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元営業パーソンが挑む、スタートアップひとり広報の道のり

この記事は、「#PRLT(Lightning Text) Advent Calendar 2022」の12/2の記事です。

PRLT(Lightning Text) Advent Calendar 2022

はじめまして、おいなりさんです!3年勤めたSansan株式会社を卒業し、事業開発支援、広報PR支援を中心に開業。現在は、"NFTによる地方創生を推進する"ために「ふるさと納税NFT」「観光NFT」ソリューションを提供する、株式会社あるやうむでのCCO(Chief Communication Officer)をメインの仕事にしています。

Sansanでは、THE MODEL型のSaaS営業を3年間担い、その後、株式会社あるやうむに3人目社員として業務委託で参画。営業責任者として、自治体営業を0→1で担った後、未経験ながらも2022年の10月から"ひとり広報"デビューをしました。

広報に注力してからたった2ヶ月ですが、日経新聞、読売新聞、ニッキン、北海道新聞、京都新聞、日経ビジネス、ワールドビジネスサテライト等の大手メディア様に掲載いただいております。広報の実力で勝ち取った案件ばかりではないものの、スタートアップが広報に力を入れるべき理由はご理解いただけると思います。

本記事では、これまで営業のみしてきた私が、広報経験者が誰もいない小さな企業でどのように広報室を立ち上げたのか、その現実や学びをシェアさせていただくことで、広報担当者さんの背中を押したり、広報に力を入れたい経営者さんのお力になれたらと思っています!

現在の業務と広報室の体制

広報戦略の策定とPDCAの管理、メディアリレーションの構築、取材対応、イベント登壇、HP制作、プレスリリース執筆、ブログ運用、SNS運用、メンバーマネジメント等を行なっています。立ち上げ当初はひとり広報でしたが、2-3人のメンバーが少しずつリソースを割いてくれるようになったので、HP制作以降の業務はメンバーに任せて、ディレクションのみ担当しています。

広報室の立ち上げ方

以下、5つのステップで広報室を立ち上げ、活動をしています。

  1. 広報に関してひたすらインプットをする

  2. 広報戦略を策定し、壁打ちを行う

  3. 広報戦略を基に、アクションをする

  4. 広報戦略に対して、月次で振り返りを行う

  5. 広報向けのオンラインサロンに加入する

ひとつずつ、解説をしていきます。

1. 広報に関してひたすらインプットをする

まず、私が実際に読んで参考にした書籍を2冊、紹介します。

『この1冊ですべてわかる 新版 広報・PRの基本

未経験で広報を始める時は、「分からないことが分からない」「自分が着手しようとしている領域がどのくらい広さなのかが分からない」という状態です。この状態が、1番しんどいです。そこで、広報・PRの全体像を把握するためにこの1冊を読みました。全体像が分かると安心します。巻末にはメディア各社の連絡先(電話番号・FAX番号)等もついているので、実務面でも役立つ、非常にコスパの良い1冊でした。


タダで、何度も、テレビに出る! 小さな会社のPR戦略

経営者や広報なら誰でも憧れる、『ワールドビジネスサテライト』『ガイアの夜明け』の元ディレクターが書いた1冊です。中小企業向けにPR戦略の構築やメディアに露出するための切り口などが紹介されています。広報をするためには、「何を発信するのか」が非常に重要です。そこを深掘りするための具体的なワークも掲載されています。

最近では「ひとり広報」向けの書籍が多く出版されていますので、手に取るのもおすすめです。特に、マインドセット面に不安がある方には救いになると思います。

その他、書籍だけでなく、SNSや音声メディアも多く活用しました。私がよく参考にさせていただいている方を3名紹介しますので、気になる方はぜひフォローしてみてください。

  1. 「小澤美佳 | HELP YOU広報PR(@mica823)」様

3.7万人のフォロワーがいる有名アカウントなので、広報パーソンで知らない方はいないかもしれません。ツイートで惜しみなく広報ナレッジを披露してくださっており、定期的に広報向けの勉強会も開いてくださっています。また、Voicyで『令和の広報ノウハウ』と題した放送も100回以上されています。私自身も、広報立ち上げ初期は暇さえあれば小澤さんのVoicyを聴いていました。元営業パーソンから転身している方なので、勝手に師事しています。笑



