヌの人々の様子が描かれている。

スリリングなストーリー展開と、北海道の大地のもつ強さ、広大さを感じられる物語を楽しみつつも、その歴史の過酷さが心に重く響く作品だった。

マンガを読み進めながら、以前、オンラインのトークイベントで、アイヌの登壇者が話していたことを思い出しだ。

「北海道の大地、というと広い牧場を思い浮かべる人が多いけれど、もともと、開拓される前は、牧場なんてなかった。深い森が広がっていたんです。」

それと共に、第4巻の手塚治虫先生の「あとがき」(Pに、当時の時代背景、そして、作り手としての手塚先生の想い、問題意識を感じた。

主人公のシュマリは、はじめの構想ではアイヌと内地人の混血の青年だったのです。それが、どたん場で急に幕府のもと旗本になってしまったので、アイヌ問題は、かるがるしくマンガやフィクショナブルな物語では取り扱えない、複雑で、重大な問題を含んでいて、しかも征服者である内地人であるぼくが、被害者であるアイヌの心情などわかるはずがないと悟ったからです。

1979年に初版が発刊されてから40年以上たった今、少しは、以前よりもアイヌに関するあれこれは、取り上げやすくなったのだろうか。

『ゴールデンカムイ』の人気や、最近読む本やウェブサイトでのアイヌ民族の取り上げ方を考えると、状況は良くなっているのかな、と思いつつ、でも、問題の難しさはまだ、変わらず残っているな…と複雑な思いに駆られた。









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