見出し画像

『マーリ』トリヴィア/ インディアンムービーウィーク2021

インディアンムービーウィーク(IMW)2021パート1にて上映のダヌシュ主演『マーリ』のトリヴィアを紹介します。初見でも十分楽しめる作品ですが、知っておくとより作品を楽しめる内容です。決定的なネタバレはありません。

画像1

[マーリ(原題:Maari)あらすじ] 

チェンナイの下町に住むマーリは、身寄りなく育った若者。8年ほど前から土地を仕切る極道として皆に恐れられるようになっている。彼は鳩レースに入れ込んでおり、鳩の前では柔和な一面も見せる。そんな彼の前に、新しく地区の担当になったアルジュン警部とブティック経営者のシュリーが登場し、波乱が起こる。

[トリヴィア]

◾️マーリ は、軽妙なラブコメを専門にしてきたバーラージ・モーハン監督が送り出した爽やか極道映画。流血量は最小限、陰惨な「クライム映画」が苦手な人にもおすすめの呑気系ユーモア作品。

◾️舞台は架空の集落ディーランナガル。本作のために巨大な下町のセットが組まれたが、モデルにされたのはチェンナイ中心部のトリプリケーン(ティルヴァッリケーニ)地区で、実際にこの地区でロケ撮影された映像も効果的に使われている。

スクリーンショット 2021-05-19 18.59.07

◾️何度も現れる鳩小屋からは、トリプリケーンのワーラージャー・モスク(ビッグ・モスク)や州立病院、MRTS(近郊鉄道)のトリプリケーン駅が間近に見える。

◾️本作中で重要なモチーフとなっているのが、鳩と鳩レース。鳩の帰巣本能を利用し、遠方で放した鳩が戻る速さを競う鳩レースは、世界中で行われているが、インドではチェンナイが中心地のひとつ。19世紀の英国統治下にイギリス人によって持ち込まれたという。

画像3

◾️もうひとつ目立つモチーフがディーワーリー(ディーパーヴァリ)祭り。インドを代表する祭りとして紹介されることが多いのが、春祭りホーリーと、光の祭典ディーワーリー。どちらも北インドで盛んな祭りで、南インド、特にタミルナードゥとケーララでは低調。しかし二つの祭りのうちディーワーリーは、近年南インドでも徐々に祝う人々が増えてきている。本作公開は2015年7月で、10月末~11月頭に祝われるディーワーリーとは時期的に無関係だが、架空の下町で繰り広げられる映画的なディーワーリー祝典はハイライトとなっている。

画像4

◾️主演のダヌシュとカージャル・アグルワールの他に注目のキャストは、主人公と対決する警部の役で登場のヴィジャイ・イェースダース。故SPバーラースブラマニヤムと並ぶ南インド最高の男声ボーカルのKJイェースダース(イェーシュダースとも)の息子で自身も歌手。

画像5

◾️本作のサントラでメインに歌うのは、『3』『無職の大卒』に続き、主演のダヌシュ自身。「Maari Thara Local(悪名高い)」「Bagulu Odayum Dagulu Mari(マーリに骨を折られるぞ)」「Thappa Dhaan Theriyum(そうさ 俺は裏街道を行く)」の3曲を歌う。

◾️ダヌシュは「Maari Thara Local(悪名高い)」「Donu Donu Donu(俺はドンだ)」の作詞も担当。また作曲担当のミュージック・ディレクターのアニルドは劇中でカメオ出演も。フォトジェニックなアニルドの短い登場シーンも本作の見どころの一つ。

スクリーンショット 2021-05-19 20.15.39

◾️派手派手シャツとジャラジャラ金鎖のファッションは、タミル語スラングでマイナル(minor)と呼ばれるもの。マイナルは元々は田舎の金回りのいい伊達男を形容するもので、金鎖は「マイナル・チェーン」とも称される。古いタミル映画には題名に「マイナル」を含むものも。

画像7

◾️マーリを脇で支える古参の鳩レースマニアを演じたチェッラドゥライは、2021年5月29日に心臓発作で逝去。享年84歳。他にも「テリ~スパーク」など多数のタミル語映画に出演。ご冥福をお祈りします。

スクリーンショット 2021-05-19 20.27.14

[作品情報]

監督:バーラージ・モーハン
出演:ダヌシュ、カージャル・アグルワール、ローボー・シャンカル、ヴィジャイ・イエースダース、マイム・ゴーピ、カッルーリ・ヴィノード
音楽:アニルド
字幕日本語
ジャンル:コメディ、 アクション(ダンスあり)
映倫区分:G(どなたでもご覧になれます)
2015年/タミル語/138分
©Magic Frames, ©Wunderbar Films


この記事が参加している募集

雨の日をたのしく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?