2. 「七瀬@広報|ガレージファクトリー(@nanase_garage)」様

フォロワーさんとの丁寧なコミュニケーションが特徴的で、その姿勢や物腰の柔らかさがとても勉強になる方です。Twitterでのインプレッションの獲得方法や、noteの書き方なども公開されています。広報ナレッジだけでなく、家族との日々をはじめとして、クスッと笑えるようなツイートも交えられていて、思わず話しかけたくなるアカウントです。お堅いTwitter運用に疲れて癒しを求めている方は、ぜひ七瀬さんに話しかけてみてください。笑


3. 「おーさわ@ラフール広報PR(@n_o_health_c)」様

広報パーソンは女性が多い印象ですが、男性でも素晴らしい方がいらっしゃいます。特に、おーさわさんは長年の経験を活かしつつ、戦略的かつ精力的に活動されている方です。私は広報に転身する前からお付き合いがあり、オープンマインドで面倒見の良い性格にとても惹かれています。後述する「ゼロイチ広報」もおーさわさんの紹介で参加しました。また、定期的におすすめカヌレ情報がupされるのでスイーツ好きの方も必見です。笑


2. 広報戦略を策定する

インプットした情報を、「自社の現在地点」「目指したい地点」を意識しながら、整理し直します。そして、「中長期の方針」を定めた後に、「戦略(弊社の場合は3つ)」、「具体的なアクション」を考えていきます。具体的なアクションでは、「社内への働きかけ」「社外への働きかけ」の大きく2つに分類しながら整理すると、分かりやすかったです。

具体的なアクション例としては、

  • MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定

  • 社長への創業ストーリーのヒアリング

  • ロードマップの策定(プレスリリースの予定などを記載)

  • HPリニューアル

  • Googleアラートで関連用語を登録

  • 既に記事を書いていただいた記者さんのリスト化

  • 掲載されたいメディアのリスト化

などを記載しました。

MVVの策定を広報主導で行なったと知人に伝えると「人事みたいだね!」と言われましたが、人事不在のスタートアップでは、広報が巻き取っても良いかもしれません。露出を獲得するには、「何を露出するのか」が何よりも大事で、ブラしてはいけないポイントだからです。

【参考】
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?|PR TIMES MAGAZINE


創業ストーリーのヒアリングに関しては、先述の『タダで、何度も、テレビに出る! 小さな会社のPR戦略』に記載されていたフレームワークや質問内容を参考に、社長に対して合計5回のヒアリングを実施し、ブログやnoteで公開をしました。ブログの記載例は『【あるやうむ創業ストーリー①】東京を抜け出し、地方創生を志したワケ』をご参照ください。


3. 策定した広報戦略の壁打ちを行う

未経験広報が躓きがちなポイントは「まずはやってみる精神」で我流で進めすぎてしまうことだと捉えています。(もちろん、戦略だけガチガチに固めてもアクションが伴わなければ意味がないので、とても大事な精神なのですが。)そのため、私の場合は、3名の方に壁打ちに付き合っていただきました。

1人目が社長、2人目が出資元のVC、3人目が近しい業界の広報のプロです。それぞれ異なる立場からのフィードバックなので、時には異なる意見も出ましたが、それを含めて良い壁打ちになったと感じております。

2人目、3人目のような方が、すぐに見つからなくても、Twitter上にはたくさんの広報パーソンがいますので、そういった人に対して壁打ちの依頼をすることも良い手法だと思います。(実際に、私も相談された際に丁寧に対応しました。)

3. 確定した広報戦略を元にアクションをする

当たり前ですが、これが1番大事です。広報関連の情報収集や戦略立てはいくらでもできますが、時間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。また、完璧な戦略を立てる以上に、ある程度納得感がある戦略を基にアクションを重ね、そこでの学びを基に戦略を立て直すことの方が、短い期間でより高い成果をあげることができます。頭でっかちにならないよう、要注意です

4. 広報戦略に対して、月次で振り返りを行う

立ち上げたばかりの広報室に対して、メディアアプローチ数や記事掲載のCVをKPIに置くのは個人的にはかなり酷に思います。まずは、ざっくり立てた広報戦略を基にアクションを重ね、そこで得た知見を基に、KPI化していく方が良いのではと考えています。その意味でも、振り返りはとても重要です。

プレスリリースの執筆やSNS運用等、目先の仕事は山ほどありますが、振り返りをすることでその質も格段に向上します。また、弊社では四半期ごとに広報戦略自体も改訂していく予定です。大手企業であれば年間スケジュールでも良いかもしれませんが、スタートアップであれば短くて良いと思います。

5. 広報向けのオンラインサロンに加入する

ひとり広報は視野が狭くなりがちで、質の高いフィードバックが受けられる機会も少ないです。理想を言えば、PRコンサルタントと契約をして、質の高いフィードバックをいただくのが良いですが、特にスタートアップではその予算は割けないことが多いでしょう。

そこでおすすめしたいのが、「ゼロイチ広報」という“ひとり広報”として広報活動を行う方に向けたオンラインサロンです。

PR会社に広報の業務代行、コンサルティングをお願いするほどではないが、広報PRについてゼロから学びたいという方を対象に、スキルアップやメディア人脈の形成、広報担当者同士の仲間づくりなどができる、さまざまな活動やサービスが、なんと月額1万円で提供されています。あまりにもコスパが良すぎるので、悩まれている方はぜひ、前向きに加入を検討していただければと思います。


営業経験がどのように広報の活動に活きているか

タイトルになぞらえて、「営業経験がどのように広報の活動に活きているか」にも触れます。広報にチャレンジしたい方や、広報担当者をアサインしたい経営者様に参考にしていただければ幸いです。

1. 目的思考とコミット力

鍛え上げられた営業パーソンほど、高いKPIに屈せず、成果を上げつつけていいます。目的を達成するためにコミットをする姿勢は、広報活動でも大いに発揮することができます。

2. 関係性構築力

営業パーソンは、見込み顧客へのアプローチや、短い商談の間でお客様の懐に飛び込む中で、相手の興味関心を知った上で、適切な情報を提供する能力が鍛えられています。この能力は、記者様とのコミュニケーションや、SNSの運用等でも活かされます。また、アウトバウンド営業や飛び込み営業を行なっていた方であれば、新規のメディア開拓も苦ではないはずです。さらに、広報さん同士の繋がりも重要ですが、その関係性構築でも活きます。

3. 言語化能力

お客様とのコミュニケーションが冗長になることは御法度です。そのため、営業パーソンは要点を押さえてコミュニケーションする能力が高いです。この能力は、プレスリリースの執筆をはじめとする全ての広報活動に活かすことができます。特に、私の場合は、インサイドセールスを経験していたり、Twitterを運用したりしていたため、より一層言語化能力が鍛えられていたように思います。言語化が得意な方を広報に抜擢すると、活躍されることでしょう。

まとめ

広報室の立ち上げは、5つのステップで行うのがおすすめです。

  1. 広報に関してひたすらインプットをする

  2. 広報戦略を策定し、壁打ちを行う

  3. 広報戦略を基に、アクションをする

  4. 広報戦略に対して、月次で振り返りを行う

  5. 広報向けのオンラインサロンに加入する

営業パーソンが持つ、3つの能力は広報活動でも活かされます。

  1. 目的思考とコミット力

  2. 関係性構築力

  3. 言語化能力

最後に

5,000文字も使ってしまいました。(言語化能力とは😇)
お付き合いいただいた皆さまに、心から感謝申し上げます。

私自身、各種SNSは公開していますし、フリーランスとしても活動していますので、お力になれることがありましたらお気軽にご連絡ください。

少しでも多くの方に、広報の魅力を知っていただき、広報の存在価値が上がっていくことを祈っています。一緒にやっていきましょう❤️‍🔥

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